5話 修行開始?
前回:――史上最弱のユーシャ(自称)誕生?ヤッタネ――
木造の建物まで連れてこられて、それからあの部屋、犬の師匠の部屋に連れてこられた。何か話しながら、ぼくたちのステータスを渡しているみたいだけど、金髪の人もブロンドの人もすごく嫌そうな顔をしている。ステータスの中を見て、その顔が余計に歪んだ。
「おい、なんて言ってるんだよ」
「流石にコノステータスじゃ、5等級で始めルのも自殺行為だねってさ。そのママ放置は寝ざめ悪いカラ、最低限言葉覚えてから剣cryは扱コウって話。短期間でも剣の使い方学べば少しはマシになるだろうカラさ」
結局、ぼくの言うとおりにするんじゃないか。最初っからそうすればいいのに、何を考えているんだ?
「アト、言葉を覚えるからにはモウ日本語は話さないカラな?喋りタイとか言っても俺は相手しないゾ」
こいつ、何言ってる?お前だって話したいだろ?
「理由は、独房デ話した通りダ。中国人の状況と同じデ、周りの人に不安を与エルから。お前だけ良けれバそれでイイなんて、俺は思わナイ。周りの人の不安もヌグうなら、お前が努力する必要がアルことをお忘れなく」
……なんて言ってたかなんて忘れたよ。それに不安なら、ぼくの不安はどうするんだよ。仲間なんていないんだから、助ける奴が必要だろ!
それでも、その後ずっとこいつは日本語を話そうとしなかった。しかも金髪の人に抱っこされながら、何かを書き始めた。抱きつかれるのをいやそうに暴れたりするけど、結局くっついたままじゃないか。
しかも、ぼくもそうされるのかと思ったらそうじゃなくて、ブロンドの髪の人が絵本のようなものを持ってきて僕の前で開いた。この人ゆったりした服着てる……太ってるみたいだ。顔は太くないのに。でも、首は少し太いかな?脂肪でふといような感じはしないけど。
『アーカン』
どう見ても鍋を指して、そう発音した。それが鍋って意味?
『ドイサン』
人の名前を言ったのかと思ったら、コップ?なんか細長い感じでワインとか入れる奴かな?
『スケベ』
なんでそれを言いながら、スプーンを指すかな?おかしくないか?
『バカ』
これが皿って意味なら、絶対におかしい。連続で日本語が続いているように聞こえる。
『アメリカ』
なんで調理器具で国の名前が出てくる?それになんでその道具から覚えさせようとしているんだろう。
もっと他にないのかな?剣とか槍とかの呼び方からじゃないかな。それに早く剣を学びたいんだけど!
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「夕食後の部屋ダケは、日本語解禁という話で落ち着いタヨ。この辺は、俺とシテも感謝したいシネ。あの2人と同じベッドなんて、ズットは無理だって言ってたノニ、絶対譲らないんダ、あの2人」
「どういう事だよ、それ」
一通り言葉というか、単語の勉強というか。昼からずっと続けて夕食を食べた後に部屋に案内された。
その部屋の中で突然、犬は喋り始めた。あの2人の部屋と違って、木の壁に簡易的なベッドが2個置かれただけの安宿のような雰囲気の狭い部屋だよ。小さいテーブルと電気ランプ、クローゼットがひとつづつあるだけ。どれだけ扱いが違うんだよ。あの2人のキッチンだって、この部屋の2倍は広かったのに。
「弟子になってカラあの2人、異常と言ってイイcry俺を愛でようとシテいてね。さながら超が付く愛犬家って感じダ、俺は狼なんだが。寝るのモ、風呂も一緒。トイレですら、1人で行かせてもらえナイ状況すらあった。命狙われてた事がアルからだったんだが、今はもう落ち着いてて、危険ナイのに続いてたんだヨ」
なんだそれ、異世界ハーレムじゃないか。そこから逃げたいって、意味が解らないよ。
「凄くいい感じじゃないか?男ならその状況でなんで嫌なのかわかんないんだけど」
「お前は、女性の怖さヲ分かっていないナ。ドッカのバイトで、オバチャンズに囲まれながら仕事スれば、その圧力とかを知ることができるだろうガナ」
おばちゃんに囲まれながらは、嫌だな……
「ハーレムを作った後を考えてイナイ、一時的な欲望の形がお前の想像の形だヨ。欲しがる感情は否定しナイが、女系家族のお父さんの肩の狭さトカ、オバチャンズの圧力トカ、女性のドロドロを全く無視シタ男の勝手な劣情だ。
俺は多少、前世で現実を知ってイタし、ボッチの方が安心していられる癖がついてたカラ、囲まれるより少人数の方がイイ。ボッチが最高だ……イフリータさん、アナタは私、私はアナタですカラね?」
なんかいきなりどっか向いて話し始め……光が漂って?
「え、ちょっと待って!それってまさか」
ぼくはこわくないけど、いちおう距離を取って、ベッドからずり落ちた。
「ユーレーじゃないカラな?精霊、しかも上位の上の、大精霊だ。ステータスで精霊魔術の事、一瞬言ったと思うケド、俺の一族、フェンリルの家系は殆どガ、精霊を体に宿シテ、力を共有する精霊術師ナンだよ」
精霊っていたんだ。いつからいたのかわからないけど、体に宿すって事はずっといたのかよ。光の塊なのはなんでか分からないんだけど、身体とかないのか?
「因みに、確認が取れたから言っとくケド、お前が森で合った女性3人組は、調査作業をシテいた冒険者の1組だ。俺が一言入れておいたカラ、少しでも話せるようになったら謝ってオケよ」
「なんでわかったんだよ。この街結構大きいんだから、だれか分からなそうなのに」
森も結構デカい気がするけど、それでもまわりに村とかないのか?
「虫の羽って、言ってタロ?ソレは、妖精族の特徴の1つダ。小人系種族の中の1つで、ドワーフを筆頭に、複数種類がイルが、羽がある小人系種族は、妖精族系統ダケだ。
並人の国で、妖精は少ナイ。森の奥に入る普通の人モ、冒険者以外は騎士団か、せいぜいマッチョな木こりcryだ。
森奥の女性で、妖精となれバ、冒険者の中にもイルから凡そそうだロウと予想していたんだよ。他の可能性なんてほとんどナイしね」
それだけで判るとかってなんだよ。探偵か?肉体と中身の年の差離れすぎの。
「アト、午前中剣術、午後勉強が、俺の基本スケジュール。お前にもソレに付き合ってもらうケド、仕事の時ニハ他の人に面倒見てもらうコトになるカラ。その時には暴れるなヨ?」
「は?」
そんなの聞いてない。こいつがぼくの導き手とかじゃないのか?なんだよそれ。
「コの街の、守護者的な存在になってるダントンて、『聖騎士』がいるんダ。ソイツがある程度面倒見てくれるカラ言うこと聞けよ?俺と師匠は場合によって、トンでもナイ仕事で、離れルンだから」
どういう事か、よく分からないんだけど。でも聖騎士なら、良いか?
「ゴブリン500匹殲滅トカ、街に巣くった巨大竜排除トカ、街道に住み着いたワイバーン50匹排除トカ、異常に危険な仕事に行くことあるカラ、3人だけで。
ソウいう所は2等級以上、つまり上位の実力者でナイと、大軍や連隊を編成して進まなきゃいけない場合が多いんダ。大軍を編成できナイ、或いは侵攻出来ナイ場所で、俺たちは動いているんだヨ」
どんなチートを持ったチームなんだよ。こいつそれだけ言って、寝ちゃったよ。しかもなんか光る防壁みたいなので体の周りを覆ってる。何だこれ?亀の甲羅みたいな形だ。
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翌朝、朝食を食べて修練場とかっていう場所に来た。結構広いけど、この場所で剣の修業をするらしい。貸し切り状態らしいけど、知らない人がついてきた。
『フム……』
頷いただけ。何だこの人。全身真っ黒だ。髪も目も、服も。センスねぇ……
『イー、ヅンエルガッチャマ』
犬は何か話しかけたかと思ったら、ぼくの背中を押してその人に近づけた。
「お前に言ってタナ?最強の剣士ダ。今日は、この人が相手してくれるカラ、存分に楽しめ。大丈夫、コイツは、この世界の言葉をしゃべれるヨウになってモ、しゃべらナイ存在だから、今デモ、言葉覚えた後でも、変わらナイ」
言いたいことが分かるような分からないような?そいつはそのままブロンドの方に行って、構えた。
……普通に打ち合うのかと思ったら、そいついきなり空中に飛びあがって空中を跳ねまわりながら打ち込んでる。どうやってるんだ?それをブロンドの人は涼しい顔で叩き落としながら、何か注意している。
ヒーハーとかなんか叫んでるけど、全然強くないんじゃないか?
『ウム……』
黒い人が近づいて、木剣、でいいのか?を渡してきた。その後下がって構えたけど、打って来いって事か?ちょっと強いからって調子乗っていたら痛い目見るぞ?剣道で段を持てるくらいなんだからな!
ぼくは剣を振り上げて、面を打とうとして、
「オグゥッ!」
見えない何かがぼくの前を通り過ぎて、吹き飛ばされた。黒い人は微動だにしているように見えないから、何か他のものが通り過ぎたんだろうけど……周りには何もない。もしかして魔法?
「クッソ、ふざけんな卑怯者おおお!おっらあああべしいいい!」
強く踏み込んで打とうとして、また見えない何かが通って吹き飛んだ。今度は黒い人が微妙に腕の位置を変えている。
……この人が打ち込んだのか?あたる距離じゃないだろ!その後何度打ち込んでみても、その人の体に触れられる距離にまで近づけないまま、飛ばされ続けた。
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「いってぇ、これ絶対骨折れてるよアイツ何なんだよ剣振っただけで飛ばす斬撃とか魔法とか当たり前に使ってただろありえないよ体中青くなってるマジでこれ死ぬやつじゃんどうすればいいんだよありえないようそれにあんな奴と最初っからやるとか絶対に無理に決まってるじゃん勝てるわけないよマジでありえないだろぼくチートないんだからそれなのになんであんな奴と戦わなきゃいけないんだよこわいよ無理に決まってるだろそもそもアイツがチートすぎて話にならないじゃん意味わからないよ何だよ飛ばす斬撃とかできるわけないだろありえないだろ普通なのになんでそんな当たり前にできるんだよばかじゃないのかぜったいありえないだろ
聞いてるのかよ、お前!」
「聞いてない、ウザイ、勉強しろ」
午後になって部屋に戻って、なんかあったかい状態になりながら勉強している犬は、ようやくしゃべったと思えばこの一言だけだよ。
しかもその後、無視しながら金髪とばっかり喋っているし。そりゃ、金髪の事が好きなのはわかるけど、それでも無視しなくていいんじゃないかな?寂しくないのかよ。それにこいつはさっきから、楽譜みたいなもの見たり書いたりしてるだけだし。だいたいぼくがいきなり最強とやり合って勝てるわけがないだろ。それに今だって、よく分かんないことを言いながら絵を指してブロンドの人が単語を教えてくれてるけど、何が何なのか分からない。
『ユータチー。ププピルー?』
「ププピルってなんなんだよ意味わかんねえよ少しは心配しろよバカじゃないか!」
「バカはお前。ププピルは『大丈夫』って意味の言葉。ツマリ、その単語が出るタビ、相手に心配されてたんダヨ。相手の表情も動きも雰囲気も感じ取れず、自分の気持ちシカ見えてないお前には、解らないだろうケドね」
「何だよそれ、いったい」
「相手が心配してクレてるのに、お前はずっと馬鹿ミタイに騒いで暴れていたンダ。
今だって、リサさんの表情も見ないで勝手に騒いだ挙句、本投げつケテ来たの気づいてるのか?精神障害か、悪魔憑きかっテ、騒がれてたの、分かってナイだろうし」
そんなこと言われてたのかよ。なんでそうなる?ぼくは普通にしていただろ!アリエナイダロ!
「何考えてるか知らないケド、リサさんの顔を見てカラ、考えテ言えよ。昨日も言ったハズだな?ボディランゲイジは最強のコミュニケーション法だ」
犬の言うように、ブロンドの人の顔を見る、けど逸らす。こんな顔を向けられていて、何を言えっていうんだよ。可哀想なやつに見られているみたいじゃないか。しかもちょっと綺麗な顔だし、見てられない。
「だいたい、お前がぼくの練習相手でもいいんじゃないか?お前だってこの人に全然勝てないじゃないか。それでよく自分が最強だって思えるよな」
折角話しかけてやったっていうのにこの犬、言うだけ言ってまた無視し始めた。なんでこいつはこうなんだ?意味が分からない。
「聞けって言ってんだよ!」
手元にあった黒板を投げたけど、あいつは見もせずにつかんだ。それでそのままテーブルに置いて、無視して何かの計算を続けている。楽譜と計算って何の関係があるんだ?流石にもう、我慢できない。一体ぼくの何が悪いっていうんだ!
「いい加減聞けって言って……何これエエエ!」
犬を殴ろうとして、近づいて拳を振り下ろした瞬間、犬が氷に包まれた後に一気に僕の体が凍った。一瞬他の2人が驚いたけど、その後ため息ついて何か話してそのまま二人も無視をし始めた。
ぼくはそのまま氷が消えるまでずっと叫んでいたけど、3人は素知らぬ顔で何か書いている。一体何をしてるのかわからないけど、これは壊す気ないのかよ。ぼくは夕日が沈むまで拘束されて、その後殴り掛かってまた氷漬けにされた。
そして、その日の夜はベッドに行けず、氷の中で寝ることになった。流石に寒かったけど。風邪ひくだろ、これ。
精霊のボヤキ
――アンタ、ボッチ最高とかいい加減やめなさい!――
いや、あなたは私、私はあなたですからね?
――どれだけハーレム計画が進んでると思ってるの!あともうちょっとで、カウンターのシェリーさんが落とせるのに!――
何やる気に満ち溢れてるの?!落とさないってば!
――何言ってるの、これがロマンなんじゃない!――
肉こそ至高!それ以外は必要じゃない!




