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神々の愛し子  作者: chima
開かれた扉
13/32

長い階段は恐怖でした



『大掃除でもしたのか? 様子が変わったようだが』



『ええ、そうなんです。 あの二人が突然はじめまして、このように……』




どうやら、あの二匹の行動で大幅に模様替えされたよう。先程からアゲットさんの言葉の端々から疲れが見える。気苦労されているのだなと心のなかで背中を擦らせていただきます。




『あの二人の突然の行動は毎度のことだな』


『後日、心労に良いといわれる生薬を届けさせましょうね』


『いたみいります』




美形さん、ヴァルトさん、アゲットさんのやりとりを傍目に祭壇の奥にある部屋へと入る。そこにはバレーボールサイズの水晶玉。


アゲットさんは、その前で立ち何やら唱えている。




『 “ أنا آسف جداً لكن هل سأخذك إن كانت إرادة الآلهة ستفع“』


(アナアシフジャダ……クハ? アル? ……ジャ?)



全然まったくこれっぽっちも聞き取れない! 解読できないが、 ただ、美形さんは後方で胸に手をあて頭を下げる……所謂、王子様の礼をし、従者の方々はその後方で膝をつき仰々しく礼を表す。中華風の歴史ドラマでみた礼の形。


そして、まさかの猫のフィーさんまでもがお辞儀ポーズ……。



これで、突っ立っていたら凄い。もちろん、見よう見まねで膝をおり礼をとる。注意を受けないので間違いではないのだろうと思う。



シャラーン シャラーン リーン



『 شكرا لك يا الل』




何処からか、鈴の音が鳴り響く。


風鈴などの揺れる音ではない、ガッツリ鈴です!って主張されている音なのだ。綺麗だけれども……。




日本では、このような現象は心霊現象ととれると思うのだが……場所が神殿ということなので、まさかね、なんて罰当たりなことを脳で処理していく。間違いなくビビっています。




『お待たせいたしました。こちらへどうぞ』




「ね、ねえ、フィーさん、抱っこしてあげようか?」




アゲットさんに促され、そそくさと扉をでる。

上へ行く階段と下への階段があり、アゲットさんは『こちらへ』と階段を上りはじめる。




なんとこの階段……普通ではありませんでした。

ガラスやプラスチックとは違う素材の透明な階段なんです。ミニスカートじゃなくてよかった。




登りやすい階段のため、普通に歩けば下を見なくても登っていけるだろうと思うのだが、先が見えないほど長い。

(後に聞いたが2468段だとか……。)




(フィーさんが階段を昇る姿は可愛いけれど、落ちそうでこわい)




目の前にいるフィーさんへ声をかけると、ゆっくり歩みを止め振り返るとじーっと見つめてくる。そして、ニャッとひと鳴きで腕のなかに飛び込んでくる。どうやら、その言葉を待ってたようですね。



「おっと!!」


『おっ! フィー、飛び込むときは場所を選んでくれ!!』




受けとめる時についつい一歩下がろうとしてしまい、こうなると分かりきっていたのか、ヴァルトさんが支えてくれた。



ヴァルトさんの言葉がはじめと比べ急速に崩れていく。そして、フィーさんは返事をするかのように“フンッ”なんて鼻息ひとつ。更には、遠くを見つめな欠伸をひとつ。


……全く気にしていない様子。



『……お前ねえ……』



ガックリと肩を落とすヴァルトさんに“さぁ、行きましょう”と背に手を添えられながら階段を登る。登る。登る。のぼ……、長い……。



登っても進まないような感覚に陥るほど長い!



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


『大丈夫かい? 体のちいさなルナには少々きつかったかもしれないな』


『あと少しですが頑張れますか?


普段ならば動く階段に出来たのですが……』


『ここは私が抱き上げて行きましょう』


「だ、大丈夫です!!!歩けます!!!」




息切れする優月を子どもだと信じて疑わない面々は、もう驚き反応するのも面倒なのだが抱き上げようとする。エスカレーター機能が使えないのは残念ではあるが、恐らく流れ的に二匹が関わっているのだろう……。



『無理をしてはいけないよ』


「ぬおっ!!『ニャッ』」




結局、フィーさんごと美形さんにお子様抱っこされてしまいました。どうも、皆さん私にペースを合わせてくださっていたらしく、先程よりも倍のスピードで進む進む。




「ひぃぃぃっ」

なんていってる間に目的地に到着しました。




『お疲れさまにございました。どうぞ、天空の間(=インタカエルム)にございます』




『おや、ルナ? どうかしたのかい?』


「イ、イエ、ドウモシテマセン。アリガトウゴザイマシタ」




抱かれはじめは恥ずかしさと当然の子ども扱いに虚しさを堪えていました。


とはいえ、フィーさんを抱く私を落とさないようにしっかりと抱いてくれる美形さんの良い薫りをひっそり楽しみました。



そう、はじめ30秒ほどは……。




自分より遥かに高い身長の彼に抱かれるということで当然、自分の視界も高くなる。ましてや、下を覗くと透明階段。日本の寺社仏閣にあるながいながーい階段が透明になったようなもの、もっと分かりやすく例えると……幼い頃に好奇心で大きな木に登って上へ上へ行ったあとに下を見下ろす感覚。目眩がのごとくクラクラしてしまう。



……正直、恥ずかしさなんて30秒で消え去りスイッチが切り替わりました。



美形さんの“こてん”と首を傾げる仕草にきゅんっとやられた。


それはそうと、天空の間(=インタカエルム)の内装に驚く。


魔法なのだろうと思うが、本来ならば天井がある場所に幻想的な色の空に太陽を表す模様? そのなかに三日月、不思議としか表現できないが、静止画ではなく空のように動いている。からくりをいくら考えても魔法ならばわからないので仕方ない。気にしないにしよう。



『それでは神々をお呼びだし致しますね』



優月以外の頷きに再び先程と同様、全員が礼を表す。違う点は、アゲットさんが天井の模様から伸びる光線の手前で従者の皆さんと同様の体勢になっていること。再び従者さんと同じように礼をとる。



優月のなかで神にお伺いをたてると言われてもピンとこない。実際に会ったことがないため、イメージとしては日本のイタコをイメージしていた。身体を貸して通信するのだと。



ここで、改めて地球とは何処までも異なると改めて実感するのだった。


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