あたたかな居場所
三人が部屋を出ると、メアリーの肩に乗っていた小鳥が羽ばたき、右手に見える扉の前まで飛んでいった。
「もしかして、あの先に出口があるのかしら?」
三人は、小鳥が飛んでいった部屋の前まで来ると、扉を開く。扉を開くやいなや、小鳥がその隙間から部屋の中に飛び込んでいった。
「あはは!待て待て~」
すると、メアリーもそのあとに続く。小鳥はジグザグと飛び、メアリーはそのあとを追いかけている。まもなく、小鳥とメアリーは、白い霧の向こうに消えてしまった。
「ちょっと、メアリー!?」
ギャリーが追いかける前に、イヴが白い霧の中に飛び込んでいた。すると、そのままイヴが霧の向こうから出てきた。ギャリーと目が合うと、また白い霧の中に飛び込んでいき、そのまま同じ勢いで霧の向こうから出てきた。
「イヴ?」
イヴは白い霧を見つめると、首を傾げる。どうやら、何が起こっているのか分かっていないらしい。奇妙な光景を目の当たりにしたギャリーは、壁に何か書かれているのを見つける。
『永遠の通路』
心 許された者のみ 道は開く
「・・・・・・よく分からないけど、アタシたちは、この先に進めないってこと?」
ギャリーは、白い霧の方を見る。白い霧は濃く、数センチ先さえも見えなかった。
「・・・・・・メアリー、大丈夫かしら?」
小鳥のあとを追いかけていたメアリーは、やがて部屋の端までたどり着く。そこには、額縁がひとつ、壁にかかっていた。小鳥は、そのままその額縁の中に飛び込む。少し遅れて、メアリーが額縁の前まで来る。
「絵の中に入っちゃった!?」
小鳥は、絵の中で同じ色の羽の小鳥ともう一羽、二羽で巣の中にいた。仲良さそうに、身を寄せ合っていた。
『あたたかな居場所』
「ここに、おうちがあったんだね。」
すると、絵の中から鳴き声が聞こえたかと思うと、絵画のピースが出てきた。メアリーが、それに触れると音を鳴らして消える。
メアリーは、再び、絵を見た。その二羽は夫婦なのだろう。ようやく巣が出来たところなのか、それとも、もう卵を産んでいて、温めているところなのか。絵を見る限りで定かではない。けれどメアリーは、たしかに温かいその絵を見て、心のどこかが少しチクリと痛んだ。
「・・・・・・いいなあ。」
しばらく、メアリーはその絵を見ていた。もう、小鳥は動き出すことはなかったが、じっとその絵を見ていた。
「・・・・・・二人とも、遅いな。・・・・・・そろそろ、帰ろっと。」
メアリーは、いつ通ってきたかも覚えていない白い霧に向かって歩く。白い霧に入る前に、足を止め、振り返る。
「じゃあね。」
やはり、絵は動かない。もう、鳴き声も聞こえない。メアリーは、霧の向こうに消える。
メアリーが白い霧を抜けると、イヴとギャリーが駆け寄ってきた。
「メアリー、大丈夫!?なんともない!?」
「大丈夫だよ。ギャリーは心配性だなあ。それより、またあの欠片あったよ。」
「そう。よかった。それじゃ、次の部屋行きましょ。」
ギャリーが扉を開ける。イヴが、それに続く。
「イヴ。」
メアリーの呼びかけに、イヴが振り返る。メアリーは、何も言わず、手を差し出した。イヴは、それをそっと握る。




