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ファルクエン戦記  作者: 結城 からく


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第26話 将軍の演説

 その後、俺達は砦の外で休息をとった。

 焚火を囲んでパンと干し肉を齧る。

 ファルクエン軍の兵士達は砦内で過ごしていた。

 俺達だけ除け者にされているというわけだ。


「鈍色の獅子の立場は絶妙だ。団長が正規軍への勧誘を断っている関係で、正規軍からは良く思われていない。まあ、今回の場合はバヌゥカの個人的な感情によるところが大きいが」


「私が嫌われているせいですね! 巻き込んでしまってすみません!」


「気にするな。俺も奴に嫌われている」


 グイルとキサラは笑い合って酒を飲む。

 この冷遇ぶりにも慣れた様子だ。


(印象が悪いのに雇われるってことは、実力は評価されているんだろうな)


 深夜になると、砦からファルクエン軍が出てきた。

 屋外に整列した兵の前には将軍バヌゥカが立っている。

 俺達は特に指示されていないので焚火を囲んで座ったままだ。


 ちょうどいいので遠視の祝福を使ってみる。

 上手く集中すると、離れているのにバヌゥカの顔がはっきりと確認できた。

 バヌゥカは息を吸い込んだ後、大声で宣言する。


「これより我々はアーデ領に侵入し、闇夜に紛れて奴らを叩き潰す!」


 バヌゥカが詳細な侵攻手順を説明し始めた。

 最短ルートでアーデの首都を目指して王を狙うらしい。

 その経路には俺の故郷の村が含まれていた。


(なるほど……そういうことか)


 あの時、ハンニグがわざわざ村を襲撃してきたのは、偵察や侵攻ルートの確認が目的だったのだろう。

 損害を与えつつ、本命の侵略が成功しやすいように立ち回っていたわけだ。

 そんなことをすれば警戒されて守りを固められそうだが、こうして大規模な作戦に発展させているのだから、ちゃんと勝てる見込みがあるのだと思う。


「偉大なる王ハンニグ様は、此度の侵略行為に何の制限もかけないと仰った! 敵地で得られるあらゆる資源を自由にしていいそうだ!」


 それを聞いた兵士達は大いに盛り上がる

 侵略行為に制限をかけない……つまり略奪し放題というわけだ。


「クズ野郎が……」


 俺は憎しみを込めて呟く。

 小さな声が聞こえるはずもなく、バヌゥカは機嫌よく話を続けた。


「そして、今回は新たな魔術兵器を用意した。試験運用だが、絶大なる効果は既に確認済みだ! 連れてこい!」


 バヌゥカの合図で、砦からぞろぞろと人間が現れる。

 刹那、俺は立ち上がって驚愕する。

 松明の火に照らされる彼らは、紛れもなく故郷の村の人々だった。

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