おまけ話 ルミナス☆ミ センター桜宮紫優の憂鬱⑥〜楓川優青 初めてのラブレター作戦(エラー編)〜
「優青、もうあんたと話す何も事はないんだけど!
アヤちゃん、舞弓ちゃんまで巻き込んでこれは一体何の真似よ?」
「厶、ムググッ!」
何故か猿ぐつわをかまされ、手首を縛られてるというふざけた格好をしている優青に食ってかかると、奴は哀しげな目で布で覆われた口元で何かを呻いた。
「あ〜、紫優ちゃん怒らないであげて? ふざけてるんじゃなくて、 彼、ものすごく反省してるから!」
「紫優ちゃんを目の前にすると、心にもない憎まれ口を叩いてしまうから喋れないようにしてくれって言われて、ボディランゲージも封じる為にこんな格好に……」
「ええ? 何それ?!」
舞弓ちゃん、アヤちゃんの説明に私は目を剥いた。
スッ。
「これ、楓川くんから!」
「えっ」
舞弓ちゃんに一通の可愛い手紙を差し出され、戸惑っているとアヤちゃんが補足する。
「紫優ちゃんに宛てて一生懸命書いていた手紙読んであげて?」
「ムグムグッ!」
優青の方を見遣るとコクコクと頷き、縋るような目で見て来たので、仕方なく封筒を受け取る。
そして、中の便箋を取り出し、躊躇いながらも、そこに書かれた文章を読み始めた。
『紫優、さっきは、本当にごぬ……、ごめん。(ミミズがのたくったような字ね)キスシーンでとちったのは、お前を女の子として見られなかったんじゃない。
いつもお前にはマウント取っているけど、実は俺、女性経験豊富どころかキスもした事ない童貞野郎で、本番ですげー緊張しちゃったんだ。
本当はお前の事、%※$∅%……』
「??? 字が下手過ぎて、最初の何行かしか読めないわ。取り敢えず、優青が、キスをした事もない童貞野郎だって事は分かったけれど……」
「ムググッ!? ||||||||」
正直にそう伝えると、優青は衝撃を受け、舞弓ちゃん、アヤちゃんは頭を抱えた。
「ああっ。気持ちさえ伝わらんかったかぁ……!」
「ただ、童貞を告白するだけの手紙になってしまったぁっ……!」
「ムッ。ムググゥッ……」
「な、何かごめんなさい……」
膝をついて涙を流している優青に、気まずい思いで謝る。
「ま、まぁ、優青なりに真剣に手紙を書いてくれた事は伝わったわ。キスシーンの撮影では、経験豊富なあんたにからかわれたり、マウント取られたりするって思ってたけど、優青も経験なかったのね!」
今まで憂鬱だった気分が一気に晴れたような気がした。
「ふふっ。仕方ないわね。キスシーンの演技が上手くできるよう、練習相手にポメ太を貸してあげるわ」
「ムググッ?」
不思議そうな顔の優青に私は説明してあげる。
「ポメ太はワンちゃんのぬいぐるみよ。
私のお気に入りなんだから、大事にしてよね?」
「ムッ。ムググ〜ッ!」
優青は、感動したように目をウルウルさせて私を見上げる姿は犬っぽくて、ちょっとだけポメ太が重なってしまい、笑ってしまいそうになったところ……。
「ハラハラしたけど、何とか収まりそうだね」
「ああ、ホッとしたぜ」
「紫優さん、よかった……!」
……!
気が付くと、出入り口から果林ちゃん、小松崎さん、佐々木さんが私達の様子を見守っていた。
「場が収まったのはよかったが、お前ら、早く楓川優青の拘束を解い……」
その後ろから、大文字社長が顔を出してそう言いかけたところ……。
「ゆゆ、優青くん?! 連絡取れなくてGPSで追って来てみれば、その姿は一体?!」
「「「「「「「「!!!」」」」」」」」
いつの間にか、事務所の敷地内に優青のマネージャーの女性(確か名前は管林さんといったような……)が立っていて、金切り声を上げた。
「キラ星プロさん、ウチの優青を誘拐するなんて、どういうつもりですかぁ!」
「ムググッ!」
「STARTプロさん。いやいや、誤解ですから!!」
マネージャーに詰め寄られ、普段冷静な大文字社長が珍しく焦っている様子を見遣り、本当に事態の収拾がつくまでにはかなりの時間が掛かりそうだと、私だけでなく、その場の全員が感じていただろう……。
✽あとがき✽
読んで下さり本当にありがとうございます!
えらいことになってますが、ドラマのキスシーンリトライは成功するのか見守って下さると有難いです。
今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m




