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報酬は世界の半分  作者: 麦ちよこ
中山の本気編(改稿前)
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30.フラグ管理

 こんにちは、中山譲です。現在作戦本部にて、集められてくる情報の確認とフラグチェックシートに書き込みを行っております。



「中山君、これがお待ちかねのものだろう」



 参謀仲間のミラさんがニヤニヤしながら私の情報端末(金属板)にデータを移します。ミラさんは何か知りませんが私に対してだけニヤニヤします。きっと若輩の私をからかっているのだと思います。いつか、ギャフンと言わせてやるからね。ギャフン。



「これ、お光の情報ですか」



 心の片隅で私をちくちく責めるお光の情報がそこにはありました。

 一斉捕縛したときに閉鎖したまま凍結されて忘れ去られていたレジスタンスな魂たち。私は今回の作戦の初期段階にこの魂たちをあの世界で開放しました。彼らは神と妖怪の関係に疑問を持ち、魔力を扱えて、なおかつ妖怪フレンドリーで人種差別撤廃論者です。そのまま転生させずにここで投入したのは私達がねじこんだ鬼人の魔法取得と独立心高揚のためでした。可哀想な魂たちをまた神の都合で働かせるのです。



「君が気にしていた子だろ?ものすごくいい働きしてるよ。フラグ構築完璧じゃないか。よくみてやってよ」



 ニヤニヤのミラさんが去ったので念入りにお光の情報を見ることにします。村での滞在フラグから始まって、魔法伝道もちゃんとやってて、鬼人たちの戦意向上も上ってて、神に対する疑問、瘴気に対する研究もはじまってて。うん、パーフェクト。まっすぐで融通が利かない子でしたがその分完璧にシナリオどおり動いています。悪く言えば宗教に染まりやすい子です。働きがいい分過去の仲間達と合わせる時には相手をちゃんと選別しなければなりませんね。



「これでお光含めてパート1の達成率は7割か」


「中山さん、パート2そろそろ行きますか?」



 真面目な参謀仲間クローネさんは満足そうな私の顔を見てもう次にいくのかと判断したようです。



「いえ、これ初期の初期ですから。今後のことも考えるのであれば母数は増やしておくべきです。と、いうことで成績の悪い子達には記憶操作しましょう。モデルはこれ。お光と言う子の脳内チャートをトレースしてください。彼女、完璧でしょ」


「完璧すぎますね。逆に逆境弱くなりませんか?」


「パート2で成績優秀者と中堅層を合流させます。はじめは危機管理を中堅層に任せます。使い勝手の悪い層を作る余裕はありませんからね。今の成績が悪い子達並みの危機感は鬼人からゆくゆくでてくるでしょう。促進部から足元がゆるいと判断されたら記憶操作する人数は削っても構いません」


「了解しました。パート1から2に移行するにはその結果があがってきてからということで宜しいですか?」


「それでお願いします」



 私たちは人の魂を都合で動かす神である。彼らの不幸は勘定に入れてはいけないのだ。故に記憶も操作する。心も操作する。そして私の作ったシナリオどおりに動いてもらう。冥界から出た犯罪者を捕縛する為に。罪悪感は全てが終わった後でいいのです。

 今私がしなければならないのはパート2に向けてのマッチングの仮組みです。フラグ構築優秀者と中堅層を次の段階でどう合わせるのか、それが大事なのです。



「中山さん、中堅の中でパート2待たずに、人に戦いを仕掛けそうな不穏分子がでてきてるようなのですけれども」


「それは神への疑問のフラグが立っていないって意味ですか?」


「そうです。憎悪の対象が人間なだけであとはたってますから。魔法成績は微妙なのに先走ったものだなぁ」


「火消し用に守護巫女隊をスタンバイさせています。そちらに連絡を。ついでにそこでさっきの脳内チャートから神への疑問を頭につっこんでやってください。一応その後も含めて情報上げてもらってきてもらえますか?守護巫女隊の効用例として念の為に残しておきたいので」


「了解です。いつもの報告とは別に入ったら声かけますね」


「お願いします」



 後からでは修正はきかないのだ。少しずつ確認して修正を重ねなければ。

 自分達が何故迫害されるのかと疑問を持ち、人としての権利に目覚める鬼人たち。彼らを先導するレジスタンスは人ではなく神へ意識を導いてもらわねば絶対にシナリオからそれる。戦いはまだなのだ。神の力の前で絶望して、もう一度矛を向ける先を検討してもらわねば。大事なのはそこなのだ。人々はまだ神の加護すら知らないのだから。



「中山さん」


「どうしました?」


「私はあなたがもっと情に流される方だと思っていました」


「まぁまだまだ冥界歴短いですからね」


「そう考えると成長著しい神様ですよね」


「人から離れていくのを責められているのか、神に近づくのを褒められているのか。なんともいえない気持ちになりますよ」


「どちらも持っている過渡期なのですね」


「どちらにもなりきれない。そういうのは後から考えればいい。これを私の出身世界では投槍だとか捨て身だとかいいますよ」


「神だって元は人なのですから全て神になることは無いのですよ。

先輩としての助言です。それは永遠の苦悩です。神としての苦悩」


「皆さん完璧に神になっているとは思っても見ませんよ。こうして気遣ってくださいますから」


「全て終わらせてからまたお話しましょうね。神とは何か。人とは何か。きっと次にあなたに必要になるのは周りの神様の話でしょうから」


「ええ、是非。綺麗に終わらせましょうね」

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