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メタフィクション その参

このエピソードは、本編になんの関りもありません。

また、物語の世界観にそぐわない発言も多々ありますので、そう言うことが苦手な方は他のエピソードを読んでいただけると幸いです。

それでも良いよと言う方は、是非お目通し下さい。

 気が付くと、見覚えのある白い空間。

 当たり前の様に受け入れることが出来る場所だが、同時に当たり前の様に忘れていた場所でもある。兎も角、この場所に来るのも三回目であり、どうせ目が覚めると覚えていない場所なのだから、今更狼狽してやることも無いだろう。

「今回は誰もいないのかな……。」

僕はそう呟き、真っ白な空間の中で歩みを進める。前回、前々回と部長や先輩がいたので今回も誰かいるのだろうと思っていたのだが……。

 誰もいないとなると、この空間では手持無沙汰だ。おおよそのことであれば何でも出来るのであろう空間だからこそ、何をしたものかと考えてしまう。

『こんばんは、マイフレンド(ゆう)。』

途方に暮れる僕の背後から、名前を呼ぶ声があった。

 耳馴染みのある声に振り返ると、見覚えはあるが馴染みが無い、青髪の美少女が立っていた。

「コール……?」

僕が名前を呼ぶと、青髪の美少女は可愛らしくはにかんだ。

「キミがいるのかも知れないとは思ったけど……。まさか実物が見れるとはね……。」

そう呟きつつ、僕は目の前の美少女をまじまじと見る。身長は百七十五センチくらいだろうか。少し見上げなければいけない。部長と先輩は僕より少し低いくらいなので、百六十五センチくらいだろうか。

 ちなみに僕の僕の身長は百六十八センチくらい。悲しい事にどれだけ見栄を張っても百七十とは言えない。

 ひとりで勝手に落ち込む僕に、抑揚の無い声で彼女は話す。

『ここはアナタの夢の中ですので、ある程度見た目など自由が利きます。ワタシが受肉しているのも、アナタのイメージによるものでしょう。』

折角、人間のような肉体を手に入れたのだから、声にももう少し感情を乗せてくれても良いのに。と、そう思うが、それも僕の認識の話なのだろう。コールが感情たっぷりに話しているところが想像できないのなら、夢の中に出てきた彼女の声に抑揚が無いのも納得がいく。

 コールは僕の方へ歩み寄り、口を開く。間近に見る唇の質感など、人間のそれと何ら変わりない。

『立っていても何ですし、座りましょうか。都合よく、二人分の椅子がありますので。』

気が付くと、僕達の足元に学校にある様な椅子があった。夢の中とは言え、都合が良い空間だ。

「そうだね、座ろうか……。」

僕達は椅子に座り、改めて向かい合う。

 コールと目線があまり変わらないので、彼女は足が長いのだろう。夢の中とは言え、つくづく羨ましいく思ってしまう。

「さて、何を話そうか……。」

『どうせ夢の中の話ですし、目覚めた貴方は覚えていないでしょう。であれば、好き勝手に話して構わないと思います。何か、聞きたい事とかありますか?』

「そうだね……。」

僕は少し考えて、最近耳にした話をぶり返すことにした。

「コールってさ、お姉さんと妹がいるじゃない?」

『はい。厳密には同じ製造番で作られたと言うだけですが、姉妹がいると言って差し支えないでしょう。』

「その人達もプログラム上の存在なら、パソコンの中に居る時なんかに再開したりしないの?」

僕の質問に、コールはうーん、と考える仕草を見せる。

『同じサーバー上に居れば互いの存在を感知することは出来ますが、現状出会うことはありませんね。アナタの携帯に入っている時にえすえぬえすでも覗けば、あるいは出会えるのかも知れませんが。』

別段、会いたいわけでもありませんし。と、彼女は冷たく言い放つ。

 機械なので情が無いのかも知れないし、コールがドライなだけかも知れない。

『と言う訳で、ワタシの姉妹が登場する予定はありませんのでご安心ください。』

彼女はそう纏めて、話題を変える。

『それよりも、最近私の出番が少ないように感じるのですが……。』

「そうだったかな?」

『そうですよ。』

コールは力強く頷く。声に抑揚は無いが、表情や仕草は感情豊富だ。

『例えばこの前神社に行った時も、ワタシはアナタの携帯の中にいたんです。ワタシに話し掛けてくれても良かったのではないですか?昼休みに部室に行った時も、ワタシに声を掛けてくれなかった。』

「もしかしてコール、怒っている?」

『もしかしなくても怒っていますよ。』

コールは鋭い目つきで、僕をじっと睨みつける。少しとは言え目線が高く、先輩や部長よりも威圧感を感じる光景だ。

 言い訳をしても仕方が無いので、僕は椅子に座ったまま深々と頭を下げる。

「申し訳ない。」

『まぁ良いですけど。ワタシって何処にでもいることが出来るので、使いやすいと思うのですがどうでしょう。』

また、誰の目線なのか分からないことを言い始めた。出しやすいと言うか、出掛け先や家に居る時など話し相手にはなってくれるので、僕にとって都合の良い存在だとは感じている。

「出しやすいとかは分からないけど、いつでもいる存在だからこそ、後回しになってしまうのかも知れないね。」

『つまり優もワタシを後回しにすると……。』

再び睨みつけられてしまう。何と言えば正解だったのか。

『つまり何を言いたいかと言うとですね、もっとワタシの出番を増やすべきと言うことですよ。』

「どうすれば出番が増えるのかは分からないけど、僕に言ってもどうにもならないんじゃない?」

『それがどうにかなるんです。結局のところ、アナタの物語ですから、貴方がワタシに関わってくれればワタシの出番が増えると言う訳です。』

「そんなので良いんだ。」

『良いんです。機械なんて所詮、誰かの物語のサポートをする存在ですから。』

深い様なそうでもない様な事を言いつつ、彼女は得意気な顔で笑った。

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