おまけ話 ルミナス☆ミ センター桜宮紫優の憂鬱④〜双翼 左翼 楓川優青の嘆き〜
フランス人の父譲りの青い目に彫りの深い顔立ち。
小さい頃は、この目と顔立ちのせいで、女みたいとイジメられる事も多く、内向的な性格だった俺・楓川優青。
少しでも自信がつけばと、母と姉達に勧められて、中学校からアイドル養成学校に通い、緊張していた初日。
「ねぇ。あなた、それってカラコン?」
「えっ。ち、違うけど?」
隣の席の、銀髪に紫の目のメチャメチャ可愛い女の子に話しかけられ、緊張して噛み気味に答えると……。
「そう、綺麗な天然の瞳なのね? 私もそうよ! お祖父さんが、ノルウェー人なの! ふふん。綺麗な色でしょう?」
彼女は、自分の大きなアメジストのような瞳を指差し、胸を逸らした。
「私の名前は、桜宮紫優! 将来トップアイドルになる予定なんだから、覚えて置きなさいよ? あなたの名前は?」
「僕……、お、俺は、楓川優青だ! 俺も将来トップアイドルになる予定だから、覚えて置いた方がいいぞ?」
柄にもなく、そんないきった対応をしてしまったのは、何故だったのか?
ただ、劣等感の象徴だった青い目に興味を持ってくれた、目の前の女の子に自分を強く印象づけたかったのかもしれない。
「そう? じゃあ、どちらが先にトップアイドルになれるか勝負ね!」
人差し指を突き付けての勝ち気な彼女の笑顔から目が離せなかった。
これが俺の初恋だと気付いたのはそれからすぐの事だった……。
それから、上昇志向の強い彼女を追いかけ、遮二無二頑張る内、同期の芹沢夏樹と共にアイドルユニットを組み、「双翼」としてデビューした俺は、トントン拍子に人気が上昇していった。
茶髪に、いたずらっぽい茶色の目、陽気な性格の夏樹とは気が合って、上手くやっていたが、彼の派手な女性関係だけは理解出来ず、相方の俺まで巻き込まれ悩まされた。
何度かなど、夏樹の浮気に怒り狂う彼女を宥めているところをスクープされてしまう事もあった。
第三者の立場で男女関係の修羅場を見て来たせいか、自分の恋愛にはますます慎重になり、初恋相手の紫優に対しても積極的なアプローチが出来なかったが、ドラマの仕事で共演出来ると知った時には嬉しかった。しかも、キスシーンまであるという。
演技とはいえ、紫優との初めてのキス。練習にも否が応でも熱が入り、ついに今日、待ちに待った本番を迎えたのだが……。
『い、いや、ホントに悪かった、紫優……。別に仕返しとか、わざととちったとかそういう事じゃないんだ。ただ、相手が紫優だと思うとどうしても上手く出来なくてっ……』
『……!! 相手が私だからダメだったの? 私に女の子としての魅力がないからっ……??』
さっきのやり取りと傷付いたように大きく見開いた紫優の瞳、溢れてくる涙を思い出す。
「ああぁぁっ……! そうじゃねーんだよっ!! 俺って奴はどうしていつもいつもっ!! 紫優、ごめん! ごめんっ!! うわあぁあぁっ!!」
自己嫌悪。罪悪感。紫優への想いを告げられぬもどかしさ。そういったもので、胸がいっぱいになり、地面に膝をつき、拳を打ち付けて涙を流していると……。
「ま、舞弓ちゃん、舞弓ちゃん! 事務所の前で、黒髪碧眼のイケメンが膝をついて大泣きしてるんだけど、これってどういう状況?」
「ア、アヤちゃん、アヤちゃん! あれ、もしかして「双翼」の楓川優青じゃない?」
「あっ。言われてみれば……!」
!
後ろから女性二人の声が聞こえ、振り向くと、紫優の所属しているルミナス☆ミの他のメンバー・姫島アヤさん&北川舞弓さんが俺を見て目をパチクリさせていた。
「う、うぁぁ。お、おで、おでっ……。ふぐぎっ……」
事情を説明しようとするも、嗚咽で言葉にならない俺を見て二人は首を傾げて顔を見合わせ……。
「「どしたん。話聞こか〜?」」
困ったような笑顔で手を差し伸べてくれたのだった……。
✽あとがき✽
読んで下さり本当にありがとうございます!
ルミナス☆ミ メンバーの登場に事態は好転するのか悪化するのか見守って下さると有難いです。
今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m




