#214 遊園地への道中、話がおかしな方向に進む車内
そんなこんなで、時間は過ぎて金曜日。
車の中で食べるご飯とカバン、他にも必要なの物を持って、お外行きのお洋服に着替えて玄関前で待っていると、一台の車がこちらに向かって来て、目の前で止まりました。
あれ、なんか大きくない!?
「やっほー! 椎菜ちゃん!」
四人だけで遊びに行くにしては大きい車に内心驚いていると、後ろのドアが開いて、中から寧々お姉ちゃんが笑顔で挨拶して来ました。
「あ、寧々お姉ちゃん! おはよう!」
「おはようだぞ! ささ、乗って乗って! まあ、車は千鶴さん所有の物だけどね!」
「うん!」
寧々お姉ちゃんに促される形で、僕も車の中へ。
「おはよう、藍華お姉ちゃん、千鶴お姉ちゃん!」
「ん、おはよう。今日はいい天気でよかった」
「おはようございますぅ~! いやぁ~、私所有の車にロリ……ふへへぇ~……おっと、涎がぁ~……」
「千鶴さん。車種的な意味で、その反応は色々洒落にならないから、気を付けた方がいいと思うぞ」
「ん、男だったら100%通報もの」
「他意はないですよぉ~!?」
んっと、何のお話をしてるんだろう?
とりあえず、千鶴お姉ちゃんはいつも通りの様子、だよね?
「それじゃあ、出発しますよぉ~。あ、高速道路に乗るので、シートベルトはしてくださいねぇ~。私が捕まっちゃうのでぇ~」
「「「はーい」」」
「ぐっ……よ、よし、耐えた……! じゃ、じゃあ、出発ぅ~!」
千鶴お姉ちゃんのその言葉と一緒に車が走り出しました。
ちなみに、座席としては、藍華お姉ちゃんが助手席に乗って、千鶴お姉ちゃんの後ろの席に寧々お姉ちゃん、その隣に僕と言う形になっています。
「いやぁ、まさか千鶴さんが車を買うとは思わなかったぞ~」
「ん、そもそも車の免許を持っていたのが驚き」
「職業柄必要でしたからねぇ~」
「「千鶴それ絶対、口外しちゃだめ(だぞ)」」
「わかってますよぉ~。もしそうなって、栞さんや椎菜ちゃんに知られたらぁ~~……世界で最も苦しい死に方を実践して死にますからぁ~」
「なんのお話!? というか、それはダメだからね!?」
なんで千鶴お姉ちゃんの職業を僕と栞お姉ちゃんが知ったら、自殺する流れになるの!?
本当になんで!?
「ふっ、いたいけなロリにいらぬ知識を植え付ける……それは、一流のプロロリコンとしては、絶対に看過できませんからねぇ~。YESロリータ! ノータッチ!」
「いや、千鶴さんは思いっきり触ってるぞ」
「ん、でも自分から積極的に触りに行く、と言うのは見たことがない」
「ハッ、たしかに!」
「触れる機会があったら触りますけど、私はプロロリコンですからねぇ~。むやみやたらに触ることで、汚すなどあってはなりませんからぁ~」
どうしよう、千鶴お姉ちゃんが何を言っているのか、さっぱりわからない……!
「そもそも、ロリコンとは世間一般で言うところの特殊な癖ですからねぇ~。二次元限定ロリコンであれば問題はないかもしれませんけどぉ~……二次元だけでなく三次元のロリコンも発症していると、すごぉ~~~~くアレな目で見られますからねぇ~。正直、そこに関しては男で生まれなくてよかったと思うところですよぉ~」
「「それは本当にそう」」
う、ううぅん、なぜか三人だけでお話が弾んでるけど……。
でも、千鶴お姉ちゃんが男の人だったら、かぁ……。
「千鶴お姉ちゃんがもしも男の人だったら、すごく子供に優しいカッコいい人になりそうだよね!」
「――私、男でもよかったかもしれませんねぇ~!」
「「単純すぎる(ぞ)……」」
(でもまあ、男だったら本当にヤバかったと思うぞ)
(……ん、最悪通報されてた)
(……たまに思うけど、男性がロリコンだとすっごい変態って罵られるけど、女性だとなんか個性って言われるのは謎だと思うぞ、あたし)
(……今まで積み上げてきた、そういうレッテルとか、固定観念とか、常識と言う名の毒が原因だと思うけど、まあ、仕方ない)
(……そっかー)
「あれ? 二人とも、スマホでチャットしてるけど、どうしたの?」
「あ、何でもないぞ! ちょっと先のことで相談をね!」
「ん、気にしないでよし」
「それならいいけど」
先のことって言うと、やっぱりあれかな、配信のこと。
最近は三期生だけで集まって何かをする! っていうのがなかったからね。
……そう言えば、この四人で遊びに行くこと自体、ほとんどしてなかったような……?
もうちょっと交流を増やした方がいいのかも。
「あ、そう言えば朝ご飯がまだだったよね。サンドイッチとおにぎり作って来たから食べよ!」
「「「やったぜ!」」」
持って来ていたカバンからサンドイッチが入ったお弁当箱と、おにぎりが入ったお弁当箱を取り出して太腿の上に載せました。
「サンドイッチはレタスとハム、チーズのサンドイッチと、たまごサンドがあるよ! おにぎりは、焼きおにぎりとツナマヨ! サンドイッチがいい人!」
「あたし、サンドイッチ! レタスの奴!」
「私は卵」
「私はおにぎりでお願いしますぅ~。あ、両方でぇ~!」
「了解です! じゃあ、はい! これがレタスサンドね!」
「わーい! おー、具だくさん」
「こっちがたまごサンド!」
「ん、美味しそう」
「千鶴お姉ちゃんにはおにぎりね」
「ありがとうございますぅ~! あ、そこのコンソールボックスに置いておいてくださいぃ~」
「うん、じゃあ置いておくね」
運転中なので、千鶴お姉ちゃんの左腕側にあるひじ掛け(コンソールボックス?)におにぎりを二つ置く。
すると、千鶴お姉ちゃんは前を見ながら、正確におにぎりの方に手を伸ばすと、器用におにぎりに巻いていたラップをはがしました。
よく、運転してる人がご飯を食べてる姿を見ることがあるけど、あれってすごいよね。
「「「いただきます!」」」
「あ、それなりに作って来たから、おかわりしたかったら言ってね!」
「「「やったぜぇ!」」」
三人におかわりのことを伝えると、嬉しそうにサンドイッチやおにぎりを食べ始めました。
前の二人は顔が見えないけど、少なくとも美味しそうに食べてくれてるのがわかるから、すごく嬉しい。
作ったご飯を美味しく食べてもらえるのが、作り手としてすごく嬉しいことだよね。
「このサンドイッチすごく美味しいぞ! これってからしバター?」
「うん。その方がいいかなって。サンドイッチ用のソースも手作りだったんだけど、大丈夫?」
「大丈夫! すごく美味しいぞ!」
「こっちのたまごサンドもいい。やはり胡椒は正義」
「マヨネーズに黒コショウって合うよね!」
「わかる」
「こっちの焼きおにぎり美味しいですねぇ~!」
「あ、焼きおにぎりに使ってるタレなんだけど、それは前に作ったラーメンのスープなの。お湯を入れるだけでスープになるものだけど、おにぎりに混ぜて、それを焼くとすごく美味しいから焼きおにぎりにしたの!」
「椎菜ちゃんの料理上手っぷりがとどまるところを知らないですねぇ~~!」
みまちゃんとみおちゃんがお家に来てから、お料理の幅を広げるためにレシピ本を見たり、お料理系のチャンネルを見たりしてるからね。
おかげで、レパートリーがかなり増えました。
「個人的には、もっと増やしたいし、作ってみたい物もたくさんあったりするんだけどね」
「ん、例えばどういうの?」
「餃子の皮を使ったピザは作ったことあるんだけど……本格的なピザは焼いてみたいなって。ピザ窯とか欲しいかも」
「それ、愛菜さんに行ったら絶対用意してくれるぞ」
「ん、自作する。間違いない」
「あ、それでしたら、愛菜さんが所有する山に建てた、例のログハウスとツリーハウスがあるエリアに、『椎菜ちゃんがピザづくりをしたいと思っていることは察しているゥゥ! 故に、作っておく! ピザ窯をォ!』って言ってましたし、実際にあるらしいですよぉ~」
「「先手打ってた(ぞ)!?」」
「お、お姉ちゃん……あとでお礼言わなきゃ!」
ピザ窯はすごく嬉しい!
なんだかんだでお姉ちゃんの山にあるツリーハウスとログハウスに行けてなかったし、今度行かなきゃ。
……あれ? そう言えば四期生の人たちにお料理を振舞う配信をやるわけだけど……そこでやればいい気がして来た。
でも、ネットって通じるのかな?
……お姉ちゃんにちょっと聞いてみよう。
『お姉ちゃんが作ったログハウスとツリーハウスがある山って、ネットは通るの?』
『バッチリ! この私に不可能なし! 色々とやったから、やろうと思えば配信とかもできるよ!』
『あ、じゃあ四期生のみんなにお料理を振舞う配信、そこでやりたいなぁって思うんだけど……いいかな?』
『OK! それだったら、私も色々と手伝うよ。勝手知ったる私がいた方が何かといいと思うしね! 撮影関係も手伝うぜ!』
『ありがとう! お姉ちゃんの分も作るからね!』
『ヤッタァァァァァ! あ、遊園地楽しんで来てね!』
『うん!』
とりあえず、お姉ちゃんからOKを貰えたので、そういうことにしよう。
急遽予定変更になっちゃうけど、大丈夫、だよね?
「椎菜ちゃん、どしたん?」
「あ、うん。今のお話を聞いて、四期生のみんなにお料理を振舞う配信を、お姉ちゃんの山でやろうかなーって思って、お姉ちゃんに連絡を」
「絶対OK出た」
「うん、1秒もしないで即答されました」
あの文章をなんで1秒未満で返信できたのかがわからないけど……お姉ちゃんだからね。
うん、そう思うしかないのです。
「ちなみに、何やるの?」
「うーん、とりあえず、ピザ窯があるからピザを焼いて……あ、豚骨ラーメンも作ってみたかったから、そっちもやりたいけど……さすがに、洋食と中華を一緒に出すのもって感じなので……」
「おー、そう言う感じかー。いいなぁ、あたしも食べたいぞ」
「ん、私も」
「同じくぅ~!」
「うーん……あ、それなら四期生のみんなが終わった後に、来られる人たちを呼んで、パーティーっていうのはどうかな?」
「「「絶対行く(ぞ)(きますよぉ~)!!」」」
「あ、そ、そっか。じゃあ、LINNで聞いてみないと、かな?」
「だね! って、そう言えばその配信っていつやるんだっけ?」
「明日だよ!」
「明日って……え、それ大丈夫なの!? たしか、事務所の料理用の配信部屋を使うはずだけど……」
「あ、そう言えば連絡しないと、だよね。今から電話します!」
「ん、この場合は社長の方がいい」
「あ、うん、わかったよ!」
というわけで、明日のことをお話しするべく、社長さんに電話をかける。
二回ほどコールが鳴ってから社長さんが出ました。
『もしもし、珍しいね、みたまちゃんかな?』
「あ、もしもし、そうです、桜木椎菜です! えっと、今ってお時間大丈夫ですか……?」
『何を言ってるんだい。この世に、我が推しのライバーたちからの話以上に優先すべきものなんてないよ。それで、用件は何かな?』
お仕事は普通に優先した方がいいとは思うけど……。
「あ、はい、えっと、明日の配信についてなんですけど……」
『明日と言うと……四期生とのコラボだね。たしか、料理を振舞うと聞いたが』
「それなんですけど、実はその、場所を変えたくて、ですね……前日に急だし、非常識だとは思うんですけど……大丈夫でしょうか……?」
『全然問題ないよ。というか、君はぜんっっっっっっっっっっぜん! 我儘も言わないし、すごく心優しいし、問題も起こさないしからね。そんな君からの急な無茶ぶりとか、むしろどんどんウェルカムだよ。というか、君には色々と負担をかけてしまってる面もあるから、気にしなくていい』
「ありがとうございます!」
『それで、どこで配信をするのかな?』
「えーっと、お姉ちゃんが持ってる山の中でしようかと……」
『何それすごい面白そうだね。いいねいいね。山の中で配信とか、個人勢ならまだしも、企業勢がやるのはあまり聞いたことがないしね! むしろ面白そうだ』
「ありがとうございます!」
『となると機材とかだが……』
「その辺りはお姉ちゃんが手伝ってくれることになってます」
『なら安心だ。じゃ、こっちのスタッフには私から伝えておこう。君の料理が食べられないのは残念がるだろうが……それ以上に死ぬ心配が消えるし、私権限で有休にもできるからね。うん、問題なし。それじゃあ、私はこの後外部の人との商談があるので、失礼するよ』
「はい! ありがとうございました!」
『あぁ、では』
通話終了。
とりあえず、OKが貰えてよかったぁ……。
すごく非常識なことをしてる自覚はあったから、心配だったけど……。
「えーっと、とりあえずOKが貰えたので、明日は山の中で配信します」
「おおよそVTuberがする配信場所じゃないぞ」
「ん、普通は屋内」
「らいばーほーむは常識に囚われない事務所ですからねぇ~~!」
「あ、あははは……」
どうしよう、全然否定できない……。
でも、だからこそ今回みたいなこともできるわけだしね。
「でもまあ、これであたしたちもご相伴にあずかれると言うことで!」
「ん、たしかに」
「とりあえず、募集かけた方がいいと思いますねぇ~。誰が来るのか、とかぁ~。私の予想では、全員参加になりそうですけどねぇ~」
「「たしかに」」
「さ、さすがに急なお話だし、全員じゃないとは思うけど……」
でも、LINNで今の内に聞いておこう。
『明日、四期生の配信をする場所がお姉ちゃん所有の山に変更になりました。それで、コラボ配信の後にパーティーみたいな感じで、お料理を振舞おうかなぁって思ってるんだけど、来たい人っているかな? あ、時間帯は夜頃になると思います』
『参加以外の選択肢はない! まあ、私は元々行く予定ですが☆』
『私もオフだから行けるね』
『おっ、面白そうだな! 仕事は夕方までだし、行けるぜ!』
『うちも暇やから、行くわぁ』
『今すぐに明日プロット仕上げって絶対行くわ!』
『あーしも行く行く!』
『面白そうだねー。ボクもやることはないから行こうかなー』
『わ、わたしも、行き、ますぅ……!』
『えーっと、じゃあ全員参加、だね。うん、じゃあ用意します!』
「全員参加になっちゃった」
「「「知ってた」」」
でも、みんなでワイワイできそうでいいよね。
……あれ、今って遊園地へ向かう道中のはずだったけど、なんでこうなったんだろう?
うーん……いつものこと、だよね。
何はともあれ、遊園地は楽しみ!
完全に面倒ごとが未来の自分に向かって発送されましたが、頑張れ、未来の私。
今現在の私は、遊園地回どうしよ、って頭抱えてるから、すでに解決しているであろう未来のお前は、過去の私から発送された爆弾処理を頑張ってくれたまえ……!
まあ、それはどうでもいいとして、どうしてこうなった。




