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はじめに  作者: 師走
86/629

86

波に飲まれて

さらわれて

どこか深くへ落ち込んでいった

小さなカニが

ハサミを

振り回して

体を

くるくるひらひらさせて

視界から

なくなってしまうのを

じっと見たような

心地になって

ぼんやりと

天井を

見つめてみる


渋柿の

まだ取られぬことを良きとして

鳥たちが

踊るように

むしゃぶりついている

真っ赤なほどに熟れた

それの噛まれ口は

ねっとりしているくらい

光っている


つまり運だ

明日だ

それだけだ

五臓六腑だ

そうなんだ

私はそこにいないけれど

風が通ってよろしくよ


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