第27話 非道な兵器
故郷の村人達は、見るからに衰弱していた。
痩せ細って顔色が悪く、今にも倒れそうである。
おまけに首輪も着けて自由を失っている。
そして顔や手足には見慣れない魔術刻印が刻まれていた。
村にいた頃にはなかったものだ。
奴隷になってから施されたのだろう。
予想外の再会に俺は驚愕する。
「皆……どうしてここに……」
「アルフ、どうした」
俺の異変に気付いたグイルが声をかけてくる。
村の皆を指差した俺は、震える声で答える。
「あの人達、俺と同じ村の人間です。ハンニグの略奪で捕まったんですけど……」
「奴隷になった後、バヌゥカに買い取られたようだな」
「そんな……!」
状況的に平穏に過ごしているとは思わなかった。
しかし、こんな再会はあまりにも酷いじゃないか。
それになんだか嫌な予感がする。
戦う力を持たない村人を、なぜバヌゥカはここに連れてきたのか。
俺の予感を肯定するように、バヌゥカは嬉々として語り出す。
「見ろ! この奴隷達は人間爆弾だ! 俺が合図を送ることで炸裂する! これでアーデの兵士どもを吹き飛ばすぞォ!」
刹那、俺の思考は怒りに染まった。
グイルが「よせ」と制止してきたが、構わず叫ぶ。
「ふざけるな!」
俺はその場から駆け出し、兵士達を突き飛ばしてバヌゥカの前に立つ。
村人達は驚いた様子でこちらを見ていた。
「アルフ!?」
「生きていたのかっ」
俺はバヌゥカを睨みつつ、村人達に尋ねた。
「ここにいない人は?」
「死んだよ……村で襲われた時の傷で弱ったり、この魔術を仕込まれたせいでね」
「そうか。わかった」
頷いた俺はバヌゥカに歩み寄る。
バヌゥカは小馬鹿にした態度で話しかけてきた。
「何か言いたいことがあるようだな、小僧」
「皆の刻印を消して解放しろ」
「ふははっ、何を言い出すかと思えば、偽善者気取りか。下らん提案だ。吞むはずがないだろう。そもそも魔術刻印は決して消えない代物だ。もうどうにもならん。こいつらは使い捨ての爆弾として死ぬ運命なのだ!」
我慢の限界だった。
俺は全力でバヌゥカに殴りかかる。
金属鎧すら貫くその一撃は、しかし命中することなく空を切った。
バヌゥカは前触れもなく視界から消えて、次の瞬間には背後から俺を羽交い絞めにする。
即座に抵抗しようとするも、痺れるような衝撃が全身に走って倒れた。
「くっ……!?」
「死霊術師! こいつは俺に逆らった! 殺してもいいなっ!?」
「……好きにしろ。ただし死体はこちらで引き受ける」
グイルの声が聞こえた後、俺の視界が激しく回転し、意識が途切れた。




