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結婚直前に婚約破棄されたマネージャーの俺が育てたアイドルに拾われ婚するってマ?   作者: 東音
第八章 結婚式に元婚約者が乱入するってマ?

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おまけ話 ルミナス☆ミ センター桜宮紫優の憂鬱⑦〜波乱のキスシーン〜

 あれから、なんとか優青のマネージャー・管林さんの誤解は解けたものの、皆で事務所に戻ってから、アヤちゃん、舞弓ちゃんは大文字社長にこっぴどく叱られてしまった。


「もう少しで、大手の芸能プロと訴訟沙汰になるところだったろ! お前達、反省しろよ!」


「「ゔえ〜ん。ごめんなさい! 社長!」」


「ま、まぁまぁ。二人共良かれと思ってやってくれたんだし、事情を説明したら分かってもらえたし、よかったじゃないですか」


 佐々木さんは社長を宥め、私も同調した。


「そうよ。アヤちゃん、舞弓ちゃんは巻き込まれただけだし……。全く優青は、昔から気が小さいくせに時々とんでもない事やらかすんだから……!」


 過去の優青の言動を思い出し、ため息を付くと、小松崎さんが吹き出した。


「優青くん、誰かさんを彷彿とさせるよなぁ」

「むむっ? 誰かさんって、誰の事かな? あらっちゃん? えいえい!」

「いていて!」


 果林ちゃんが、半目で小松崎さんの胸を拳でポクポクと小突き、突っ込んだ。


 事務所で夫婦でいちゃつくのやめてもらいたいんだけど……。


「まぁ、でも優青くんに共感しちゃうのは確かかなー?

 彼、どう見ても、また別の誰かさんの事好きでたまらないって感じだったもんね?」


 ガタン!

「な、何を言うの?! 誰かさんって誰の事よーっ!!」


 ニヨニヨする果林ちゃんに、私が焦って席を立つと、アヤちゃん、舞弓もノリノリで追随して盛り上がる。


「おおっ。果林ちゃん突っ込んだ!」

「いいぞ、果林ちゃんその調子!」


「ふふ。分かってるくせに。紫優ちゃんも満更でもないんじゃないの? 異性にお気に入りのぬいぐるみを貸してあげるなんて、よほどの親しく思っていないとしないっしょ」


「べ、別にそんな大きな意味はないわよ! あんなんでも、一応養成学校時代からの仲間だし、困ってたら助けてやるかと思っただけで、特別な好意があるとかじゃっ……! か、勘違いしないでよねっ!」


「「はい、ツンデレ姫のテンプレート頂きましたぁ!」」


 果林ちゃんの発言を焦って否定していると、アヤちゃんと舞弓ちゃんが謎の拍手をして来た。


「お前ら、呑気に盛り上がってるけど紫優はこれから売り出していくアイドルなんだから、トップアイドルとのスキャンダルは勘弁してくれよ? 俺ぁ、頭痛いぜ」


 大文字社長に釘を刺され、私は大きく頷く。


「そんなの、分かっているわ!」


 他のメンバーの男性関係で、所属していたアイドルグループ解散するという憂き目にあった私は、スキャンダルの怖さをよく知っている。


「優青とは、養成学校時代の仲間同士というだけよ。今の私は、このドラマの撮影を無事に成功させる事しか頭にないわ」


「「「そっかー」」」


「「「ホッ」」」


 皆にからかわれ、浮足立ってしまった自分の気持ちを静めるように私はそう宣言した。


 きっと、優青も同じ気持ちの筈よね。あいつ、ちゃんとポメ太で脚本の練習しているかしら……?


 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽

《楓川優青視点》


 ドラマ撮影を失敗した上、その後行方をくらまし、紫優の所属しているキラ星プロに押しかけた俺は、あれからマネージャーと事務所の社長にひどく叱られてしまった。


「双星」相方の芹澤夏樹は、今まで問題を起こした事のなかった初の俺の失態に面白そうに目を瞬かせ、「こりゃ、女の匂いがするぞ。パパラッチされにくくて、二人になれる店教えとくな?」


 などと、いらぬ情報をくれたりした。


 そんなこんなで自宅に帰って、ベッドに横になれたのは深夜2時だったが、疲れている体とは裏腹に、目が冴えてなかなか寝れそうになかった……。


『ふふっ。仕方ないわね。キスシーンの演技が上手くできるよう、練習相手にポメ太を貸してあげるわ』


 キスシーンの撮影を失敗し、傷付けるような事を言ってしまった俺を許してくれた紫優の笑顔が浮かぶ。


「何だかんだいって、優しいんだよな。あいつ……」


 彼女から預かったポメ太というらしい犬のぬいぐるみをバッグから取り出し、顔を突き合わせる。


 ❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥         


 勝入裕次郎(楓川優青おれ)「まだ分かんねーのかよ! 俺は、お前の事っ……」

 夢野舞子(桜宮紫優《ポメ太》)「っ…!?」


 チュッ♡


 夢野舞子(桜宮紫優《ポメ太》)「ゆ、裕次郎……!」


 ❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥


「くうっ……!// 紫優……!」


 演技の練習をすると、ポメ太(犬のぬいぐるみ)から仄かに紫優の甘い香りが漂い、俺は悶えた。


「よしっ! 紫優に見直してもらえるよう、次の撮影ではかっこよくキスシーンをキメてやる! そして、撮影を通じていい感じになったところで、あいつをデートに誘うんだ!!」


 俺は気合いを入れて練習に励み続けた。


 そして、いよいよ迎えたキスシーンの撮り直し当日──。


 ❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥         


 勝入裕次郎(楓川優青おれ)「まだ分かんねーのかよ! 俺は、紫優の事っ……」

 夢野舞子(桜宮紫優マイプリンセス)「っ…!?????」


 チュッ♡

 ❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥ 


 紫優の桜色の唇に俺のソレを重ね合わせ、俺は心のなかでガッツポーズを取った。


 今度はとちらず、最後まで出来たぜ!


 ああ、紫優の唇仄かに温かくて、柔らけー!!

 そしてポメ太からも漂っていたあの甘い匂いが、紫優の髪から濃く立ち昇ってくる。


 演技の中とはとはいえ、好きな子と初めてキスをした感動にうち震えながら、名残惜しくも唇を離すと……。


 ❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥❥ 


 夢野舞子(桜宮紫優マイプリンセス)「ゆ、優青……! い、今、紫優って……////」


✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂✂


 え?


 紫優は顔を真っ赤に染めて、信じられないという表情でこちらを見上げ、ぷるぷると震えている。


「「「「「!??」」」」」


 監督、撮影スタッフ、マネージャー、その場にいた全員が凍った表情で俺の方を見ている。


 アレ? 俺、今もしかして紫優って言っちゃったのか?


 ようやく事態を認識した俺はサーッと青褪めたのだった。



✽あとがき✽


 読んで下さりありがとうございます!

次回はいよいよ紫優スピンオフ最終話。

紫優と優青の行き着く先を見守って下さると有難いです。m(_ _)m


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