第24話 再訪の砦
用意されていた馬で俺達は街を発つ。
ただし、俺はグイルの背中に掴まる形で移動する。
揺れはそれなりに激しいが、油断しなければ落下しないだろう。
荒野を進む中、グイルは俺に尋ねる。
「新しい祝福は使いこなせそうか」
「はい、たぶん……ほとんど実戦で試す形になりそうですけどね」
「別に悪いことではない。失敗したらフォローする。なんでも挑戦してみろ」
「ありがとうございます、頼もしいです」
気難しい雰囲気のグイルだが、話してみると意外にも優しい。
倉庫で死体から祝福を奪う作業の時も、途中で休憩を挟んだりして気遣ってくれた。
右も左も分からない俺からすると、非常にありがたい存在である。
馬で並走するキサラは、こっちに手を振って唐突に提案をしてきた。
「新人くーん! どっちが敵兵を多く殺せるか、勝負しましょう!」
「えっ!? どうしてですか」
「その方が楽しいですよ! やる気も上がりますし! グイルさんもぜひ!」
「俺はやらん。勝手に競っておけ」
「あ、わかった! 勝てる自信がないんですね! それならそうと言ってくれればいいのに!」
キサラがニヤニヤと笑って挑発する。
その瞬間、グイルが禍々しい威圧感を放ち始めた。
彼は鋭い眼光でキサラを睨む。
「……よかろう。俺に勝負を挑んだことを後悔させてやる」
「いいですねぇ! 燃えてきましたよ! 新人君も頑張りましょうねー!」
「りょ、了解ですっ!」
馬に乗って向かった先は、なんと俺が奪還した国境の砦だった。
遠目にも分かるほど多くの兵士が集まっている。
あれがファルクエン軍だろうか。
おそらく数千人はいそうだ。
砦を見たグイルは俺に説明する。
「地理的に最適な場所だそうでな。急遽、お前の戦果が利用されることになったらしい。」
「なるほど。それにしても早いですね」
「侵略はファルクエンの得意分野だ。祝福で軍を徹底管理し、最速最善で敵に攻撃を仕掛ける。他国には真似できない芸だな」
砦の手前で俺達は馬から降りた。
そこからは徒歩でゆっくりと近付いていく。
すると、砦側から巨漢が歩いてきた。
分厚い紫色の鎧を纏う男だ。
グイルが小声で俺に紹介する。
「此度の作戦の責任者である将軍バヌゥカだ。雷光の祝福を持つ強者だが、機嫌次第で味方を粛清する。言動には気を付けろ」
俺は無言で頷いた。




