配信#39ー2 VR配信だよっ!:2
「司君については……うん、ここを乗り越えて常識人として強くなってほしいね」
【草】
【草】
【草】
【傍からだとすごい軽く言ってるように見えるのに、その声音には本気で頑張ってほしいという感情がめっちゃこもってるのが……】
【あっちも大概だもんなぁ……面子】
「それでは改めて、今回の流れを説明しよう。とはいっても、ほとんどやることは変わらないんだけど」
「まあ、ましゅまろ読んだり、試しに動き回って見たり、暴走したりだからねぇ。うん、いつも通り!」
「いや暴走はしないでほしいんだが!?」
暴走……は、うん、いつものことって言ったらあれだけど……うん。
でも、お姉ちゃんは本当に大暴れしそうだよね。
「たつなよ、とりあえず我らはVRが実際にどんなものなのかを教えるべきだと思うのじゃ」
「あぁ、そうだね。これ、VRに慣れるためか、いろんな遊びが初期から実装されているようでね。まずはそれをやってみようか。ちなみに、現状あるのは、アスレチック、テニス、サッカー、野球、射的、かくれんぼ、他にも……ライブ? ライブってなんだろうこれ」
【ライブ???】
【初期にある昨日の中にライブがあるのは草】
【っていうか、ライブってどういうことなんだ……】
【謎過ぎる】
「まー、ライブって文字通りのことなんじゃ? 最初から、ウチらVTuberとタイアップするのが確定してたらしいし? そんなら、ライブができるような機能があっても不思議じゃないっしょ」
「ん、たしかに。とりあえず、押してみればいい」
「それもそうだね。少し気になるし、試しにこのライブを見てみようか」
機能の一つである、ライブを試すことになりました。
いくまおねぇたまの言う通り、ライブができる機能な気がしてます。
「えーと……あぁ、これって二パターンあるんだ」
「ほほう、二パターンとはどんな感じで?」
「あぁ、どうやら個人単位でのライブ機能と、ルームというかグループでのライブ機能。あぁ、後者の機能についてなんだが、実はこのVRには、グループ機能があってね。グループを作ると、専用のルームが作れるようになるんだが、今回の昨日はそちらを使用することになるらしい」
「なるほどねぇ。ってことは、私たちはそのパターンってことでOK?」
「あぁ、それで大丈夫だと思うよ。というわけで、まずは使用してみようか」
そう言って、たつなおねぇたまがメニューを操作すると、突然辺りが光りだしました。
光は何かの形を取り始めて……
「いやこれライブステージじゃねぇですか」
野外で使われるような、すごく大掛かりなライブステージ完成しました。
え、なにこれすごい!?
「なるほど、これがらいぶすてぇじなるものなのですね。なかなかに大掛かりなもののようです」
「おっきー!」
「……すごい、です」
「なんというか、あれじゃな。現実ではないからこそできる挙動じゃなぁ……」
「ん、目の前で光がステージになる光景がすごい。さすが仮想現実」
【草】
【なんかすげぇライブステージできとるww】
【えぇぇ……】
【無駄に凝った作りしてんなおい】
【これマジでライブできるの?】
「へぇ~、これ、本当にライブできるみたいだね☆ 具体的には、カラオケに近いかも? 地味に音源は買うシステムなんだねぇ。そのうち、サブスクシステムとかできそう」
「ん、らいばーほーむの曲は使えるようになってる」
「私たちのアカウントには最初から付与されているらしい。なんというか、機材プレゼントといい、かなり太っ腹だね」
「そうじゃな。我らとしては、とてもありがたいことじゃがな。……申し訳なさもあるが」
「あ、あはは、そうだね……」
もらえるのはすごく嬉しいんだけど、やっぱり申し訳なさがあるよね……。
普通なら、抽選に参加した上で、9万円くらい払って手に入るものなわけだし……。
僕の場合は、それを合計三台もらってるんだけどね……。
二人の分ももらえるとは思ってなかったし。
「ところで……こちらは本日使用なされるのですか? らいぶ機能とのことですし、みたま様とりりす様も歌があります故」
「ナイス判断めいちゃん☆ 考えてみれば、画面の存在じゃないみたまちゃんのライブを間近で見られるということっ! 平面ではなく、ちゃんとした立体的存在としてぇ! ならばライブ! ライブが見てぇ!」
「たしかに! うちもめっちゃ見てぇですよ! のじゃろりさんもいたら最高だったと思うんですけどねぇ……」
「え、ライブするの!?」
「我もか!?」
「まあ、いいとは思うよ。どのみち、案件だし、使ってみた系の物は必要だと思うしね」
「ん、異議なし」
「本当にやるの!? え!?」
なぜかライブすることになってるよ!?
なんで!?
【草】
【草】
【まさかのライブww】
【何しようとしてらっしゃるんですかw】
【いや確かに見たいけども!】
【モデルとは違って、本当に自然に動いてるからなこれ……】
「あ、あの、たつなおねぇたまとかいるかおねぇたまの方がいいと思うよ!? ほら、普段から歌配信してるもん!」
「みたまちゃんがライブの方が求められてるから。死ぬけど」
「ん、その通り。失血死するけど」
「しないよ!?」
【見たいに決まってるんだよなぁ……】
【まあ、たつな様たちの配信も見たいけど】
【普通にらいばーほーむ内でも、たつな様といるかちゃんの二人は歌が上手いからなぁ。トップクラスじゃね?】
【ぶっちゃけ上澄み。みたまちゃんと陛下は方向性が違うから、比較対象とはちょっと違うけど】
「はいというわけで、みたまちゃんとリリスちゃんのライブは確定ということで」
「まだ確定してないよ!?」
「ゆあちゃんとゆいちゃんは、みたまちゃん……お母さんが歌を歌うところ見たいよね?」
「「みたい!」」
「ほらね?」
「お姉ちゃん卑怯だよぉ!」
「おかーさんのおうた、ききたい!」
「……きいてみたい、です」
「うっ……」
きらきらとした目で僕を見つめる二人の顔を見て、僕は思わず小さなうめき声が出ました。
じっと見ている二人の期待を裏切ることはできないよぉ……!
「みたまちゃん、可愛い可愛い娘ちゃん二人が期待のこもった顔をして見てるよ? お母さんとして、断るのはかわいそうだと思うなぁ、お姉ちゃん!」
「「(きらきら)」」
「……うぅぅ……」
「というわけで、確定」
『『『異議なし』』』
「えぇぇぇ!?」
「確定なのじゃなぁ……」
なぜかライブをすることが確定になりました。
……まあでも、二人がじっと見てるし……うん、いっか。
【確定してて草】
【いいんだ……】
【これ、どう見てもみたまちゃんたちのライブが見たいだけだよね、この邪神】
【やっぱ邪神か……】
【まあ、グッジョブとだけ】
「さて、ロリピュアのライブが確定したところで、次は何をするかだけど……何かあるかい?」
「あ、それなんだけど、私ちょっと気になることがあるんだけどね」
「ひかり、何が気になるんだい?」
「いやね、この空間、何ができるのかなぁと」
「あー、それたしかにウチもめっちゃ気になる」
「というわけで、一旦このルーム出てVR空間探検してみないかな? と思ってね」
「「! たんけん!」」
「あらあら、探検という言葉にゆあ様とゆい様のお二人のてんしょんが上がったようです」
「まあ、ガチの子供ですし、当然ですねぇ。むしろ、可愛いじゃねぇですか」
「おかーさん、たんけん! たんけんしたいです!」
「……ゆいもみたい、です」
「うん、じゃあ行こっか」
【双子ちゃん可愛い】
【たまに出てくれるけど、双子ちゃんってこう、THE・子供って感じで可愛いよね……】
【純粋無垢で無邪気な子供やっぱいいわぁ……】
【みたまちゃんがすごくお母さんしてるのも大変よき……】
【双子ちゃんたちうっきうきで可愛いなぁ】
「それはいいんじゃが……たつなよ。この部屋以外で配信はできるのかの?」
「あぁ、そこは問題ないみたいだね。正式なサービス開始では、撮影禁止区間も存在するようだけど、今回に関してはそこの制限が解除されているようだけど」
「ん、それなら早速行く。二人がとても楽しそうになってるし」
「そうだね。私個人としても、見てみたいところだしね」
「んじゃ、早速外行こうぜぃ☆」
というわけで、早速外に出ることになって、僕たちは一度このお部屋から出ました。
お部屋を出ると、最初に入った時と同じ街並みの場所に出ました。
【うわ、なにこれ広!?】
【街じゃねーか!?】
【ガチの街だった】
【すげぇ……】
「さぁ、ご覧の通り! こちらがロビー! あれだよ、見知らぬどこかの誰かと触れ合える場所よぉ!」
「ひかりんパイセン、それどういうテンションなん?」
「この方がいいかなと。それで、ゆあちゃん、ゆいちゃん、街はどうかな?」
「ひろいです!」
「……おっきー」
「ゆあ、あっちみたい!」
「……ゆいは、あっち、です」
「おかーさんいこー!」
「……いく、です」
「うん。順番ね」
「「はーい!」」
二人が僕の手を掴んで、くいくいと先へ行こうとする姿に笑みを浮かべて順番と言えば、二人は嬉しそうなお返事をしました。
VRでも可愛いです。
【母娘やw】
【母娘してるなぁ……】
【みたまちゃん、これで高校生なんだよなぁ……】
【可愛すぎるぅ】
「あ、私ちょっと色々と確認してくるぜぇ!」
なんて言うと、お姉ちゃんが走り出しました。
え、なんで!?
「ふむふむ、なるほど、走った感覚としては一般人って感じかぁ……。縮地は……超短距離ならできるけど……ぐぬぬ、現実と同じように動けないのが……」
走ったり、何かの武術の動きをしたり、かと思えば、その場でバク転や前方宙返り、ブレイクダンス、他にもすごくキレッキレな動きをしているお姉ちゃんだけど、どこか不満気。
「私たち一般人からすれば、動きがすごいんだが……」
「じゃなぁ……」
「ひかりんパイセン、なんでブレイクダンスしながらバク転とか平気でこなしてるん? あれ、ウチでもむずいんだけど」
「ん、できないと言わない時点で不通に上澄み」
「さすがひかり様です。ばぁちゃる空間でもあのような動きができるのですね。ですが、ひかり様の言う通り、現実と同じように動けないようですね。普通の人の子と同じような動きしかできないようです」
「うちからすれば、全然普通じゃねぇんですけどねぇ……」
「お姉ちゃん、いつも通り過ぎるよ……」
「おねーちゃん、すごいです!」
「……かっこいー」
「ヤッタァァァァァァァァァ! 双子ちゃんに褒められたァァァァァ!」
【えぇぇぇ……】
【動きがキメェ……】
【っていうか、あんなにキレッキレな動きしてるのに、現実の方が動けるのって何? 俺、電脳空間でもアレできる気しないよ?】
【なんでリアルより動けそうな電脳空間の方が動けねぇんだよ】
【邪神だけバグってるんじゃね? リアルが】
「くっ、しかし、こんな体たらくではみたまちゃんや双子ちゃんたちのことを守れないっ……! 何か、何かないのか……!? ……ハッ!? このボタンは!? よっしゃなんか私の邪神的直観がこのボタンを押せと言っているゥゥゥ! ポチっとなぁぁぁぁ!」
その場で暴れまわったと思ったら、四つん這いになって地面をだんだんと叩いていたんだけど、突然叫びだしました。
邪神的直観って何なんだろう……?
「ん、ひかりさんは何を押した?」
「なんか面白コマンドでも見つけたんですかね?」
「とりま、見守る感じで」
何が起こるのかと、少しドキドキしながらお姉ちゃんの様子をうかがっていたら……
「よっしゃこれだぁぁぁぁぁぁ! おぉぉぉ! この感覚、この感覚が私の肉体スペックゥゥゥ! すごいぞ超人コマンド! 動ける! 縮地も長距離! ゲッダン☆ もできるし、何より体のキレが段違い! フハハハハハ! 私はVR空間でもみたまちゃんたちを守れる力を手に入れたぞぉぉォォォ!」
すごく高いテンションで、さっきと同じ動きをし始めました。
ただ、さっきとは違って、動きのキレがお姉ちゃんの言う通り段違いだし、ジャンプすればものすごく高く跳び上がるんだもん。
『『『えぇぇぇ……』』』
そんな光景を見て僕たちの口からは、自然と困惑の声が漏れていました。
「人外挙動はたまに見ていたが…………」
「あれがリアルのひかりの真のスペックなのじゃな……」
「やっぱあの人だけ人間辞めてる気がするんよ。人間って、リアルであんな動きできるん?」
「ん、さすがの人外。どうみても数メートルどころじゃない跳躍してる」
「私も似たようなことはできるけど、TS病ありきだし……お姉ちゃん、すごいよね……」
「もはや人の身を超越していらっしゃるかと」
「やっぱすげぇですねぇ。同じ人間とは思えねぇんですけど」
「「かっこいい……!」」
【俺の目には、残像が見えるレベルで武術の技を披露し、かと思えば超高速バク転をして、さらに言えばものすげぇジャンプして、かと思ったらなぜか空中で方向転換して移動する邪神が見えるんだけど……】
【あれで本来の肉体のスペック……???】
【ちょっと何言ってるかわからないです】
【邪神の身体能力が高いってのはよく聞くけどさぁ……これ、身体能力が高いで済ませていいレベルじゃなくない? どう見ても、人外だよ?】
【あれ、みたまちゃんへの愛だけでなった……いや、成ったんだよね? 愛の力って、偉大だなぁ……】
【やっぱ邪神が一番やべぇよ……】
【っていうか、超人コマンドってなんだよ……】
【今回はそこまで奇行がないなぁ、と思ってたのに、このざまだよ】
【やっぱらいばーほーむだったわー……】
邪神、リアルでも空中で方向転換できます。お前もう人間名乗るな。
余談ですが、VR空間内は作中で邪神が使ったようなコマンドを一切使用しなければ、物理法則とかも全部リアルそのままです。まあ、超人コマンド使っても、普通は空中で方向転換とかできないんですが……。




