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はじめに  作者: 師走
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水深1572マイルの暗がりで

一匹の魚が泳いでいる

あたりには当然なんの音もせず

かと言って天敵も潜む余裕がないので

その魚はいささか安心してしまって

やんわりと浮遊するように泳いでいる

ぷくと口から泡が漏れて

どうしたらいいのか戸惑うように上がっていった

魚は白い目をきょろりとさせて

尾ひれをしなやかに左右へ揺らす

友達だと、ぼんやりとでも言える仲間はいないけれど

彼には都合の良いことだった

独りきりが好まれる性格だったのかもしれぬ

暗がりでは、それが最も適当である

冷たさも、波の手が届かないのも

魚は気にもしないようだった

水深1572マイルの暗がりで

鱗は濁りもせずに、そこにある

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