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フェンリルの挽歌~狼はそれでも狩りがしたい~  作者: 火魔人隊隊長
オカシナ イセカイ ファンタジア
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4話 ステータスの内訳

前回:――俺は最強だから寄生するんだ、ヒャッハア!――

「全く、お前には参るよ。何度も逃げてハ、捕まりマタ逃げて、ようやくオトなしくナッタと思ったら、今度は内部で暴れるって」


 今、独房に近づきながら話しかけているこの犬は何を考えているのか。ぼくがどれだけ必死なのかを理解していないだろ。


「日本人ってのは厄介だね。バイトに中国人が複数イルと母国語で話したがるヤツラに対して、怪シイだの危険だの言うのに、自分たちが国外に行くトキには、日本語が通ジルかどうか心配して、その国の言葉を予習するデモ勉強するデモなく、日本人だけで固マリたがるってイウし」

 何の話だ?意味が解らない。


「言葉以上に、簡単ニ通じる言語を使うことはアリ得ないから、通じるとイウ事を微塵も考えない。ボディランゲイジは、最強の言語だというノニ。使わなかったダロ」

「そんなので伝わるわけないだろ。どうやって伝えるっていうんだよ」

「伝わるモンだよ。自分を指さして名前を言えバ、ソレだけで名前は伝わル。最小限の単語を覚えテ、指をさしたり、ジェスチャーすれば、意味が伝わル。腹が減ったでも時間がナイでも、ナンでもね。

 それだけで会話シテ、世界を旅するツワモノに前世でアッタことがあるよ」


 そんな奴いるわけないし、いたとして何の得があるんだよ。そもそも一週間ずっとこの独房から出してもらえないじゃないか。だから無理やりに出ようとするのに。


「毎度、飯を置きニ来る人に飛び掛かって、無理やり外に出ヨウとして殴っていタラ、誰だっテ安心できないだロウ。


 結局、今お前は2つノ道が用意されて、最期の意思に委ねられていルンだ。ソれで唯一話せる俺に仕事が割り振らレタ。奴隷にナルのと、大人しくここの方針に従うの、どっちがイイ?


 奴隷にナレば首輪付きだ。逃げヨウとすれば首輪が爆発シテ、死ぬ。強制労働にムチ打ちもアリうる。


 方針に従うナラ、言葉の授業だ。その後は好きに仕事を選んデ、好きな場所で生きらレル。閃きデモ異世界知識デモ使って、商売すればイイ。


 コレは俺が決めたことジャない。この施設が、王家に訴えるマデになった結果だ。ソウなる理由も簡単。言葉の喋らナイ暴れん坊が、街にいタラどうなる?

 悪い言い方すれバ、お前は今、東京の街中に現れた、ニホンザルやイノシシと同じダ」


 人をそんな動物と一緒にするなよ。何を考えているんだよこいつ。なんなんだよそれ。方針に従う以外道がないじゃないかよ。


「僕は冒険者をやるって言ってるじゃないか、なんで人を縛り付けようとするんだ?」

「冒険者は危険ニ縛り付けらレルぞ?それでもヤる気か」

 そんなのどうにでもなるだろ。ぼくは最強なはずなんだから。


「正直、方針に従う方がイイんだけどナ。ソコまでしてヤりタイのか?」

「そんなの決まってるじゃないか。この世界に来てなんでそういう仕事やらないでいられるんだよ。おかしいだろ?」

「ソコまで言うなら話を通してミルけど、お前は結局、会話ができナイ厄介者とイう扱いを受けるのは、同じことだゾ?少し会話できてモ社会から浮くのナラ、チームも組みにクイ。そしたら」

「チームなんているわけないだろ!ボクは最強なんだから!」

 独房の鉄格子の前でこいつはため息をついた。なんでため息なんかつくんだよ?!ありえないだろ!


「オマエ、絶対学校でイジメられてたダロ?」

 なんで今そんな話になるかな?いじめられてはいないし浮いてもいなかったけどな?そんなばかなことするわけないだろ。ぼくはそんな奴らとは違うんだよ。


「マトモに社会で暮らすって事を理解しなさすぎダ。チームがなんで必要か……」

「そんなのいるわけないだろ、最強だったらさ!」

 またため息ついた。何だっていうんだよ。


「ソのチカラを見る方法がアル。おおよその才能を見る『ステータス』だが、確認してミルか?」

 ステータスって、ゲームとかにあるあれかな?マジかよ、そんな魔法どこにあるの。普通そいういのはどっかにウィンドウとかあって見れるようになっているものじゃないかな。目線を動かしてみても手をどう動かしてみても反応しないんだけど?


「ウィンドウ魔法とか、アルと思うなよ?そういうのはフィクションだ。第一、ステータスとかって漫画雑誌のグラビアとかにもアッタだろ。身長だのスリーサイズだのを書いた奴。アッチの方が近イ」

 言っている意味が解らないけど、いったい何を言いたいんだろう。ようやく独房のドアをあけて、ぼくを外に出した。そのまま外に出るみたいだけど……


「一応言ってオク、逃げようとしタラ、氷漬けか雷撃で痺れるかの2択だカラ、ヤロウとするなよ?狼カラ逃げられるワケがないしな」

 こいつ本気でオオカミだと思ってるのか?確かに顔怖いけど、犬だろ。


――――――――――――――――――――――――――――


 広い部屋に出てきて、その後正面玄関らしいところから右手の部屋に入った。その部屋の正面にテーブルがあって、お盆みたいなものに水が入っている。黒い服のオジサンが近くにいて何かを準備している。


「俺も定期的に計っていたんだケド、ちょうど時期だカラ一緒に計らセテもらうよ。ソレを読み上げれば、違いがよく分カルだろ」

 ついでかよ。別にいいけどさ。そのまま水の入ったお盆に手を付けた。中に紙みたいなやつが入っているけど、なんなんだ?……すこしこいつ黙っていると思ったら、なんか紙に書かれ始めた。何語か分からないけど、だれが書いて……だれも書いてない。このテーブルの下に何か仕掛けがあるのかな?


「今見ていたヨウに、勝手に文字が浮いてクる。嘘だと思って、おマエの分を書き出せ。水ニ手を入れるダケでいい」

 しょうがないから言われたようにやってみる。そして書かれたものを吊るして干し始めた。これがいったい何なの?意味が分からないけど。


「さて、ココまでお前の名前聞いてなかったワケだけど、コレ読めば大体のお前のコトが分かる。行くゾ?」

 何を言ってるんだかわからない。そう言えば、名前とか全然話していなかったけど。


「ユータ・イガラッシィ……表記間違いあるんだナ、笑える。

 生まれは福岡、住居は大阪。職業、学生。年齢15歳3か月。身長163センチってとこか。体重47キロ、痩せギスだな。生まれツキか?

 それ以外の身体特徴は省こう、書かれてイルけどね。学校での成績、5段階か?高くて4までしかナイが。しかも殆ど2か3ダナ」


 おい、こいつ僕のプライバシーなんで知ってるんだよ。身長も体重も大体合ってるし、成績……そこ、無視してくれないかな。だって、僕は天才だ……と思うから。天才は、他の分野が低いんだよ。


「本題、冒険者にとって一番見るべき身体能力と技能。

 スタミナ100、保有マナ20、筋力123、タフネス93、敏捷性76、魔力8、精神力27、器用性47、運100……なんだコレ、クサハエル。

 技能、……剣術レベル0。こんなことあるのか?ウソだろ。それ以外の技能は無し。そのほかについても職能適性、無し。

 ダメダメじゃないか」


 言ってる意味が解らないけど、筋力だけはすごく高いって事じゃないのかな?それよりプライバシー全部わかるってなんなんだよそれ。侵害していて問題ないのかよ?


「俺のモ、比較で出すゾ?言っとくケド、俺は実戦能力で、3等級パーティと同等の戦力を、1人で出すレベルにナル。身体と技能の両方が、俺cryになれれば、2等級でもソロや少数パーティが許されるようにナル。その目安の1つだから。

 ソウいう人、結構いるけどな。うちのギルドでも20人以上イルし。


 ヴァン・カ・フェンリル、生まれはエルバス山脈、住居ノーザンハルス。身長158センチ。体重59キロ。職業、狩人、魔術剣。……魔法剣士じゃなくナッタのか?年齢12歳。

 身体能力、スタミナ800、保有マナ3900、筋力319、タフネス198、敏捷性482、魔力453、精神力281、器用性260、運18。

 あ、男性平均の数値は200だから。シカモ基準年齢は15歳な。

 技能……心眼、相手の動きヲ見抜く技能。力量探知と魔力探知、魔力と力学的ナ力の流れを理解して感ジル技能。高速学習、知られていナイけど、多分覚えが早く忘れニクいって事だろう。意味アルのか知らんけど。

 アト、剣術技能28、格闘技能29、火属性適性300、空間属性適性100、その他属性適性50、精霊魔術習得、クラフト魔術技能19、料理技能18……」


「ちょっと待って、それって僕は何もないけど、お前は才能だらけって事かよ?何だよお前のチートは!ぼくには何もないっていうのかよ!」

 それ以外に何の違いがあるんだよ!異世界から来たらチートを何か持ってるものじゃないのか?


「マズ、女神とか会わなかったダロ?この世界の神様って呼バレてるのは、12英雄らシイ。大方そう見られるヨウに、為政者が騙ったんジャないかと思うけど、その影響でナノか、神様の概念が違う。

 ソシテ、転移しようが転生しヨウが、神様にアった人間は、誰一人としていナイそうだ。そういうヤツからモらえるチートも存在しない事にナルんだよ」

 マジかよ。そしたらどうなるんだ?よくわかんないんだけど。


「俺の能力は半分は生まれツキ、半分は努力だ。属性適性や、獣人スペック由来の素早さは生まれツキ。魔力は個別によって高い低いもアルから、一概に言えないけど、育つもの。筋力だのも、毎日の修練から来たモノだ」

「じゃあ、攻撃力とかないのは何なんだよう!そういうのですごいところとかあったんじゃないのかあ?」

 普通こういうのはあるだろ!


「お前も知ってるかもしれナイけど、ゲームにあるだろ?筋力とかカラ係数をかけて、相手の防御力とブツけ合ったウエで、係数をかけてダメージ計算スル奴。そのテイで考えろ。

 ソノ上で、相手のどこニ当てるカでダメージも変わる。同じ攻撃力ダッタとして、手を貫いた場合と心臓を貫いた場合、ドウ違いが出る?こう言った現実的な物マデ入ると、攻撃力何それオイシイの?って話になルンだよ。

 攻撃力が計算デキルとしても、関係する筋力と敏捷、器用さにその人の体重と武器の質量、ソれに技能なんかをカケたうえでの計算になる。最早、真面目な力学の領域で、シカも足場とかのちょっとの要素で、どれだけデモ数字が変わってくる。

 一定の数字になる方が有り得ないンダよ。ゲームじゃナイんだから。

 俺にはムシロ、剣術レベル0の方が驚きだヨ。普通1が最低のはずナンだけど」


「ぼくだって理解できないよう!10年くらい爺ちゃんに剣道を週1回教えられていたのに、なんでだよ!」

 10年も頑張っていれば、さすがに強くはなるだろ。実際段を持てるくらいには強くなっているんだけど。なんでない事になってるんだよ!


「アア、剣道。しかも週1?ソれじゃ厳しいか」

 なんか納得して頷いてる。何がダメなんだよう!


「何がダメなんだよう!意味わかんないよ、10年やってればすごく強くなれるだろう!」

「いや、厳しくナイか?剣道は『心の武道』ダシ。剣術じゃナイだろ」

 それは知ってるけど、言ってる意味が解らない。


「まただんまりカ、いいか?剣道は竹刀や木刀を持ってヤルものだ。真剣を使うワケじゃナイ。シカも打つのは面とか胴ダガ、正眼で構えるナラそんなトコロを打つより、首や胸を突いてしまった方が、挙動が小サイし、確実に殺せる。

 実際、新撰組1番隊隊長がソウだろ。そんな危険な技は学生にはさせナイ方針だと思ったがな?


 対して、剣術は殺す技術ダ。いわゆる居合抜刀が、全剣連における3道に入るケド、その動きは基本的に剣道と違うし、修練の仕方もチガう、本物の剣術の領域だ。やり始めれば覚えるのは早いケド、やることが全て違うんダヨ。


 ソレに、動き方も違う。剣道は片足出シッパだし、わざわざ大きく手を挙げてカラ打ち込む、モトイ本物の真剣を使うには、無駄が多すぎルンだ。

 居合は1回目はカワされる前提で、2回目3回目でどう打つかが技能と言われる。バカな奴は、1回打ったら必ず鞘にシマうと、思い込んでいる奴もいるミタイだがな?ソレは右手の恋人にする扱いだナ。

 脚に対しても、自然に組み替えるヨウに動かす。デナければ、間違って自分の足を斬ることもアルし、下から切り上げて腹をさばいたりもするモノなんだから、そのための力の掛け方があるンダよ。


 ソウいう物騒なものを排除して、昇華したスポーツである剣道を、毎日ではなく週1でヤってるのでアレば、死ぬ気で毎日一年か二年打ち込んだ、ルール無用な実戦を想定した居合修練者に、負けることもあり得ナイ事じゃないと思うけどナ」


 なんでこいつここまで語れるんだ?ぼくの方が剣道の事知ってるはずなのに。それに弱いのが当然みたいに言って。10年やったんだから、弱い訳ないのにさぁ。


「ツマリお前は、剣術の下地はできてるケド、剣術になっていないと、判断されタって事だ。それが嘘かどうかは、この紙を見てプライバシーを言われた事と、実戦カラ判断しろヨ」


 それだけ言って、あいつは部屋を出て行った。吊るされていた紙はいつの間にか乾いていて、取り込まれている。

 いったいこれ、なんなんだ?勇者召喚はないって言ってたし、その次に定番の冒険者に適性無いとかって。どんな世界だよ。中途半端だよ。

 しかも、あいつ属性の事、ぼくのステータスから省いてたよね?全部ないって事はないはずだから、きっとそこに凄いのがあって負けたくないから黙っていたんだよ、きっと。だから何かきっと、凄い事があるはずだよ!


 学校の成績とか、運動神経がダメでも、きっとチートがあるから、きっと天才なんだから、ぼくは!

精霊のぼやき

――なんで、成績が5段階か確認したのさぁ――

 わたしの記憶が確かならば、10段階評価の年頃の筈であり、それでこの成績は奇跡的な、バカの証明の1つになってしまう為、ですよ。

――確認するまでもなく、バカな顔と動き喋り方と声と存在感出してるじゃない?――

 それはちょっと……言い過ぎに思えないのが、不思議。

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