ツギハギとシャベル
桜木さんの案内が終わり僕は自分の部屋へと戻った。
桜木さんの説明によると
台所、風呂場、トイレ、居間は共用らしい。
「本当は掃除やご飯作りも当番制にしたかったけど、それぞれが好きに生活をしていて叶わなかったんだよね」と桜木さんは案内中ブツブツと言っていた。
薄々勘づいてはいたけど、ここはシェアハウスというものなのだろう。
部屋に戻り、荷解きをしながらそんなことを考えていた。
外を見る
庭から見える空はオレンジ色に染まり始め部屋も薄暗くなり始めていた。
僕は電灯の紐を引っ張り明かりをつけた。
実家から送られてきた荷物は 両親から贈られたTVとテレビ用の棚、私物のCDと再生機器、寝具、食器類
折りたたみ式の机、そして僕の1つ上の姉から新生活記念と贈られてきたカラーボックス、高校の制服、ノート類、筆記用具…。
スーツケースの中を開く、着替えにタオル、携帯ゲーム機にタブレット端末、貴重品。
一つ問題があるとすれば部屋にはTV用のケーブルはなくコンセントのみなので、DVD再生専用になるか置物になりそうだ。
僕はとりあえずテレビを設置し、カラーボックスを組み立てそこにCDを入れ、折り畳み式の机を部屋に置いた。
僕は目を覚ました、どうやら荷解きが終わった後疲れて眠っていたらしい。
畳の上で直に寝ていたせいか身体が少し痛む
スマホの電源ボタンを押す、時刻は22:00を過ぎていた。
メッセージアプリを開く、家族からメッセージがきていた特に姉から。
『無事ついた!?』
『無事ついたなら返事してー』
『奏さーーん!!』
もしもーしと言うウサギのキャラクターのスタンプが連投されていた
『奏!未読無視すなー!!』
僕はため息をつきながら
無事着いたこと荷解きが終わったことを打ち込んだ。
メッセージを送った直後に付いた既読。おつかれさまというスタンプ。
僕は布団を敷き、パジャマに着替えて寝始めた。
風呂に入るほどの体力はなかった。
先ほど少し眠ったからか、なかなか寝付けない。
無理やり目を瞑り羊を数える。
そのうち僕の意識は沈んでいった。
朝、目を覚ます。
見知らぬ天井、僕は辺りを見渡した。
そうだ昨日引っ越してきたんだった。
僕はパジャマ姿から私服に着替え、食器類を持って屋敷内を歩いていた。目指す場所は台所だ。
(そういえば昨日から何も食べてなかったな…)
そんなことを考えながら歩いていると台所から騒がしい声が聞こえてきた
「フランちゃん!エナジードリンクはご飯じゃないんだ。分かっているのかい!?、また冷蔵庫にエナジードリンクの缶ががあるじゃないか!?」
「ちっ…エナドリのストックを取りに来たらこれか!
うるさいな幽霊野郎が!!お前はアタシのマムが何かか?あ"?」
台所に入ると冷蔵庫前で半透明の人と灰色の髪をした女の人が揉めていた。
どうやらご飯関係で揉めているらしい。
二人が喧嘩している脇で炊飯器がピーという音を立てていた米がたけたらしい。
僕は声をかける
「お、おはようございます。」
二人はお構いなしに争う。
僕はさらに声を張り上げた
「お、おはようございます!!」
二人が僕の方を見る、そしてまたお互いの顔を見る
「嗚呼、言い争いが馬鹿馬鹿くなってきた」
「そうだねぇ、元はと言えばお前が大人しくエナドリを取らせてくれれば言い争いにならなかったんだけどねぇ…?」
「なんだって!?」
「やんのかぁ!?幽霊野郎が!!お面なんざ被って気色悪いんだよ!!」
桜木さんを見る今日は翁の面をつけている
「仕方ないだろ!?好きでこんな体じゃないんだ!!君こそツギハギだろう!!」
フランと呼ばれた人の体を見る確かに縫い目だらけだ
「こっちも好きでこんな体じゃないんだよ」
二人がまた睨み始めた。
しばらくして、二人は顔を逸らしあって別れた
翁の面…桜木さんはこちらを見る
「おはよう…奏くん。朝から揉めていてごめんねぇ。」桜木さんは手を合わせて謝る。
そして、灰色の髪の人を見る
「フランちゃん、彼は昨日からここに住むことになった新しい仲間の天野奏くんだ。
君も挨拶をしてくれないかい?」
その人は僕のことをジロリと見た。
その人は身体中縫い目だらけでおでこにも縫い目があった。
「アタシはフラン、ここの住民…ヨ・ロ・シ・クッ!」
そう言って彼女は緑色の缶ジュースを持ちわざとらしくドシドシという足音を立てながら台所を出て行ってしまった。
「全く、彼女はエナジードリンクとサプリばかり、
たまにはご飯を食べて欲しいものだよ」
桜木さんは宙で足を組んでつぶやいていた。
「あの〜、桜木さん…」
「なんだい?奏君」
「炊飯器のご飯を食べてもいいでしょうか」
「もちろん!!いいさ!!さ、朝飯を食べて漬物やふりかけ、味噌汁もあるよ」
「ありがとうございます。」
こうして僕は朝ごはんを食べて食器を洗った。
「ところで食器はどちらにしまえばいいのですか?」
「そこにある食器棚さ、わかりやすく自分の食器類はまとめて置いておいてね」
「わかりました」
食器を拭いて、食器類を食器棚にしまった後部屋に戻って、音楽を聴いていた。
ザクッザクっという土を掘る音。
カツン、カツンと時々小石が当たる音がする。
僕は先ほどの女の人…フランさんと一緒に枯れず桜の根元をシャベルで掘っていた。
どうしてこうなったのだろうか。
それは少し前に遡る
やっと幕間に繋がる話になりました。
ダラダラと伸ばす形になってしまい申し訳ありません。




