咲き続ける桜
僕の名前は天野奏
15歳 近いうち高校1年生になる。
進学先の高校は遠く離れており自宅からの通学も厳しい引っ越すにも一人暮らしは大丈夫かと両親が悩んでいた所同級生の親御さんの知り合いの人によって今いるこの屋敷こと幽玄荘を紹介された。
紹介されたはずだった。
はずだったというのは
なぜか両親と僕は納得しその物件を選び手続きをしたその辺りの記憶が曖昧でその物件を勧めた人の顔もよく覚えてない。
キツネにでも化かされたような気分だ。
今僕はその幽玄荘の廊下を桜木という幽霊のような人に案内され、歩いていた。
廊下を歩くたびギシギシと床が音を立てる。
「それにしても、よくこの屋敷に一人で無事辿り着いたね。本当は大家さんが迎えに行く予定だったんだけど彼、急に用ができてしばらく空けると言っていなくなってしまうし、俺はこの屋敷に縛られて外に出られないし、君以外にも住民はいるけど昨日から部屋に引きこもって出てこない子や不在の子がいたりしてさ…」彼が言い訳のように、徐々に声のトーンを落としながら話している。
この幽霊はきっと地縛霊のようなものなのだろう。
屋敷内を歩く途中怪しい光が隙間から漏れている部屋があった。
恐らくその部屋が例の住民の部屋なのだろう。
途中で彼が止まった
「ここが今日から君が住む部屋だよ、一応施錠はできるけどあまり期待はしないでね…」
彼が残念そうに言う
部屋の出入り口は襖で中に入るとそこは和室だった。
内側には施錠用なのだろう金具がついていた。
畳に漆喰の壁、既に到着したであろう荷物らしき段ボール、中は埃っぽくはなく白い障子から暖かい春の日差しが入り込んでいた。
僕は部屋の中に入った
障子の前まで歩き障子に手をかけ開けた
障子を開けた先は縁側になっており、そこから庭が見えた。
庭には外からも見えた大きな桜の木があった。
その桜は花しか付いていなかった 緑色の葉はなく、桜が散るとそこからまた新たな桜の花が芽吹きまた散っていく…そんな奇妙な木であった。
「綺麗にみえるでしょ?
この桜の木はここの名物で枯れず桜って言うんだ、
一年中花をつけ続けている桜なんだ変でしょう。」
桜木さんが後ろから話しかけてくる。
僕は口を開いた
「変な桜…ですが…綺麗ですよ」
彼は少し驚いた様子で僕の顔を見た。
「そ、そっかぁ〜綺麗かぁ、久しぶりに言われたなぁ」
お面で顔はわからないけど目を逸らしたような気がした 何かまずいことを言ったのだろうか?
「そ、そうだまだ中の案内をしてなかった。
荷物を置いて少し休もうか、それから案内をしよう」
長旅で疲れているところごめんねという謝罪を添えて彼は両手を合わせて謝った。
スーツケースを置部屋の中に置き、縁側に座り、桜を見る。
立派な幹の桜は相変わらず、咲き乱れ散る、その度に花びらがふわふわと地面に向かって落ちていく
不思議なことに地面に花びらは残らず幻のように桜の花びらは消えてしまう。
そして木の周りには雑草が一本もない。
桜の木の周りには何もないまるでそれを避けるかのように桜の木の周りには植物が生えていなかった。
桜木さんは桜の木の周りをふよふよ浮いていた。
嬉しそうに何かを待ち侘びているように。
桜を見ながらしばらく過ごした後僕は、桜木さんとまた屋敷の中を歩き始めた。




