第23話 新たな団員
考え事をしているうちに、いつの間にか眠っていたらしい。
気が付くと窓から朝日が差し込んでいた。
ベッドから起きた俺は、出発の支度を始める。
まずは装備だ。
硬化や再生の祝福があるので、防具は外してしまおう。
身軽になって動きやすい方が戦闘で有利な気がする。
もし防具が必要になったら、敵兵の死体から奪えばいい。
(武器も……別になくていいんだよな)
怪力の祝福があるから素手でも十分に戦える。
他にも戦闘で役立ちそうな祝福が揃いつつある。
まあそれでもナイフの一本くらいは持っておくか。
これも欲しくなったら敵兵から奪える。
俺の戦闘の主軸は祝福だ。
それ以外の要素に頼ることはあまりない。
我ながら戦いに関する才能は皆無に等しく、色々と工夫を凝らすのも限度がある。
ならば余計なことを考えず、祝福特化のスタイルを固めるべきだろう。
今後、様々な祝福を使いこなすのなら、決まった型を持たずにいた方がいい。
最低限の荷物を持って一階に下りると、酒場でグイルが水を飲んでいた。
俺は歩み寄って挨拶する。
「グイルさん、おはようございます」
「ああ。今回の任務は俺達も参加する。足手まといになるなよ」
「俺達……?」
グイルの足元に革鎧を着けた女が寝転がっている。
年齢は二十代くらいで、くすんだ金髪の美人だ。
その手には空のジョッキが握られていた。
俺は戸惑いつつグイルに尋ねる。
「えっと、その人は……」
「キサラ。鈍色の獅子の団員だ。どうしようもない飲んだくれだが腕は立つ……そろそろ起きろ」
グイルが軽く蹴ると、キサラが「んえっ」と声を上げて飛び起きた。
キサラは丸く大きな目で俺を凝視した後、満面の笑みで詰め寄ってくる。
その迫力に俺は後ずさる。
「ちょ、なんですか……!?」
「君が例の新人君ですか! 私はキサラです! どうぞよろしくお願いしますっ!」
「こ、こちらこそ……」
「新人君の祝福、とても興味あります! 戦場で見せてくださいね!」
「りょ、了解です」
キサラに手を握られた俺は引き攣った笑顔で応じる。
友好的な態度だが、なんだか妙な圧があって怖い。
ぎょろりとした目は、ここではないどこかを見つめているような気がした。
俺達のやり取りを見ていたグイルが立ち上がった。
「出発するぞ。アルフは馬に乗れるか?」
「すみません、騎乗は下手で……」
「ならば俺の後ろに乗せてやる。振り落とされるなよ」
「大丈夫です、ありがとうございます」
俺達三人は建物の外に出た。




