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11/13

たった一人のための裏切り


クラゲホールの青は、少し現実離れしていた。


丸い巨大水槽の中を、無数のクラゲがゆっくり上下している。

光を受けた傘が透けて、淡い輪郭だけが水の中に浮いている。

子どもが歓声を上げるでもなく、カップルがはしゃぐでもなく、みんな少し声を落として見上げていた。


そういう場所だった。


あまりにも静かで綺麗なものの前では、人間は少しだけ大人しくなるらしい。

朝比奈さんも、隣で言葉を失っていた。


「……すごい」


それだけを、小さく言った。


その横顔に青い光が落ちている。

会社では見たことのない顔だった。休日の笑顔とも少し違う。

もっと無防備で、もっと静かで、見ているこちらの呼吸が浅くなるような顔だった。


右手の中で、第七が脈打つ。


最後の一点。

水族館近辺の制御系設備。

ここから少し外れた海沿いの保守用建屋。

正午の起動窓が、もうほとんど開ききっている。


時間がない。


なのに、足が動かない。


「村田さん」


「……はい」


「静かですね」


「ここ、みんな静かなんで」


「そうじゃなくて」


朝比奈さんが少しだけ笑った。


「今日はずっと忙しそうだったのに、今だけちゃんとここにいる感じがします」


胸の奥が、じわりと痛んだ。


ちゃんとここにいる。


たぶん、今日初めてだった。

朝からずっと、俺は彼女の隣にいながら半分は別の場所にいた。

ゲート。窓。起動圧。ゼルヴェクト。グレム。

そういうものに脳の半分を取られたまま歩いていた。


今だけは、確かにここにいた。

クラゲの光の中に、朝比奈ひまりの隣に。


ここにいたいと思ってしまったのが、いちばんまずかった。


『どこへ行く、村田耕助』


ゼルヴェクトの声が、頭の底で響いた。

冷たく、低く、深い。


『今さら門を止めるつもりか』


「……分かってる」


小さく返す。


『やめておけ』


ゼルヴェクトは言った。


『間に合わん。盤から手を離せ。あの女の隣にでもいろ。あとは我が終わらせる』


それは命令ではなく、誘いだった。

底の深い泥みたいな声だった。


朝比奈さんがこちらを見る。


「今、何か言いました?」


「……独り言です」


「今日の村田さん、独り言がほんとに多いですね」


「……すみません」


「謝らなくていいですけど」


やわらかい言い方だった。

やわらかいのに、ちゃんと気づいている。

何かがおかしいと分かっていて、それでも今は無理に剥がしに来ない。


この人はたぶん、俺が思っているよりずっと強い。


クラゲホールの光が、水面みたいに揺れる。

その向こうで、館内アナウンスが次の展示案内を流していた。


正午まで、あと少し。


今行くしかない。


「朝比奈さん」


「はい」


「すみません。少しだけ、外してもいいですか」


朝比奈さんが瞬きをした。


「またですか?」


「……またです」


「今日はほんとに多いですね」


「……そうですね」


「今度は何ですか」


ここで変な言い訳をすると、たぶんもう持たない。

景色もベンチも商業施設も水の流れも、今日は十分使った。


俺は少しだけ黙って、それから言った。


「その、確認したいことがあって」


苦しい。

我ながら苦しいが、具体名詞を出すよりはましだった。


朝比奈さんは少しだけ目を丸くしたあと、ふっと笑った。


「確認」


「……はい」


「景色の確認じゃないですよね」


「それは、もうないです」


「水の流れの確認でもないですよね」


「それも、もうないです」


「じゃあ何の確認ですか」


今日ここまでの前科を考えれば、もう少しましな言い方を用意すべきだった。


「……大事な、確認です」


中身のない言葉だった。

だが声だけは、自分でも驚くくらい真っ直ぐに出た。


朝比奈さんは少しだけ黙って、それから俺の目をじっと見た。

嘘か本当かではなく、もっと奥にあるものを見ようとしている目だった。


やがて、少しだけ真面目な顔になる。


「戻ってきますよね」


その一言が、ひどく重かった。


戻ってくる。

当たり前の確認に聞こえて、まるで違った。

信じる側の人間が、最後に出す声だった。


「……戻ります」


言ってから、自分で驚いた。


即答だった。

しかも嘘ではなかった。

戻るつもりで言った。

戻って、この人の“後で”を聞くつもりで言った。


朝比奈さんは少しだけ安心したみたいに笑った。


「じゃあ、待ってます」


「……はい」


「大水槽のところにいます」


「分かりました」


「村田さん」


「はい」


「走らなくていいですからね。ちゃんと歩いて戻ってきてください」


なんでこの人は、こういう言い方をするのか。

走るなと言いながら、急いでいることを認めている。

心配していることを、命令の形で隠している。


その笑顔を見た瞬間、右手の中の第七が一段深く脈を打った。


もう行けと言われているみたいだった。


身体のほうが先に動いた。


---


クラゲホールを抜けて、水族館の外周へ出る通路を取る。


館内の青い光が遠のく。

代わりに、ガラスの向こうの白い外光と、海沿いの風の音が近づいてくる。


第七ゲートは、水族館近辺の制御系設備。

海沿いの遊歩道のさらに脇にある保守用の小建屋だ。

空調と電源のバックアップ系統が収まった、一般客からは見えない箱。

関係者以外立入禁止のプレートと、色褪せた警告灯。

保守員以外の人間にとっては、風景の一部ですらない。


そこまでの距離は、走ればすぐだった。


朝比奈さんに走るなと言われたが、走った。

戻ったら謝る。


右手の脈動が、もう脈動とは呼べない強さになっている。

骨の中で何かが暴れている。

掌全体が勝手にひくついている。


第七だけは、今までの六つとは次元が違う。


第一から第六までは、東京の各所に散ったノードだった。

だが第七は、その全部を束ねる最後の起点だ。

ここが開けば、他の六つが止まっていても、単体で相当な被害を出せる。


第六で散らしたはずの起動圧が、全部ここへ寄ってきているのが分かる。

重い。

右手一本に、都市一つ分の圧がかかっている。


『来たか、村田耕助』


ゼルヴェクトの声が、耳元で鳴ったように響いた。


『考え直せ』


「……ふっ」


『まだ戻れるぞ』


その一言に、足が一瞬だけ鈍った。


『盤から手を離せ』


ゼルヴェクトの声が低くなる。


『そうすれば、あの女は笑ったまま今日を終えられる。お前も、何も見なかった顔で戻れる』


息が詰まる。


たしかに、その通りだった。

今ここで手を引けば、デートの“今”だけは守れる。

クラゲを見て、大水槽を見て、売店で何か買って、駅まで歩いて、「今日はありがとうございました」と言えるかもしれない。


『お前はそうやって生きてきたのだろう』


ゼルヴェクトが囁く。


『目の前だけを取り繕い、その先の破綻は見ないふりをして』


痛いところを突いてくる。


『今回も同じにすればよいではないか』


「……黙れ」


『第七を開け。そうすれば、少なくともあの女は見逃してやってもよい』


それは、以前の問いの続きだった。

ひまりだけでも助けるか。

ひまりだけなら残せるか。

あのとき一瞬考えて、吐き気がした道。


「……それ、本気で言ってるのか」


『我は王だ。必要なものには価値を認める』


「お前の言う“残す”は、残すじゃないだろ」


ゼルヴェクトが笑った。


『学んだな』


腹の底が冷えた。


今のも、また同じだ。

人格も、記憶も、笑い方も、怒り方も、「顔見たら分かります」と言ってくれたあの声も、全部消える。

朝比奈ひまりではない何かが、朝比奈ひまりの形で残る。


そんなものは残るとは言わない。


「ふざけるな」


今回は、ちゃんと怒りだった。


『ならば、あの女だけではない。館内の人間どももだ』


ゼルヴェクトの声がさらに低くなる。


『お前が門を止めなければ、相応の数は巻き込まれる。だが門を止めようとすれば、お前が壊れる』


建屋の前に着いた。


白い外壁。

小さな警告灯。

電子錠。

日曜の昼に誰も見向きもしない、ただの保守設備。


『選べ』


ゼルヴェクトが言う。


『一人を取るか。多数を取るか。あるいは、そのどちらも捨てて我を取るか』


ふざけた問いだった。

だが、問いそのものは容赦なく正しかった。


ここで失敗すれば、誰かが死ぬ。

ひまりかもしれない。

館内の家族連れかもしれない。

この近辺にいる誰かかもしれない。


成功しても、俺がただで済む保証はない。


右手が脈打つ。

もう時間がない。


そのとき、建屋の上から、聞き覚えのある声が降ってきた。


「ケケッ……最終面ですぜぇ」


見上げる。


グレムだった。


前よりさらにひどい。

左脚は完全に引きずっているし、輪郭の右半分が砂嵐みたいに崩れかけている。

それでも目だけは元気だった。腹立たしいくらいに元気で、しかも楽しそうだった。


「お前、まだその身体で出てくるのか」


「現場は気合いですぜ」


「ブラック企業かよ」


「旦那も似たようなもんでしょうが」


「言うな」


「最終盤でそれ言われると効くですぜぇ」


「末端のくせに煽り性能だけ一丁前だな」


「ありがとうございますぜ」


褒めていない。


グレムは建屋の上をちょこまか移動しながら、赤い目を細めた。


「ですが旦那、もう無理ですぜぇ」


「何がだ」


「右腕、だいぶ死んでるですぜ。顔色も終わってるですぜ。恋と残業で死にかけの中年ですぜぇ」


「言い方が最悪だな」


「事実ですぜ」


反論できないのが腹立たしかった。


「旦那、今ならまだ戻れるですぜ」


グレムが言う。


「クラゲ見て、飯食って、解散ですぜ。きれいな日曜ですぜぇ」


「その後があるだろ」


「その後は月曜ですぜ。考えるだけ損ですぜ」


「社畜の悪知恵みたいなこと言うな」


「旦那も似たようなもんでしょうがぁ」


「それ言うな」


『グレム』


ゼルヴェクトが低く落ちた声で言う。


『もう戯れるな』


「了解ですぜ。ですが旦那、最後に一つだけ」


グレムがにやっと笑う。


「今戻ったら、デート続けられるですぜ」


その一言が、妙に深く刺さった。


戻る。

クラゲホールへ。

大水槽のところへ。

朝比奈さんのところへ。

何も知らない顔で、約束どおり一緒に続きを見る。


それだけなら、できる。

この場で手を引けばいい。

第七は開く。

その先のことを考えなければ、デートは続けられる。


その絵が、一瞬だけ鮮明に浮かんだ。


最低だ、と思った。

一瞬でも、その絵が頭に浮かんだ自分が最低だった。


「……それで、その後どうなる」


グレムが肩をすくめるみたいに首を傾けた。


「旦那の知ったことじゃないですぜ」


その瞬間、迷いが切れた。


そうだ。

その後があるから、戻れない。


朝比奈さんとクラゲを見た後。

大水槽を見た後。

このデートが終わった後。

“後で”の先。


月曜日の朝。

火曜日の昼休み。

来週の金曜日。

その全部が、朝比奈ひまりの人生だ。


そこまで含めて守らなければ、戻る意味がない。


「悪いけど」


俺は右手を建屋の盤面に当てた。


冷たさが一気に腕を這い上がる。

今までの六つとは比較にならない。

第七は、盤面の奥に都市一つ分の重さを抱えている。

手を当てた瞬間に、肘から先の感覚が飛んだ。


「ここで関係は終わりだ」


ゼルヴェクトに向けて、言った。


グレムが目を見開いた。


「旦那、それ、こっちの台詞ですぜ――!」


跳んでくる。

今までで一番速い。


左手を振る。

干渉線が走る。

だがグレムも読んでいて、紙一重で外した。


「甘いですぜ!」


「うるさい」


右手は離せない。

左だけで迎撃するしかない。


グレムが今度は喉元へ来る。

ひねって避ける。

頬を爪が掠める。

熱い。


そのままグレムが耳元で笑った。


「旦那、守りたいものが増えると、反応が鈍るですぜ」


図星だった。


だから、腹が立った。


左手を逆向きに薙ぐ。

干渉線が短く、鋭く走る。


今度は避けきれなかった。


「ぎぃっ!?」


グレムが建屋の壁へ叩きつけられる。

ノイズが弾ける。

だがまだ消えない。

壁にへばりついたまま、片目だけこっちを見ている。


しぶとい。


「このっ……」


「旦那もしつこいですぜ!」


「お前にだけは言われたくない」


右手に全神経を集中する。


第七は、ただの門じゃない。

第一から第六までの残滓と起動圧を飲み込んで、今まさに開こうとしている最終起点だ。


断つ。

だが、ただ切れば暴発する。


必要なのは、上書きだ。


起動コードを、停止コードで潰すのではない。

起動そのものを、失敗した手順として書き換える。

完了ではなく、エラー終了へ倒す。

再実行の条件ごと潰して、起動を成立させない。


保守屋の仕事は、止めることだけではない。

失敗を失敗として記録し、再起動を防ぐことだ。

ずっとやってきたことと同じだった。


息を吐いた。

肺の底に溜まっていた、今日一日分の嘘と迷いを全部吐き出すみたいに。


『やめろ、村田耕助』


ゼルヴェクトの声が、初めて揺れた。


『そこを書き換えれば――』


その先を言わせなかった。

聞けば、止まるかもしれなかったから。


「知るか」


押し込んだ。


右手の感覚が完全に飛ぶ。

肩まで、首まで、頭の奥まで白くなる。

視界が半分消える。

自分が立っているのか倒れているのか、一瞬分からなくなる。


回路が軋む。

都市のどこかで風向きが変わったような気がした。

海沿いの空気が、一瞬だけ重くなる。

それから、軽くなる。


盤面の奥で、巨大な何かが噛み合い損ねた。


歯車が空転するように。

起動しようとして、失敗するように。


第七の点が、右手の中で激しく明滅する。


消えろ。


頼むから、消えろ。


そのとき、遠くから、朝比奈さんの声が聞こえた。


「村田さん――!」


遠い。

だが確かに聞こえた。


その声に、最後の力が入った。


「あなたを巻き込むのは、なしだ」


押し切る。


第七の点が、消えた。


---


世界が、一瞬だけ静かになった。


本当に一瞬だった。

次の瞬間にはまた、海風の音がして、遠くのスピーカーから館内アナウンスが流れて、子どもの笑い声がした。

何も変わらない。

何も変わらない日曜日が、そのまま続いている。


その静けさの中で、ゼルヴェクトの声だけが残った。


『……やってくれたな、村田耕助』


もう怒鳴ってはいなかった。

静かすぎて、逆に背筋が冷える。


『本当に我を裏切ったか』


息を切らしながら、建屋の壁にもたれて、ようやくそれだけ聞いた。


「最初は、そうだった」


声がかすれている。

自分の声がひどく遠い。


「でも、もう違う」


右腕はほとんど感覚がない。

視界も揺れている。

それでも、言葉だけは不思議と真っ直ぐ出た。


「このへん全部、今日を普通の日曜だと思って歩いてる」


海沿いの遊歩道。

水族館。

家族連れ。

カップル。

走り回る子ども。

ベビーカーを押す母親。

カメラを構える父親。

クラゲを見上げていた朝比奈ひまり。


「それを、お前の都合で壊させるのはなしだ」


しばらく沈黙があった。


海風が吹いた。

汗が冷える。


それから、ゼルヴェクトが低く笑った。


『愚かだな』


「知ってる」


『我を裏切ったこと、後悔するぞ』


「たぶんするだろうな」


正直に言った。


「でも、それでもこっちだ」


その瞬間、頭の中の圧がふっと遠のいた。

接続が切れたのか、弱まったのか、それとも魔王が自分で距離を取ったのかは分からない。

ただ、ゼルヴェクトの気配が一段引いた。


代わりに、グレムの弱々しい声がした。


「旦那……ほんとにやっちまったですぜ……」


壁際で半分ノイズになりながら、まだ存在している。

しぶといにもほどがある。


「お前もまだいたのか」


「死にぞこないですぜぇ……」


「俺もだよ」


「お互い様ですぜぇ……」


「……そうだな」


グレムは輪郭の半分をノイズに溶かしながら、最後にぽつりと言った。


「旦那、次はないですぜぇ」


それだけ言って、壁の染みみたいに消えた。


追う気力は、もうなかった。


---


館内アナウンスが流れる。


> クラゲホール特別演出を開始いたします。


正午だ。


なのに何も起きない。


悲鳴も、轟音も、崩落もない。

風だけが吹いている。

遠くで子どもの笑い声がする。

海が、いつものように光っている。


普通の日曜だった。


誰もこの日曜が守られたことを知らない。

知る必要もない。

知らないまま笑って帰って、月曜日にまた普通に出勤して、普通に仕事をして、普通に生きてくれればそれでいい。


その事実に、膝から力が抜けた。


建屋の壁に背中を預けたまま、ゆっくり座り込む。

右腕はまだ感覚が戻らない。

頬も痛い。

胸も苦しい。

息がうまく吸えない。


でも、生きている。


正午を越えた。


門は開かなかった。


しばらく座っていた。

それが何秒だったのか、自分でも分からない。


それから思い出した。


戻らなければならない。


朝比奈さんのところへ。

“後で”を聞きに。

約束を、果たしに。


左手で壁を掴んで、立ち上がる。

ふらついた。

視界がまだ少し揺れている。

右腕が重い。

だが足は動く。


歩き出そうとしたとき、足音がした。


こちらへ向かってくる足音だった。


顔を上げる。


水族館側の通路の先に、朝比奈ひまりが立っていた。


青い光の名残をまとったまま、こちらを見ている。

息が少し上がっている。

走ってきたのだ。

大水槽の前で待っていたはずの人が、待ちきれなくなって走ってきたのだ。


たぶん、少なくとも最後の何かは見られた。


どこから見ていたのかは分からない。

どこまで見たのかも分からない。

建屋の前で壁にもたれて座り込んでいる男と、頬の傷と、感覚のない右腕。

少なくともそれは見えているはずだ。


ただ、その目は、怖がってはいなかった。


心配そうで、少し泣きそうで、でも逃げていない目だった。


「……村田さん」


名前を呼ぶ声が、震えていた。


俺は少しだけ笑おうとして、うまくいかなかった。

顔の筋肉が言うことを聞かない。

たぶん、ひどい顔をしている。


それでも、言葉は出た。


「……戻りました」


それだけ言うのが、やっとだった。


朝比奈さんは、数秒、何も言わなかった。


目が少し赤くなっている。

泣いてはいない。

泣くのをこらえている顔だった。


それから、まっすぐこちらへ歩いてきた。

楽しいデートの再開だ。


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