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お陰様でくーぴーたん  作者: 稲村正輝
第1章 「黎明」
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第53話 「聖なる海と太陽の光線」

裸足になった俺は学校を目指すための計画を立てることにした。これまで学校へ行くまでに幾度となくとんだ災難が降りかかってきたからだ。

「とりあえず瞑想するか」

俺は公園の砂場の方へ移動し、そこで座禅を組んだ。両腕は横綱が土俵入りで四股を踏む直前のように横に広げた格好だ。たまに俺たちひょうきん族の懺悔男のように腕をバッテンの形にクロスしてみたり、イカしたアメリカン少年のように指でOKサインの形を作って仏のようになりきってみたり色々とバリエーションを織り交ぜてみると、これがなかなか楽しい。


そうしているうちに夜も更けてきたので、俺は本格的に瞑想することにした。瞑想と言うと、ただ目を閉じているだけだと思われるかもしれないが、これが結構つらい作業なのである。人間の体は目を閉じていれば、いつしか眠くなって寝てしまうように出来ている。それは瞑想している時も例外ではない。いわば俺にとって瞑想とは睡魔との闘いなのだ。この睡魔と闘うため、俺はいつも「イマジネーションアッパーグラウンド with t」という技を繰り出すことにしている。これは地獄拳、獅子舞踊りと並ぶ俺の三大奥義の一つである。ちなみにこの三大奥義の姉妹店的な技にデビルポーションなどがある。


これは少し余談ではあるが、俺は必殺技という言葉が嫌いだ。何故なら必殺技というのは「必ず殺す技」という意味に他ならないからである。ホームランバットと一緒で、俺に言わせてもらうと、そんなわけないのである。それに俺の生み出した技は、人を殺すなどという野蛮な結果には絶対にならない。地獄拳、獅子舞踊り、イマジネーションアッパーグラウンド with t。どれを見ても、苦しいのは我が身だけであり、人を苦しめたりはしないのだ。だから俺は必殺技という言葉が大嫌いなのである。


とりあえず、俺は自分の所持する必殺技について説明するなんて格好の悪いことなど絶対にしたくはないのだが、「イマジネーションアッパーグラウンド with t」というのは、瞑想中の睡魔をコントロールしてしまうという凄い必殺技なのである。睡魔というのは悪魔であり、悪魔に対しては天使の力が必要である。「with t」のtというのが天使の頭文字だ。天使を召喚し、睡魔をやっつけてしまおうというのがこの技の特徴である。この天使が優れもので、毎回俺に眠気を忘れさせるための話題を提供してくれるのだ。今日も天使が降りてきて、俺のために話題を提供してくれた。今日の話題は女についてである。

俺にとって女とはどういうものであるか。ある時には欲しくてたまらない存在であり、またある時には邪魔な存在でもある。ちなみにこの邪魔な存在の時の女もまた睡魔と同じく悪魔である。こんなことを言うと俺は全世界の女を敵にまわしてしまうかもしれないが、あえて言っておく。俺は女が大嫌いだ。何故俺が女が大嫌いなのか。その具体例をひとつここで紹介しておこうと思う。


女は車を運転する男を素敵だと叫び散らし、瞳を輝かせて白目を剥く。女のそういうところが俺にとっては耐えがたきを耐えられないのである。ある女性向け雑誌の調査でも、男の惚れてしまう運転姿ランキングで、「助手席の後ろに腕をまわして車体をバックさせる姿」が堂々の1位になっている。ちなみに2位は「高速道路にある静かにという看板どおりに静かに運転している」というものであったと思うのだが、残念ながら記憶が曖昧であまり覚えていない。そういう理想像を朝も昼も夜もお構いなしに女は求めているのだ。これは非常にけしからんことであり、断固として阻止しなければならない。

そのためにはまず、助手席の腕をまわすであろう辺りにキングザウルス三世の角を取り付けておくのだ。男が腕をまわそうものなら、その瞬間に男の腕は意気消沈となり、今後一切草木一本も生えない腕になることであろう。助手席そのものをキングジョーにしておくのもいい手だ。男はおっかなびっくりで走行中にも関わらず車を飛び出してしまうに違いない。女にとってはそんな頼りない男など用無しである。その後の二人はおそらく会話が減少し、食卓も暗くなり、部屋にはタンスが一個だけという状態になったりするだろう。犬小屋にいつもいたはずの柴犬も帰ってこなくなるに違いない。そんなこんなで耐え切れなくなった女は、男が趣味で建てたであろうプレハブ小屋のペンキ塗りなどをしている隙を見計らって夜逃げするに違いない。俺が女ならそうする。そうやって女は駄目な男を切り捨てて行き、最後には良い男を選んで新しい子孫を残そうとするのである。なんともズル賢い生き物だ。


そう考えていると、ふと気づいたことがある。俺は本当に女が嫌いなのだろうか。本当に嫌いであるのであれば、まずこのような疑問を抱かないものである。実は俺は女が嫌いだと言いつつ、その背中を陰ながら見守る優しい神なのではないのだろうか。俺は神なのか?神だとしたら、いったい何の神なのだろうか。神にも色々ある。出来れば風が吹いてもなびかないくらい硬そうな金髪で、白い雲のような羽衣を身に纏ったような神が良い。ギリシャ神話に出てくるようなやつだ。もっと具体的に言えば、巷ではポセイドンなどと呼ばれているような神が近いかもしれない。ポセイドンが持っている畑を耕す道具みたいなやつはいったい何処で手に入るのだろうか。それ以前にあの道具の正式名称が知りたい。今度コーナンにでも行って探してみることにしよう。流石に普通の方ではなく、コーナンPROの方に行かないと置いていないかもしれないが、1980円くらいで手に入るのであれば早速明日にでも買いに行こうと思う。

早速明日にでも買いに行こう。

明日にでも…。

明日に…。


俺は知らない間に深い眠りについていた。

翌朝目が覚めると、俺は風邪をひいていた。

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