第28話 復活
目覚めると俺は窮屈な箱に閉じ込められていた。
しかも箱は絶えず揺れている。
どこかに運ばれている最中のようだ。
「な、なんだこれっ」
俺は反射的に箱を蹴り破り、外に顔を出す。
箱の正体は粗末な木の棺桶だった。
それを持ち上げて運ぶのは見知らぬ男達である。
男達は血まみれで、頭が割れていたり、胸にナイフが刺さっていた。
どう見ても致命傷だが、彼は虚ろな表情で平然と歩いている。
後方には似たような状態の人々が列を作っていた。
異様な光景に困惑していると、聞き慣れた声が飛んでくる。
「慌てるな。俺の死霊術で操っている死体だ」
振り返ると馬に乗るグイルとキサラがいた。
俺は直前の記憶を思い出しながら言う。
「あ、あの俺……」
「バヌゥカに襲いかかって首を折られたんだ」
「でも生きてますよ?」
「再生の祝福で蘇ったんだろう。半日もかかるとは思わなかったがな」
「でもすごいですよ! 新人君は不死身なんですねぇ!」
キサラが大喜びしている。
仲間が無事だったというより、興味深い能力を見つけたという感じだ。
今にも攻撃してきそうな迫力を醸し出している。
味方殺しという情報は本当みたいだ。
勝手に盛り上がるキサラを無視してグイルは話を進める。
「バヌゥカはお前が死んだと思っている」
「再生できることを説明しなかったんですか?」
「わざわざ教えてやる義理はないからな。仮に説明すれば、お前が再生できなくなるまで切り刻むだろう」
「確かに……ところでここはどこですか。たぶんアーデ領を侵略中だと思うのですが……」
「そうだ。俺達は先行部隊として首都を目指している。ファルクエン軍は少し遅れて進んでいる。略奪を楽しんでいる頃だろう」
後方で爆発音がした。
さらに連続で同じような音が響き渡る。
その正体に思い至り、俺は怒りと悲しみを覚える。
「あ、あの音はまさか……」
「お前と同郷の人間が爆弾として使われたようだ。性能実験を兼ねているから、積極的に発動しているらしい」
「くそ、滅茶苦茶だ!」
俺は棺桶から飛び降りると、来た道を走って戻ろうとする。
その際、グイルが鋭い声で尋ねてきた。
「待て。どこへ行く?」
「バヌゥカを殺しに行きます」
「我慢しろ。俺達はバヌゥカに雇われた傭兵だ。依頼主を殺しにかかるなど論外だろう」
「でも……っ!」
「まずは落ち着け。何事にも抜け道はある。ここは俺達に任せるんだ」
グイルとキサラは不敵な笑みを浮かべていた。




