ニンゲン......? 違う、人間だ。
「初めまして。ニンゲン。」
多くのニンゲンは驚くことなく、怯えることなく、ただこちらを見ていた。
察するに今まで黙っていた生物が、いきなり話しかけてきたという状況なのだろう。
すると、初めて話しかけてきた幼いニンゲンが寄ってきた。
「あなたも帰るところがないの?」
予想外の言葉だった。
帰るところがない……?
まさか、同族だと思っているのか。
宇宙に敵がいなかったこの存在を。
その瞬間、生物はひどい嫌悪を覚えた。
頭をよぎったのは、今すぐこの星を破壊してしまおうか、という考えだった。
しかし、生物は思いとどまった。
……いや、ここで激情に身を任せるべきではない。
せっかく見つけた、退屈しのぎなのだから。
「ニンゲンを知りにやってきたんだ。
これから教えてくれ。お前たちのことを」
「、、、??
あなたは別のところからやってきたの?」
どうやら、別の地域からやってきたと思われているようだ。
その方が都合がいいかもしれない。
「ああ。だから教えてくれ。ここは何だ。お前たちは何だ。」
その時幼いニンゲンは集団のもとへ走っていった。
何かを伝えているようだ。
「外界から来たんだって!きっと私たちの神様が来てくれたんだよ!!」
すると二ンゲンたちは、生物を囲むように集まってきた。
「神様、どうか私たちをお救いください」
どうやら神様というやつが降りてきたと勘違いをしているようだ。
これは困った。
神様という存在では、人と深く関われないと感じるからだ。
現に、ニンゲンたちは同族と接する態度とは違った態度を取っている。
かと言って、ニンゲンと名乗るのは、嫌だ。
そうして一つの結論を出した。
「悪いが、神様という存在ではない。
外界から来た、人間だ。お前たちのことを知るためにやってきた。」
「人間……?」
ニンゲンたちは、聞き慣れない言葉を口々に繰り返した。
「そうだ。お前たちとは違う。
……それより、ここは何という場所だ?」
「ここは、私たちの村です。ですが……」
男は言葉を濁し、周囲を見渡した。
焼け落ちた家屋。
傷ついたニンゲンたち。
そして、失われたものを嘆く人々。
「先ほどの争いで、多くのものを失いました」
生物は、その光景を見つめていた。
なぜ、こいつらは自分たちの住む場所を、自分たちで壊すのだろうか。
理解できなかった。
「……そうか」
生物は、それ以上何も尋ねなかった。
まずは、この村でニンゲンたちと過ごしてみよう。
彼らが何を考え、何のために生きているのか。
それを知ることが、今の生物にとって唯一の目的だった。




