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フェンリルの挽歌~狼はそれでも狩りがしたい~  作者: 火魔人隊隊長
オカシナ イセカイ ファンタジア
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3話 ワカラナイ

前回:――街に来て、捨てられた?ププピル?なんのこっちゃ――

「ブッハハハハハハハ!ソレで朝までランニングして、俺が狩りカラ帰ってキタところで見つけたってことカヨ、馬鹿かお前!ハハハハハハハハ!」


 ようやく見つけて声をかけたと思ったら、これかよ?一体どれだけ探したと思ってるのか。今自分がいる場所も、こいつがいる場所も全然わからないし、この街がどういう形をしているのかも分からないんだから余計だろ。


「勝手にいなくなる方がおかしいだろう?おまえが……」

「馬鹿だ、こいつ。いや、サルだ」

 ……どういうことだ、それ。なんで人を馬鹿にするような目で見てるんだよ。


「お前、俺に寄生シに来てんじゃねえよ。第一言ったじゃナイか。通常通り教会ニ引き渡すッテ。俺は冒険者だから、教会にいるワケがないっテノに。それで、唯一話せる人の所に来て、コレからも養ってもらオウって事じゃないのカヨ」

「そ、そんなこといつ言ったんだよう、ぼくは」

「不安は分かるケド、教会にイタ方が安全で確実にいいよ。俺の場所は危険なんだカラ」

「でも……」


 怖いとか不安とかじゃなくて、ぼくなら確実に最強になれると思うから、最強だから、冒険者をやろうと思っているっていってるのに、


「ヴァンチー、クルルンパーゲソナヤイデラ、ゲスニカ?」

「イアー。エロムシオガクコンチュバイキングイグスラ。ププピル?レグニカムスカ」


 ぼくを無視して勝手に金髪の人としゃべり始めた。


 彼の居場所を探して街中を駆け巡って、ようやくついた木造の建物の裏で、なんかデカい動物の肉を渡しているこいつにあったのはいいんだけど、その後部屋に案内されて、理由を話したらこの状態。

 部屋っていうのも妙に明るく赤みがかった壁紙が張られて壁に何かの絵画、ぬいぐるみ、ガラクタみたいな円いものがおいてある。広いキッチンダイニングのような部屋と、寝室の2部屋しかなさそうだ。


「とにかく、ぼくは水洗のトイレじゃないとしたくないし、お風呂がないのも無理だし、あんな沢山の人と同じ部屋なんて無理だよ。仲間って言っても、なんかアメリカ人だったし」

「アメリカじゃナクてフランスな。東北訛りみタイな喋り方だったダロ。あと一応、トイレは水洗だよ。水が流れてそのママ下水に流れてる、古代ローマみタイな感じの奴だ。風呂は街に共同の浴場がアル。金は、教会の方カラ出してくレルはずだ」

 こいつ会ったことあったのかよ。それにあれで水洗かよ。どぶ川におまるの蓋つけてしてるみたいだぞ。


「アイツも少し前に見つけて案内しタンだ。不定期に異世界に繋がってしマウみたいでさ、しカモ不安定な一方通行だから何が出てクルか分からないんだよね。硫酸の雨ダッタりとか」

「ちょっと待って、それってどういうこと?!意味わかんないよ」

「ダカラ、日本はおろか地球でアル可能性が低いって言って……」

「じゃなくて!一方通行ってどういうことかってこと!」

「ああ、ソッチ?……定番じゃネ?聞く必要あるのカヨ」

 なんか偉そうに話していたと思ったら、いきなりつまらなそうな顔になった。なんでだよ。だってそれじゃ……


「コッチから()を拓く技術は存在していナイ。そして向こうカラは、気が付いタラやってきているんだ。まるで上の世界カラ下の世界に落ちるヨウにね。

 そして戻る魔術はモチロン、ハシゴや階段、況シテ仏の下した糸もナイ。戻り道は今のトコロ不明ナンだ」


 それじゃ、ぼくはどうすればいいんだよ。一方通行ってわけわかんないよ。それでもその道っていうのがわかればどうにか帰れるんじゃないか?


「もし仮にだ、地球のある世界にツナがったとシタラ、どの星か分からないゾ?或いは……ないとは思うケド、この世界は地球のある宇宙のドコかの星の可能性だってアルかもわからん。

 しかし、どこニ地球がアルかなんて確認のしようがないンダ。天体望遠鏡cryはアルけど。

 そもそもおまえ自身、ナサが宇宙人見つけたトカいう話を聞いたことアルのか?」


 それは、無いかもしれない。さっき硫酸の雨とか、地球の可能性とか言ってたって事は、次につながるのは月とか火星だったりするかもって事か?それに小説とかなら、パラレルワールドだって定番なんだし、そうなったら、帰れるって保証がどこにあるのかわからない。


「宇宙に無限に広がるホシの内の1つとしか道が繋がらないナンて、マトモな思考ができていない妄想患者だと、言いきれマスわな。まるで現代で天動説を信じているようなものだよ。

 むしろ地球人が3人ソロった奇跡を喜ぼうぜ、坊や」


 すっごい嫌味な笑い方。それに

「坊やはないだろ。おまえ見た感じ動物だけど、15歳くらいじゃん。そしたら……」

「ヴァカめ。12歳の体で50半ばの精神のオッサンじゃい。転生者って言っタダろ。物を考えられないおサルくん」

「なんだよその某高校生名探偵より離れた年は……」

 むしろ爺さんじゃん。


「弟子にナッタ頃は真面目に見た目は子供、頭脳は大人ダッタからなあ。高校生ナンて、成人してイナイんだから大人じゃないんダシ理屈に合わないんだカラ、ソの辺もちょっと考エ方が疑わしいといウカ、笑えルというか」

 絶対悪意持って言ってる、こいつ。そういう事じゃないだろ。……成人してないのは事実だけど。


「とにかく、帰り道は今のトコロない。探してみてはいるケド、見つかる兆しはなインだよ。渡れる世界が1つって確証もないシネ。実際どの世界なのか、世界を渡ってクルのはどんな理由なのか、検証している人は結構いるけど、こレといったものは出てこないンダよ。意図して渡った人がいないカラね」


「でも、何かの理由で地球としか繋がっていないかもしれないじゃないか。違うって言いきれるのかよ」

 こいつは他にも道が繋がっているって考えているけど、むしろ日本人で揃う事だってよくあるだろ。


「俺は1人、違う世界カラ来た、地球人じゃ無いヤツを知ってイル。見た目も何もカモ、全然違うんダ。実際に転移シタ後みたいだったシネ。そいつの来た場所で不自然な後を見つけたから確実だロウよ。

 それと、お前の転移してキタらしい場所も見た。狩りの時にネ。ソイツの時と同じで、不自然なモノがあったよ。森の中にアスファルト」

「それってどういう??」

 こいつ、ぼくの最初にいたところまで行ったのか?どうやって……?


「ソノ空間が入れ替わったンダ。それが転移の法則の1つらシイ。お前言ってたナ?『橋を渡っていタラ、マンホールに落ちた』トカ。それ、有り得ないんダよ。土木の警備がいないコトはないし、バリケード設置も義務。囲いもセズ開けっ放しなんテ、アルわきゃ無い。

 それにソモソモ、橋にマンホールとかは、普通あまりナイ。マンホールの下は下水とかダロ?極論すれば、下水道の1つにある雨水管ナラ川に流してもいいんダシ、汚物の方なら下水処理場につなげるために計算しているハズだ。下水処理場がその先にアルんじゃなキゃ、つける事はアマリ無い。


 つまり、お前はマンホールに落ちたんジャなく、『ワームホール』、空間の穴に落ちタンだ。そしてその仕組みはマダ判明していナイ。因みに俺は前世、セコカンも土木警備も経験あるカラさっき言った条件は確約でキルぞ」


 それって、マンホールじゃなくておかしな空間に飲み込まれたって事かよ。どうしてそんなことになるんだ?それに、帰り道って見つかっていないし見つかっても帰れる保証がないのは間違いないっていう事かよ。帰りたいっていうんじゃないけど、でも……


「どうしたらいいんだよ。そんなの、ひどすぎる……」

 帰れないってどうすればいいんだよ。もう、みんなに……爺ちゃんに会えないのか。ありえないよ、どんな嫌がらせだ?……こんなの、いじめじゃないか!


「泣いて悲しんでも変わらないヨ。俺は転生シタ上で、結構楽しんで生きていルンだ。冒険者はお勧めシナイけど、この街で生きるのも……」

「だから冒険者やるって言ってるじゃないか!なんで理解できないんだよ、わからずや!」

 もう、これしかないじゃないか!それいがいにどうやっていきていけっていうんだ!

「ドッチが」

「そっちだろお!」


 ずっと言い合っていて、とうとうこいつはあきらめたのかため息をついて金髪の人に話し始めた。きっと、冒険者にしてくれと頼んでいるんだろう。そうじゃなきゃおかしいだろ?そして、少ししてドアが開いて金髪の人と話をして、僕を手招きした。きっとこの後、武器を選んだりするんだ。よし、がんばろう。


――――――――――――――――――――――――――――


「ゲーヘンナオージサン。ムーランロムルヴェルビラク。……ププピル?」


 また、三毛猫がいる。今度は2人、人間も一緒にいる。なんかずっとワイワイ話しているけど、何言ってるのかわからない。意味が理解できないんだから、分かれよ。俺の気持ちわかるだろ、この解らない気持ち。


「なんでまた教会に連れられてくるんだよ、意味わかんねぇ……」

 あいつ、絶対コロス。コロスコロスコロスコロス……


――――――――――――――――――――――――――――


「お前もシツこいなあ。本気で冒険者になって、本気で最強になるってイウのか?」


 もう1回木造の建物まで来て、こいつにあった。探すのにまた苦労したけど、一度行ってしまえばこの建物だけ木造だから目立つし、なんとかたどり着けた。もう夕方だけど。建物の、1階の広間で何とか説得してやっている。


「だからあ!ぼくは最強なんだから、負けるとか有り得ないだろう?」


「その言葉、絶対に後悔するなよ?このギルドに世界最強と詠われる剣士がいルンだが、俺はそいつと7サイで決闘して、軽く翻弄した挙句、本気出させタゾ。俺やそいつと戦って勝てるんダナ?」


 そんな奴いるのかよ。それにそんな奴にマジ出させるって、どんなチート使ったんだ?でも、ぼくだってできるはずなんだ。そんなの、余裕じゃないか。だって僕は最強なはずなんだ。


「な、何言ってるんだよ、意味わからないよ。なんでそうなるんだ、戦うわけないだろ!」

 あれ、なんでこう言っちゃうんだろう?できるような気がする……まだ、チートが何かは分かって無かったけど。脚が震えてるのは気のせいだ。


「ダヨな。ビビりは結局そう言う。日本人1億総サイコパスだカラ、しかたナイね。何しろイウ事みんな全部たった1つだ。『自分は悪くない(と思いたい)』。

 それはいいカエれば、だからお前が悪いって意味にナル。責任のなすりつけナンだよね」

「な、何を言ってるんだよ。ぼくはそんな事」


「最強なら、ヤれるだろ。チカラを示すってのはアル意味、ケンカを売ってるンダ。強くナイなら示す必要はない。ソモソモ訴える必要もないカラな。()()から示すことカラ逃げるんだ。

 その癖チカラを手に入れるタメの努力をしない。それジャいつまでたっても強くなれナイ。お前じゃ、意味ワカラなさそうだけどナ」


 それだけ言って、そいつはゆらめいて消えた……きえた?


「は?あれ、今ここにいたよな?あれ、あれ?どこ行ったんだよおまえ!!何なんだよチクショー!」


 その後、ドアが開いてさっきの人たちが現れて、すごく怒ってる感じで掴まれた。無理やり逃げようとしても逃げられない。どうしてこの人たちこんなに力強いんだ?


「ソイツらは傭兵だからナア。生半可な教育で体力も知力もガタガタにサれた日本人のお子チャマじゃ、降り切れないヨ。マズはちゃんと言葉を覚えな。これ以降、俺はお前と日本語でしゃべらナイから。何しろ疲れるンダ、この(マズル)なんでね」


 いつの間にか、馬車の上に移動してこっちを笑ってアイツが見ていた。なんでそんなに笑ってられるんだよ。


「お前おかしいだろ?!頭いかれてるのかよ、バーカバーカ!」

「言ってろ小僧。コッチは親切してやったのに恩をアダで返そうなんテ、やっぱり日本人はクズだ。助けた甲斐がナイね」


 バカにしたのにわらってる。なんでだよ。普通キレるだろ。そのままぼくは馬車に入れられて、ガンジガラメにされてまた教会に連れていかれた。今度は独房みたいな場所に入れられたから、三毛猫とかは来なかったけど、こんなのじゃ、奴隷じゃないか。


――――――――――――――――――――――――――――


――なにあれぇ、あんたの話に聞いてたニホンジンってあんなサルばっかじゃないでしょ?――


 残念。男子学生は9割はあんなものだ。そしてある意味、被害者でもある。今は加害者だがね。俺はそういうのとは違った1割の方だ。弱者って意味でもあるけどね。

 実際、魔法が使えても、ロイに飛び掛かるなんて、日本人基準ならまず無理だ。中には強くなった気になって挑むだろうが、勝てるつもりで勝てないのが現実。


 自分が卑怯なやつだと思いたくないし、悪いと思いたくない。だから相手に言葉で擦り付ける。無言で逃げる。誰だって当たり前にやってる事で、実際相手の立場に立とうなんて微塵も思わない。思うはずがないんだ。そう、教育されているんでね。上っ面では、相手の立場でなんて言って、ごまかしているけど。


――悪意あるなーって思ってたけど、あながち間違いじゃない気がしてきた。でも、人の気持ちとしてはある意味普通だよね――

 そこの普通に、あるべきものが欠けた社会になっているんだ。それは何か、なんて考えず、誰かのせいにするのに一生懸命、自分の為だけに生きるのに一生懸命になってるんだ。何しろ、誰だって欲を満たすのに手間がかからなくなっているからね。自分の欲にしか、興味ないんだ。


 本当に必要な苦労を、あいつは受け入れたくないから俺の所に逃げてるのを、分かってないんだろうね。そして、「自分が逃げてるなんて思いたくない」奴は、「お前のせいだ」と言葉にする。自分がデカい人間だと、大人だと思い込みたいからね。


――本当に大人なら、普通に謝りもするし、相手の気持ちを察して行動できるでしょうけどね――

 どこぞのババアもそうだけどね。結局、人間は愚かだよ。


――でも、あいつの気持ちも――

 理解できなくはないよ。帰れないって現実を突きつけたんだ。『現状は』というべきだったかもしれないけどね。すぐに帰れるわけじゃないし、原理がどういうものかもわからないんだ。それにその気持ちは、俺にはあまりないけど、同じ感情を持つ人がいくらでもいるんだ。


 さて、こんなセッションをしていてもしょうがない。そろそろ飯作らないとエリナさん怒りだすだろうな。

――あ、あれがいいんじゃない?カレー。あれなら機嫌取れそう――

 悪くない。最初辛いカライって涙目になってたのに、2回目には癖になって食べる勢い増してたしな。それで行こう。チキンカレーにしようか。ターメリック調理場からもらってこよう。


精霊のぼやき

――金髪も流石に考え浮かばないみたいねぇ。結構冴えてると思うんだけど――

 流石に孤児院の子供殴り付けて、大人には仔犬の眼になるこいつには呆れるよね。

――本人、したこと気づいてなさそうだしね。引くわぁ――

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