表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/37

第二十二話 我が家を買う

 大騒ぎだったよねそりゃあさ。

 大司教の首飛ぶわ、ダーケス・ナイトだと思って人たち断罪されるは、それはそれは、純黒大聖堂、大騒動。最後はラップ風に。


 で、女神顕現でしょ。


 真のダーケス・ナイトはこの人です! のくだり、薄まる薄まる。


 エヴェリナたちは号泣して抱きついた来て、温かい感じで幕を閉じたけどさ。


 仕事は一旦休止して、家探ししようって事になった。


 中心部に近くて自然もあるような場所がいいな。みたいな意見でまとまったんだけど、一見ニューヨークのセントラルパーク近くのような所か、って思えるけど、洋子先輩の歪んだ趣味が相当反映してる。


 不動産屋に行ってみると、やはりお城の周辺だろうという事になった。

 予算を伝えたところ充分だとの事。真のダーケス・ナイト様でしたらお安くしておきます。だってさ――ムフ。


「いいじゃないの、素敵だわ」

 家、と言うよりはもはや屋敷を見た百合亜ちゃんは大興奮。

「大きすぎませんか?」

 と言いつつ、エヴェリナは顔を輝かせる。

「早く中が見たいです」

 小さな両拳を握り地団駄を踏むベッテ。

「これはスポットが多いな」

 となぞの言葉を口にする洋子先輩。


 屋敷は中央に位置する四階建ての建造物の左右に、硝子を多用した太い尖塔が対象に立っていて、表には手入れの行き届いた庭が広がっている。

 高い格子で囲まれており、その向こうはちょっとした森になってる。

 以前は伯爵が住んでいたのだとか。


 中に入ると中央に大きな階段があり、突き当たりで左右に分かれている。


「あちらにダーケス・ナイト様の大きなお写真か絵を飾られてはいかがでしょうか」

「うむ、悪くない」

 恥ずかしいっしょ。

 しかし基本メイドさん雇って住む屋敷だよね。

 みんなはキッチンやダイニング、それぞれの部屋を見てご満悦だった。


 フロータの駐機場も広いし、どうしてもメイドさんが必要なら雇えばいいか。

 うるケーブと名付けられた。

 大喜びするみんなを連れて、外に出ると慌ただしく兵士が走ったり、軍用フロータが走行したりしていた。


 甲冑を着たアッシリアと面倒くさい男クラースがいたので、大声でアッシリアの名前を呼んだ。


「どうされたのですか、このような場所で」

「この屋敷を買おうと思って、アッシリアこそ甲冑なんか身につけてどうしたの?」

「出たのです。ボイドが。王城外苑正門前に」

 ボイド、第何集だったっけな。

「僕たちも行くよ」

「貴様に何が出来る――邪魔なだけだ――」

 うざい男クラースが吐き捨てやがった。

「宣言する。そのボイド、我が全て倒してくれよう」

「十二体全部か――」

 十二体? 一度も戦った事ないんですけど……

「十二体? たった十二体か、片手でひねり潰してくれるわ」

 嫌みな男クラースの顔の前で拳を握った。

「アッシリアよ、もう安心しろ。残りの兵には晩餐の準備をさせるがいい。皆、うるモービルを用意せよ」

「了解したダーケス・ナイトよ、操縦はこの十六夜恋歌(いざよいれんか)に任せろ」

 さすが大田洋子分かってる。

「わたしは雷撃の垓環でダーケス・ナイト様を援護いたします」

 いいぞエヴェリナ。

「あたしはミスリルの垓環でダーケス・ナイト様の盾となります」

 うんうん。

 さあ、一皮剥けろ、百合亜ちゃん。

「えー、はい、分かりました」


 僕たちはうるモービルで正門前に来た。

 テレビの人たちと、リポーターのエレオノールが来ていた。

 フロータを降りると兵士をかき分け、カメラの前に来る。

 薄まった人気を取り戻すチャンス。


 片手を高らかと掲げ、宣言した。

「このダーケス・ナイトが全てのボイドを倒して見せよう」

 カメラ目線でリポーターのエレオノールに言う。

「我よりうしろには、一体のボイドも進ませる事はない。エレオノールよ安心して付いてくるがよい」


 僕たちは正門をくぐって鳥肌を立てた。

 深紅のボディに黒く波打つ縞模様、カニとクモを足したような見た目に不気味な頭。口の中に付いたギザギザのリング、奥に向かって交互に回ってるし。血管? チューブ? 全身に張り巡らされてるし。

 生き物なの? ロボットなの?


 残った数は、一、二、三、四……十二体っと。一体もやっつけてないし。

 単発式の大口径の銃、それ効いてる? あといました、魔法使い。

 杖持って呪文唱えてやっとでたのが、人魂みたいな火。当たってボッと消える。

 これって持久戦なんだ。


「みんな、心して掛かって」

「はい」


 まずはドラゴンブレス。兵士に当たらないよう狙いを定め、気持ち悪い頭部を狙う。

バスッ、バスッ、バスッ――


 当たった箇所は装甲が剥がれたみたいになって、砂っぽいのを吹きだしてる。

 いけるんじゃね、これ。


 兵士たちがこちらを振り向いた。

「よく持ちこたえてくれた、あとは任せて後方からの援護に集中してくれ」

 その方が戦いやすいんだよね。


 兵士たちは頭を下げ、単発銃で応戦しながらゆっくり後退していった。


 背後で、何故逃げる、とむかつく男クラースが怒鳴ってるが、おまえが出て来い。


 先程顔面を撃ったボイドの身体に、ありったけの銃弾を浴びせた。


 全身から砂を吹きだしたボイドは、その場に倒れた。

 洋子先輩は伝説の銃、悦楽歓喜でボイドを撃つ、三発頭にぶち込んだら頭が無くなった。火力半端ねえ、

 頭をなくしたボイドはそのまま地面に伏せる。

「アルティメットサン!」

 百合亜ちゃんの指から放たれたレイザーはボイドを貫通した。

「アルティメットサンダー!」

 エヴェリナの放った稲妻はボイドを包みこみ、走行をバチバチと剥がしていった。


 僕、一番弱いんですけど……


 ボイドの口が光り僕に向かってレイザーが発射された。

「覚醒ミスリルシールド!」

 ベッテが駆け込みシールドでレイザーを受けた。レイザーははじかれ別のボイドを貫いた。

「ありがとうベッテ」

 頭を撫でた。これよくあるけど、実は女子って髪触れるのいやだったりするんだよね。ベッテは喜んでたけど。それにしても度胸あるな。僕には出来ないわ。


 リロードすると再び撃ちまくった。


 チラッとうしろを見ると、バッチリカメラは撮っていたし、エレオノールは何やら真剣な表情で解説っぽいコトしてたので、見せ場だと思いケイオスブレードに持ち替えた。


 洋子先輩も刀に持ち替えたのだが、薄まるのでやめて欲しかったと思います。


 剣を展開して炎をまとわせると、ボイドの首を落とした。続けざまに三体。

 炎を延長すれば一時的に刃が伸びたようになる。それで胴体を真っ二つ。


 全てを倒した。いけるねこれは。

 改めてゆっくりと周りを見回す。

 あ、負傷した兵士がいた。


 彼らを治すと改めてゆっくり周りを見回した。


 ボイドの死体は粒子になって消えていった。

 あとに残ったのは水晶玉のような物だ。

 これがヨーラン商会のイエオリさんが言ってた純核か。


 エレオノールのとこまで悠々と歩き、カメラ目線でエレオノールに話し掛けた。

「王都の脅威は去った。何かあれば、このダーケス・ナイトがすぐさま駆けつけよう」

「驚異的な強さですね」

 エレオノールは唖然としていたから、僕たちはほんとに驚異的なんだろう。


 アッシリアが駆けつけた。厄介な男クラースは遠くでふてくされてる。

「王都を、国民を救って下さりありがとうございます」

「ダーケス・ナイトとして、当然の事をしたまでだ」

「陛下からの褒美を受け取ってくださいませ」

 今は確かにお金が欲しいとこだが……

「義務をはたしたまで、どうしてもと言ってくれるなら、次の機会にしよう」

 気になる事をアッシリアに訊いてみた。

「なぜアッシリアが前線に出てるの? お兄ちゃんたちは?」

「急ぎの公務が入ったとか、兵に任せておけばよいだとか」

「お父さんは?」

「この件に関して、陛下のお考えは分かりません」

 なんか事情がありそうだな……

 とは言え部外者が立ち入っていい話でもなさそうだ。



 その後、屋敷の購入手続きを済ませ、いよいよ屋敷生活の始まりだ。

 僕たちの活躍にいたく感動した不動産屋はさらに負けてくれ、純核は想像以上の値が付いた。

 おかげで財布の中が潤った。


 みんなで必要な物を買い揃えていった。


 食事の準備はほとんど百合亜ちゃんと洋子先輩がした。

 エヴェリナとベッテはほぼ調理の経験が無いからだ。


 我が家でみんなと囲む食卓は格別な物だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ