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お陰様でくーぴーたん  作者: 稲村正輝
第1章 「黎明」
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第54話 「希代のワル」


風邪をひくなんて何年ぶりだろうか。風邪気味になったことは何度かあるが、ここまで風邪をひいたのは久しぶりだ。大変、悪寒がする。


風邪と言えばやはり改源だが、あのCMに出てくる風神雷神というコンビからピンで台頭してきたかのような風神みたいな奴に昔は憧れたものである。「風邪ひいてまんねん」と言って白い袋から風を出してくる緑色の鬼っぽい奴だ。どうやら一般世間には風邪の神様という名前で通っているらしい。


しかし、今更ながらよくよく考えてみると、この風邪の神様は結構最低な奴かもしれないと俺は考えるに至った。自分自身が風邪をひいているからなのか、その恨みを晴らすために風神という立場と能力を利用して、その所持する大きな白い袋から冷風をばら撒き、他人に風邪をひかせようとしているのである。大きな白い袋を携えたその格好は一見サンタクロースのオマージュのように見えるが、やっていることは全くの逆だ。そんな無駄に冷風をばら撒いている暇があるのなら、おとなしく寝ていろと言ってやりたい。そのような自分勝手な行動をしておいて「風邪ひいてまんねん」という台詞は詭弁以外の何ものでもないのである。

それにも関わらず、こいつは自分が正義のヒーローであると勘違いしているようで、改源のど飴のジャケットにもなっている。そういった裏事情を知らない人から見れば、こいつがあたかも万病の元である風邪を治してくれる救済者として描かれているように見えるのだろうが、まずこいつ自体が風邪をひいている。こんな説得力のない事例は今まで見たことがないし、聞いたこともない。今後もこのようなアホな現象は起こらないであろう。


もうひとつ驚いたことがあるのだが、この風バラマキ怪人は筋斗雲きんとうんのような雲に乗っている。筋斗雲と言えば、心が清らかな人ではないと乗れないことで有名であるのだが、これは一体どう解釈すれば良いのだろうか。なんともまあ自分は心が清らかですよとアピールしているのが見え見えな策略である。肝心の風邪を治す努力をひとつもせずに、パフォーマンスばかりなのである。子ども手当・高速道路無料化・農家の戸別補償・高等学校無償化、そして菅直人を総称して、その頭文字からバラマキ5Kと揶揄されているが、俺はここに風邪の神様も付けたしてバラマキ6Kとさせていただきたいと思う。廃止だ廃止。今からでも遅くはない。風神退陣してもらいたい。

俺がもし宇宙の帝王なら、こいつを指先ビーム一撃でひねり倒してやる。

俺は怒りまかせに、つい先ほど薬局で手に入れた改源のど飴の袋の封を開け、一粒取り出して口の中へ放り込んだ。

「ロップ~。ロップロップ、ロップ~」

と最初は機嫌良くスキップしながら舐めていたのだが、次第にその不味さが明るみになり、俺は五臓六腑を突き抜けるかのような吐き気に襲われた。もがき苦しみ、地べたを這い回ったお陰で、俺はオイハギにでもあったかのように体中ボロボロになりました。


「ち…ちくしょう…」

俺はサイバイマンにやられたヤムチャのように倒れたまま動くこともできなかった。


数日間、俺はそのままの状態で蜂が飛び回る公園の茂みに安置されていたため、蜂に刺されまくり、全身がバブル絶頂期の頃のおっさんが毎晩キャバクラ通いに勤しむかのように腫れ上がった。たまたま通りかかった女性がそんな俺を発見し、すぐに救急車を呼んでくれたのだが、俺は何故か猛スピードで逃げ出してしまった。

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