#220 お化け屋敷、お化けよりお化け
もうちょい濃くできなかったのだろうか。
「さてさて! お昼を食べて満腹状態になったところで、次はどこ行くどこ行く?」
お昼ご飯を食べて、少しだけ食休みを挟んだ後、次はどこへ行こうかと寧々お姉ちゃんが切り出す。
「色々な場所があるから迷う。とりあえず、観覧車は最後でいいと思う」
「そうですねぇ~。それは最後でいいと思いますよぉ~」
「観覧車って、なぜか最後の方に乗るイメージがあるよね」
「あー、それすっごいわかるぞ。なんでだろね?」
「基本的に、激しい動きの物や精神的に疲弊することもありますし、観覧車はのんびり景色を見れますからねぇ~。それなんじゃないですかぁ~?」
「ん、たしかに。夕焼けもなかなかいいから」
「だねぇ。それで、どこ行こっか?」
「そうですねぇ~……あ、お化け屋敷はどのタイミングで行きますかぁ~?」
「うっ……」
千鶴お姉ちゃんのその一言に、僕は小さなうめき声を上げました。
お、お化け屋敷……そ、そうだよね、それがあったよね……。
「椎菜ちゃん、嫌なら全然いいからね? その場合はお化け屋敷は行かないから!」
「ん、無理していくことはない」
「そうですねぇ~」
「う、ううん、自分で行くって言ったんだし……それに、千鶴お姉ちゃんも怖いのにジェットコースターに乗ってたし……ここで行かないのは、男としてどうかと思うのでっ……!」
「いや、今は女の子だぞ?」
「ん、性格も男に見えない」
「椎菜ちゃんはどこからどう見ても至高の女の子ですよぉ~」
「即答!?」
……いやまあ、僕自身も女の子になってから半年以上経ってるし、すっかり慣れちゃってはいるから、うん……。
でも僕って、そんなに女の子っぽい性格してるかなぁ……。
「って、すぐ話が脱線しちゃうね。それで、どこにしよっか? 有名どころで言えば、コーヒーカップ、メリーゴーランド、あとは迷路……あとはブランコもあるっぽいぞ、ここ」
「ブランコ?」
「えーっとぉ~……あ、これですねぇ~。高く上がるブランコに乗って、ぐるぐる回転するアトラクションですねぇ~」
「あ、それ、地元の近くの遊園地……というか、動物園と遊園地が一緒になってる場所にあった気がするよ?」
「あ、あれか。なるほど……でもそれ、千鶴は死ぬんじゃ?」
「う、うぅ~~ん……とりあえず、コーヒーカップはダメかもですねぇ~……」
「ん、この場には寧々という確実に高速回転させそうな危険人物がいるから、私たちも危険。やめよう」
「え? コーヒーカップって、超高速回転させて三半規管を鍛える場所なんじゃないの?」
「「「絶対違う(よ)(ますよぉ~)」」」
「お、おう、そっか」
さすがに僕もそれは無理だと思います……。
いくら身体能力が上がっていても、さすがにすごく速く回されちゃったら酔っちゃうと思うし……。
「じゃあ、コーヒーカップは除外で。うーん……じゃあ、お化け屋敷にする?」
「ん、たしかに、疲れる前に行っておいた方がいい」
「私もそれでいいですけどぉ~……椎菜ちゃんは大丈夫ですかぁ~?」
「うっ……で、でも、早めに行けば、あとは純粋に楽しめる、もんねっ……! じゃ、じゃあ、お化け屋敷でっ!」
「おっけー! じゃあ、お化け屋敷で決まりってことで!」
「が、頑張りますっ……!」
というわけで、お化け屋敷に行くことに決まりました。
ここのお化け屋敷、すごく怖いらしいんだけど、僕一人って言うわけじゃないし、大丈夫なはずですっ……!
◇
ここからは選手交代で、モノローグはロリコンがお送りしますよぉ~。
地味に初めてな気がしますが、まあそこはいいとしましてぇ~……話し合いの結果、お化け屋敷に行くことが決まったわけですがぁ~……。
「……っ(ぷるぷるぷる)」
お化け屋敷の前で、椎菜ちゃんがぷるぷると震えていましたぁ~。
「えーっと、椎菜ちゃん、やっぱりやめる?」
「う、ううんっ、よ、予約、い、入れちゃったし……そ、それに、さ、三人は行きたい、んだよね……?」
「「「うん」」」
怖がるロリとか最高じゃねぇですかぁ~~!
私はそれが見たい! 見たいですよぉ~!
……まあ、本気で嫌がるのならば、ロリコンとしては血の涙を飲んで、我慢しますがぁ~……今回は、椎菜ちゃんが参加すると決意しているので、行く感じでぇ~。
「じゃ、じゃあ、が、頑張りますっ……!」
「ならばよし! それじゃ、入ろ入ろーう! あ、二人は準備OK?」
「ん、問題なし」
「いつでも怖がる椎菜ちゃんを抱きしめる準備はできてますよぉ~」
「さすが千鶴さん、ぶれない」
私ですからねぇ~。
というわけで、震える椎菜ちゃんを伴ってお化け屋敷の中に突入。
「おぉ、雰囲気あるぞ」
「ん、コンセプトは猟奇殺人があった廃病院らしい。病院は定番」
「そうですねぇ~。椎菜ちゃん、怖かったら手、握りますかぁ~?」
「お、おねがい、しましゅ……」
「どうぞどうぞぉ~~!(鼻血)」
「笑顔で鼻血流してる千鶴さんの方がホラーな気がするぞ、あたし(鼻血)」
「ん、寧々も出てる(鼻血)」
怖がる椎菜ちゃんに、手を繋ぐことを提案すると、おどおど、かみかみしながらきゅっと私の右手に椎菜ちゃんの左手を重ねてきましたぁ~。
あぁっ、椎菜ちゃんのちっちゃくて柔らかくてあったかいぷにぷにの手がぁ~~~! 手が、私のこの右手にぃ~~~~~~!
今日一日洗いたくないという気持ちが出ていますが、プロのロリコンたるもの、ロリと接する時は常に身を清めることが必要なりぃ~~!
あ、お化け屋敷の内装ですが、なんて言いますか、壁はボロボロ、カーテンは襤褸切れ状態、ところどころ血痕があるという、とてもシンプルかつ王道な内装ですねぇ~。
音は私たちの足音と話し声程度で、しん……と静まり返っていますよぉ~。
ビシャァッ!!
「ひぅっ!?」
「おほっふぉ!?」
「おー、すごい血が窓に」
「ん、見慣れてる」
突然液体がぶつかる音がすぐ横から聞こえてきましたぁ~。
視線をそちらに向けると、そこには真っ赤でどろっとした液体……血液が付着していましたぁ~。
突然の音と血に染まる窓ガラスに、椎菜ちゃんが悲鳴を上げて、私の手を両手でぎゅっ! と握って来て、私は変な声が出ましたぁ~。
な、なんたる破壊力ぅ~~~!
さすが椎菜ちゃんですよぉ~!
「さ、三人は、こ、怖くないの……? ち、血が、びしゃって、してる、んだよ……?」
「うーん、そうは言うけど……正直、あたしたちって血は見慣れてるしねぇ」
「ん、そもそも自分が吐血するし、鼻血も出す。代り映えしない」
「この程度は驚きませんよねぇ~」
というか、椎菜ちゃんと合法的に手を繋いでいるというこの状況により、恐怖心なんてあるわけないですよねぇ~~~!
あぁ、椎菜ちゃんが可愛いですよぉ~!
「そ、そう、なんだ……ぼ、僕は、全然怖いです……」
「うんまあ、あたしたちが特殊なだけだし? あとは栞先輩とかじゃないかな? 他の人は怖がらなさそう。あ、恋雪さんは怖がるかも?」
「どうでしょうかぁ~? あの人、ゲームが大好きですし、ホラーゲームもかなりやり込みそうですし、怖がらないのではぁ~?」
「たしかに。意外と怖がらなさそう」
恋雪さんの恐怖の対象は、お化けよりも見知らぬ人とかのほうに傾いてそうですよねぇ~。
あとは、株価が暴落とかそっちの方ですかねぇ~。
『ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!』
「ひっ……きゃあぁぁぁぁっ!」
「ホアアァァァァァ!?」
「ちょっ、千鶴さん鼻血鼻血!?」
「ん、すごい勢い」
「う、ううっ、こ、怖いよぉっ……!」
あぁっ、椎菜ちゃんのぽよぽよがぁ~~~!
椎菜ちゃんのロリらしからぬ大きな双丘が私の右腕にぃ~~~~!
ま、まずい、私の体内の血液袋から血がぎゅんぎゅん消費されているゥ~~~!
『ひぃぃぃぃ!?』
あ、脅かし役の人が悲鳴をぉ~!?
「って、お化けの方が悲鳴上げてるぞ!?」
「ん、血まみれの美女は怖い」
「~~~~~っ(ぷるぷる)」
「げはぁっ!」
びしゃびしゃっ!
な、なんてことでしょうかぁ~……し、椎菜ちゃんがさらにぎゅっと私に抱き着いて来てますよぉ~……!
おかげで、私の鼻から大量の血液が噴出してるんですがぁ~!
あと吐血! 血も吐きまくってますぅ~!
「はぁ、はぁ……す、すみません、ティッシュ、ありますかぁ~……?」
「あ、うん、あたしが持ってるぞ。椎菜ちゃんと遊びに来ると言うことは、ティッシュは必須だからね」
「ありがとうございますぅ~」
寧々さんからティッシュを受けとって、ごしごしと口と鼻から出た血液を拭う。
ティッシュは血液ティッシュ用の袋にしまって処理ですねぇ~。
「あぅぅ……ち、千鶴お姉ちゃん……」
「んぐっふ……なんでしょうかぁ~?」
「その、あの……も、もっと、ぎゅって、して、いい……かな……?(上目遣い+涙目)」
「オッシャバッチコーイ!」
「あ、ありがとう……」
椎菜ちゃんからのお願いを断れる人類など、この世界に存在しないのですよぉ~~~~!
あと、至高のロリからの上目遣い+涙目のコンボとか、完全に堕としに来てますよねぇ~~~!
このド変態ロリコン相手にこのようなお願いをすると言うことは、食べられても文句は言えないと言うことではぁ~?
怖がる椎菜ちゃんに対して、あーんなことや、こーんなことをぉ~………………ハッ!? 何を考えているんですか、このド変態ぃ~~~~!
YES! ロリータ! NOタッチ! の精神を忘れてはいけませんよぉ~!
くっ、さすが椎菜ちゃん、私に抱き着くことで、私のケダモノを呼び覚ましてしまうとはぁ~~……ふふふ……。
「ち、血が、止まらねぇぜぇ~……」
「いやあの、マジですごいことになってるぞ!? 千鶴さんその出血大丈夫なの!?」
「完全に失血死レベルの血」
「え、えへへ、な、なんだか、千鶴お姉ちゃんとくっついてると、落ち着く、ね……?」
「―――ごぼあぁぁぁっ!」
「ふぇ!? ち、千鶴お姉ちゃん!?」
「へ、へへ、へ……お、お化け屋敷の真の敵は、お化けではなく、味方、ということ、ですねぇ~……」
椎菜ちゃんのデレが半端じゃないんですけどぉ~!
完全に体内の血液を絞り出しに来てますよぉ~! さすが核兵器ですねぇ~!
◇
と、まあ、その様なことが序盤にあったわけですがぁ~……
ガシャァァン!
「ひぃぃ!」
「がはっ……」
ブイィィィィィィィィンン!!
「ひぅぅぅ!?」
「んごはぁっ!」
『アハハハハハハ!!!』
「きゃあぁぁぁぁっ!」
「エ゛ン゛ッ゛!」
お化け屋敷からの脅かしが発生するたびに、椎菜ちゃんが私に更に密着し、私は血を吐きまくりましたぁ~。
正直、血を吐き過ぎて、顔が血まみれですねぇ~……。
「千鶴さんって、着替えとか持って来てるの?」
「ふっ……それを想定していないようでは、信者ではないですよぉ~」
「ん、遊園地に遊びに来るのになぜ着替えを持って来ているのか」
「とりあえず、血まみれになっちゃいましたよねぇ~! あ、でも、椎菜ちゃんには絶対にかけないので大丈夫ですよぉ~!」
「器用すぎるぞ」
椎菜ちゃんに自身の不浄なる血をかけるなど、切腹どころか拷問からの処刑もんですからねぇ~。
「ち、千鶴お姉ちゃん、大丈夫……?」
「大丈夫ですよぉ~」
あぁ、椎菜ちゃんの心配の言葉は五臓六腑、そして魂に染み渡りますねぇ~……。
「ん、そろそろゴールっぽい」
「ほ、本当……?」
「本当だぞ。ほら、向こうの方ちょっと明るくなってる」
「ほ、本当だ……や、やっと、出られる、んだね……」
「名残惜しいですが、ささっとゴールしちゃいましょうかぁ~」
「うんっ……」
私も堪能しましたし、椎菜ちゃんを安心させるためにも、早くゴールをしてしまいましょうかねぇ~。
相変わらず、ぎゅぎゅ~~っと私に抱き着く椎菜ちゃんに対する下種な感情と獣の本能をフルボッコにして頑丈な檻の中にぶち込んで、鼻血+吐血を出しながら歩き……
『逃がさな――イヤァァァァァァァァ!? 血まみれの幽霊―――――――――――!?』
最後の脅かし役の人が、素で悲鳴を上げましたぁ~。
「脅かし役を脅かす客て」
「ん、さすが千鶴」
「なんか色々と逆な気がしますがぁ~……」
『きゃあああああ!? し、知らない血痕が増えてるゥゥゥゥ!? こ、ここには、本当にお化けがいるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
『きゃああああああああああ!』
『な、なんだこの血液!? って、これ本物じゃねぇか!?』
『おびただしい量だ……この出血量、絶対人間じゃねぇ!』
『お化け屋敷、本物になった……!?』
なんだか、後ろから話し声というか、叫びが色々と聞こえてきますがぁ~……。
「まあ、うん、ゴールしましょうかぁ~」
「だね」
「ん、早く行こう。椎菜が限界」
「あぅぅぅぅ~~……や、やっと、お外です……」
気にしてはいけないということにして、私たちはゴールの扉を潜り抜け……
「お疲れ様で……お、おお、お客様ぁぁぁぁ!? い、一体何があったんですか!? え、ち、血まみれ!? ちょっ、すごい血まみれですよぉ!? え、えと、あ……き、救急車ァァァァァァァァ!?」
「これはただの鼻血と吐血ですよぉ~!?」
「内臓に怪我を……!? 救急車大至急呼んでくださーーーーーーーーい!!!」
誤解によって救急車を呼ばれかけると言う事態に直面して、誤解を解くのに軽く三十分かかりましたぁ~。
◇
その後、このお化け屋敷には血まみれの女の幽霊が出ると噂になって、同時に本物の血が混じることがあると言う噂が出回って、お客さんが増えたとかなんとかぁ~……。
大事になっちゃいましたねぇ~!
まあ、私は椎菜ちゃんとの触れ合いが出来たのでヨシッ!
なんかこう、ちょい薄味でしたね。
お化け屋敷系の話は既に何度かやってるのもあって、結構難しかったんですよねぇ~……。
うーむ、やはり経験がないからダメか……そもそも私、ホラー系は強い方だし、お化け屋敷とか行ってもほとんど怖がらないからなぁ……うん、むずい。




