お昼ご飯
高校登校初日。
授業自体は最初ということもあり、校内案内や先生たちの紹介などが主だった。
そして昼休み、クラスメイトの夜式 来常ことツネは目を輝かせていた。
その手にはがまぐち財布を握っていた。
お昼休みを告げるチャイムと共に教室を飛び出していった。
僕はとりあえず、追いかけてみた。
ツネは白いパーカーを中に着ている上猫耳付きフードをかぶっている分目立って追いかけやすかった。
軽い身のこなしとすごい足の速さで廊下を駆け抜けていく、僕は見失わないよう頑張って走った。
ツネは自販機前で足を止める。
目の前には色とりどりのパンやサンドイッチ。
購買だ。
「おばちゃん!!コロッケパンひとつ!!」
ツネが財布からお金を取り出して、渡していた。
購買前で一番乗りしたツネは笑顔でパンを買っていた。購買前にはどんどん生徒が集まっていた。
人ごみを抜けたツネと目があった。
「お、奏!お前も昼飯買いに来たのか?」
「違うよ、ツネが走ったから何があるかなって…この学校購買があるんだ」
「おぅ!学校見学の時知ったんだ」
「へぇ、僕は気づかなかったなぁ」
「意外だな、俺はパンの匂いでピンと来たんだ。」
「ツネはパンが好きなんだね」
「おう!特にコロッケパンが好きだな」
僕とツネはそんな会話をしながら、教室へと戻っていった。
「奏、お前は弁当派なんだな」
ツネが椅子を僕の席に持ってきて座る。
「うん…僕の住んでいる所、幽玄荘ってお屋敷なんだけどそこの人が作ってくれて」
「それにしてもかわいい弁当箱だな」
「う…うん、そうなんだよ」
僕は机の上に置かれた弁当箱をみた
オレンジ色のプラスチック製の2段重ねの弁当箱。
蓋には可愛らしいひよこの柄がプリントされていた。
中を開けてみる。
抗菌シートに焼き鮭、卵焼き、茹でたブロッコリー
2段目は梅干しが入ったご飯。
中は普通だった。
「美味そうだな」
「なら、ツネ卵焼き食べる?」
「食う」
僕はツネに卵焼きを渡した。
ツネは卵焼きを受け取って口に入れて咀嚼する。
顔が徐々に歪んでいく。
ツネはペットボトルのキャップを開き中のお茶を飲んだ。
続けて、しょんぼりした顔でコロッケパンを一口齧っていた。
僕も卵焼きを食べてみる。
普通の卵焼きだった。
「お前、よくそれ食えるな…結構しょっぺぇぞそれ」
「え?そう普通の卵焼きだと思ったんだけど」
ツネは不服そうに首を傾げていた。
その後コロッケパンを齧ってお茶を飲んでいた。
「それにしても、お前屋敷に住んでいるんだな。
どっかのお坊ちゃんか?」
「違うよ、ここに通うために住むところを探していたら、中学校時代の同級生の知り合いの人に勧められたのがそこだったんだ。
僕の他にもいろんな人が住んでいるんだ」
「シェアハウスってやつかぁ、お前この歳で共同生活ってすげぇな…」
「そう?」僕はご飯を飲み込んだ後返事をする。
「だってさぁ、見ず知らずの奴らとひとつ屋根の下で暮らしてんだろ?すげぇよ」
「確かに…そうかも。」僕は頷く。
確かに、慣れたけど15歳でそこに住むのは変わっている。
「それにしても勧めた奴もやべぇし、お前の両親もすげぇな、息子をそんな場所に送り込むなんてな」
「それが…なんかよく覚えてないって言っているんだよね、いつの間にか契約してたらしいんだよねぇ…」
「それさぁ」
「そう、まるで」
『キツネに化かされた』「みてぇだな」「みたいだよね」僕らは顔を見合わせて同じことを言った。
そのあと笑った。
そうしているうち、昼休みが終わり。
ツネは椅子を持って自分の席へ戻っていった。
午後の授業とHRが終わり、放課後僕はツネとある店に行くか誘ったけど断られてしまった。
ある店とは、零さんが働いているという雑貨店だ。
僕は地図アプリを起動して桜木さんからもらった住所が書かれたメモを見ながら打ち込んだ。
僕はカバンの紐を握りしめてそこを目指して歩き出した。




