表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/82

アウクスブルク帝国への招聘10

アルがあの忌々しい魔族を倒してくれた。でも、アルの身体は満身創痍だった。私は慌ててメガヒールの魔法を使って、アルを癒した。アルはかなり回復したけど、未だ十分とは言えない。ダメージが大き過ぎたのだ。


「……アル」


私はアルの頭を抱きしめた。生暖かくて気持ち悪いと言われてもめげない。ただ、私がこうしたいのだ。私の為に戦ってくれた幼馴染、アル…私はアルが愛おしく思えた。


「ク、クリス…」


「生暖かくて気持ち悪いの? でも止めないわよ」


「いや、ホントは暖かくて、柔らかくて、気持ちいいよ。クリスに癒されてる様な気がする」


「いつも生暖かくて気持ち悪いって言ってた癖に」


「そんなの嘘だよ。照れ隠しだよ」


「じゃあ、これはお礼よ。気持ち悪いって言わないでね」


私はアルの頬にキスした。


「あの、クリスさん? お楽しみの時に悪いんですけど、どうもヤバいヤツが又来たみたいなの」


アンだ。アン達はアルと魔族との戦いを静観していた。それはそうだろう。例えアンでも初めて見る魔族と一戦交える勇気はないだろう。他の騎士達だって…それにアルが一番強い騎士なのはみんな知っている事なのだ。


「どうしたの? アン?」


私はアルの顔から顔をアンの方に向けて、アンに聞いた。


「感じませんか? 瘴気が急激に増しています。さっきの魔族が近づいて来た時もこんな感じでした」


アンの言う通りだ。極めて濃い瘴気が城塞都市の中に逆巻いている。これは魔族が顕現する兆しだ。魔族は一体何人いるんだ? 魔族アザエルだけじゃないのか?


「アンの言う通りみたいね。アルはしばらく休まないと戦えない。私が…」


「…いえ、クリスさん、私が戦います」


「駄目よ! アン、魔族はそう簡単に倒せる相手じゃないの。何度かやりあわないと、初戦でいきなり魔族を圧倒する事なんてできないわよ。例えアンでもそうなの!」


「いえ、違うんです。少々訳アリなんです。因縁というか…」


「どういう事なの? アン?」 


「すぐ、わかります。もうじき魔族が顕現しますよ」


確かに魔族はもうじき顕現するだろう。だけど、何故初めて魔族と相対するアンにそれがわかるの?


突然私達の目前に黒い瘴気が霧となって現出した。そして、霧から無数の蝙蝠が現れた。


「こ、これは、吸血鬼の魔族ね」


「いかにも…我が高貴なる者の姿を貴様らごとき人風情が拝見できる事に感謝して…そして、死ね」


吸血鬼はマジでうざい。たいてい自分の事を高貴なる者とか言いながら、人間を馬鹿にするのだ。しかし、私は安心した。幸い、この魔族は私を凌辱した魔族の一人ではない。私はコイツなら戦える。


「不細工の分際で、高貴な存在だなんて、笑えるわね。あなたの家には鏡が無いのかしら? いや、失礼、吸血鬼は鏡に映らないのよね。だから勘違いできるのね。ウケる!」


勘違いしないで、これ私じゃないよ。アンの発言なの。私だって言いたいけど、かえって火に油を注ぐ事にしかならないから敢えて魔族を挑発なんてしない、でもアンはどうしたの? キャラ違うわよ?


「貴様、たかが人間風情の分際で我を愚弄するとは…不敬だろうが!」


「あなた知らないの? 不細工に人権はないのよ。全く不細工は…」


アン、いや、確かにこの吸血鬼は不細工だけど、アンはそんな事言う様な子じゃないよね?


「アン、どうしたの? あなたらしくないわよ? 一体突然どうしたの?」


「クリス…500年前にね…あなたの亡骸を…その魔族は足蹴にしていたのよ。私、コイつは許せないの。徹底的に叩きのめすから…絶対許さない」


500年前? アン一体何を?


「ねぇ、吸血鬼さん。あなたは私が滅ぼしてあげる。綺麗な灰にして、豚の餌に混ぜて食べさせてあげるわ」


「なんだと? この人間風情が! 貴様からまず先に殺してやる」


「駄目! アン、止めて!」


「いいえ、クリスさん、いえ、アリシア様!」


「!?」


アンが私の前世の名前を何故?


アンが魔族の前に立ち塞がり、スラりと剣を抜く。もうアンと魔族が戦うしかない。この魔族がそれしか許さないだろう。


百花繚乱(ひゃっかりょうらん)!」


アンが剣を振るうと、魔族に向かって無数の花々と蔓が出現し分裂して剣の様なものが複数生まれ、無数の剣が魔族を襲う。


「なに!?」


魔族は慌ててバックステップで避けるが!


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」


次々と増える花と蔦の絡まった剣から逃れきれない。


「こ、この技!」


「思い出しなさい! 500年前、アリシア様の亡骸を足蹴にしていたわね? この技に見覚えはないか? アリシア様の無念を晴らす為、あなたに私はこの技で斬りかかった。でも、あなたはこの技を見てあっさり逃げおおせた。この卑怯者!?」


「貴様、転生者か? あの時の小娘とはな…いいだろう、あの時の屈辱を晴らす時が来た。高貴なる我に逃走だなどとなんと不名誉な事を選択をさせた貴様! 我はこの500年間力を蓄えたぞ。あの時の様にはいかん。成敗してくれるわ!」


「何度やっても同じよ。お前ごときに遅れをとる様なアリシア様の従者ではないわ!」


「そうか。貴様、青の魔導士の従者でったのか? 故にあれ程怒っておったか?」


「ええ、貴方はアリシア様の亡骸を冒とくした。許せない」


「貴様、我がただ足蹴にしただけだと思っているのか?」


「なんですって? あなたアリシア様に何をしたの?」


「死んだとて女には使い道がある。男にとってはな、はっははははは、中々良かったぞ」


「貴様、アリシア様を足蹴にしただけでなく、その様な侮辱を! アリシア様の亡骸に! 許さない。許さない。絶対許さない!」


えっ? 私、死んでからもそんな事されてたの? できれば知りたくなかったな…それにその性癖はちょっと引くわ。いや、記憶はないけど、かなり気分悪い。


更に剣を振るう、アン。


「花の舞、落花流水!」


魔族の真上から花々が無数に落ちてくる。そして、魔族を巨大な花のドームで包む。


「斬!?」


花のドームは急速に縮んだ。そして花や蔦の先端は剣へと姿を変えて、無数の剣が魔族を襲う。


「うがぁぁぁぁぁぁぁあ!」


血しぶきが飛び散り、魔族は無数の剣によって刺し貫かれた。そして、魔族は霧になった。そして霧は場所を移し、再び濃くなり人の形となり、現れる。傷一つない姿で、


「無駄無駄無駄無駄!? 吸血鬼の我の命は無限! 剣などで、斬り殺せるものではないわ!」


「そう、これならどう? 花の舞、落花流水、煉獄!?」


再び先ほどと同じ技が魔族を襲う、今度は剣に魔法剣の魔力を付与して、いや、花や蔦全体に魔力が渦巻く。


「ぎぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!?」


魔族の身体は剣に刺し貫かれただけでなく、膨大な魔力によって、その細胞の一片たりともこの世に残らなかった。しかし、


「な、何!?」


魔族は急速に魔力と瘴気を失い。消えて行った、だが、再び違う処に瘴気と魔力が逆巻く。


「残念だったな? あの時とは違うのだよ。今の我は正に無限の住人。死は超越した。死んでも我は直ぐに蘇る。あの頃なら復活に数百年はかかったが、今なら数秒だ」


「だからあの時逃げたのね?」


「ああ、魔力量から、危険と思えたのでな。死なぬとは言え、数百年も復活に時間をかけとうないからのう」


アンの顔に焦りが見える。不死者、それも死んでも数秒で生き返る吸血鬼、アンはどう戦うつもり? 私にも勝機が見えない。この世から細胞の一片も残さず焼き尽くしても死なない魔族、ある意味最強…


「ブラッディナイト」


魔族がそう呟くと、血で出来た無数の剣がアンを襲った。

連載のモチベーションにつながるので、面白いと思って頂いたら、作品のページの下の方の☆の評価をお願いいたします。ぺこり (__)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂いた読者様ありがとうございます☆ 本作について、 「ちょっと面白かった!」 「島風の新作を読んでみたい!」 「次は何を書くの?」 と思って頂いたら、島風の最新作を是非お願いします。リンクがありますよ~☆ 読んで頂けると本当にうれしいです。 何卒よろしくお願いいたします。ぺこり (__)
『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ