ヒロの謎②
『全く、本当に鈍感なんだから。正倉院まで行って、なぜ東大寺に行かないの?お馬鹿な子だわあ。』
彩が呟くと、かすみが答えた。
『そうね。肝心なことが抜けてしまうところが欠点。でも、それが魅力でもあるけどね。テストで名前書き忘れて、ゼロ点とか。確かにお馬鹿だわ。』
『かすみさん、どうやらレイちゃんも、ヒロの正体に気づいたようです。なぜなら、レイちゃんは、また一つ覚醒したみたいで、人の心の中を読めるようになったようですのよ。それで、私やかすみさんの心を読み取り、ヒロの正体を知ったの。』
『もう、レイったら。でも、その能力って、彩さんやヒロ君も持ってるんでしょう。なら、ヒロ君が私や彩さんの心を読めば、すぐに自分の正体が分かるんじゃないかしら。』
『それが無理なのよ。前に説明したことあると思うけど、ヒロは私たち3人の守護神なの。だから、私たちには、何といえばいいのかなあ、そう、バリアみたいのがあって、ヒロは、そのバリアを破ることが絶対に出来ないの。』
『守護神。そうだったわね。でも、そもそも、それが不思議なのよね。ヒロ君って、宇宙神でしょ〜。言い換えれば、宇宙一力がある神なのに、何で私たちの守護神なの?』
『言われてみれば、その通りね。どうしてなのか、きっと理由はあるはず。私たちだけよ、ヒロが怒らないのは。私が、どんなに理不尽なことを言っても、お尻を叩いたり、正座させたりしても、決して逆らわない。レイちゃんが、ヒロに対して何かチャレンジしても、ヒロは決して勝つことはない。かすみさんの場合は、もっとあからさま。全てを受け入れて、どんなことを頼まれても嫌とは言わない。召使いでも、奴隷でもないのに、いつもニコニコして、尽くしている。うーん、かすみさんの場合は別の理由かも。』
『私だけ違うの?』
『分かるでしょ。愛よ。ヒロがかすみさんに惚れてるのは知ってるでしょ。あの愛は、本物よ。レイちゃんが、面白いことを言っていたわ。ああ、このことはヒロには秘密よ。不死身のヒロを倒す方法を見つけたんだって。』
『えっ、レイがヒロ君を倒す方法を知ってるってこと?』
『そうなの。私はレイちゃん本人から聞いたのだけど、なるほどねえと、感心しちゃいました。かすみさんに分かるかしら。』
『私には全く分からないわ。見当もつきません。』
『そうよね。私も聞いて、初めはビックリ。でも、すぐに感心したの。実は、とっても簡単なこと。』
彩は、ニコニコしている。かすみは、途方に暮れている。
『かすみさんが、一言、言うだけ。
「ヒロ君なんて、大嫌い。顔も見たくない。もう二度と私の前に現れないで。」その言葉を聞いたら最後、ヒロは立ち直れないはず。放心状態。無防備。その瞬間を狙って、頭を攻撃するの。脳は破壊しても、すぐに再生してしまうから、麻痺の状態にするの。そうすれば、命は失われないけど、魂がない状態になるわけ。生きる屍のヒロ。不死身のヒロ、最強のヒロは復活出来ないの。ね、凄いでしょ。』
『私の言葉で、、、ヒロ君が倒せるの?思い当たることは、ないとは言えないかな。ヒロ君、ああ見えて繊細で、精神的にちょっと弱いところがあるの。私が、不機嫌な顔をすると、それだけでオロオロしたりして、そういうところを、レイは感じ取ってたのかも。』
『でもね、レイちゃんの作戦は、ちょっと前なら成功したかもしれないけれど、今は、もう無理だと思うわ。なぜだと思う?ヒロは、聖杯でミルクを飲んだの。もともと不死身で人体再生能力を持っているのに、さらに不老不死の力も、ついたかもしれないのよ。』
『聖杯でミルクを飲んでたの?』
『そうなの。その時は、聖杯とは知らずにね。聖杯が本物であることは、かすみさんも分かるわよね。』
『もちろんよ。そのおかげで、レイの命が救われたのですもの。えっ、レイも聖杯のお水を飲んだから、ひょっとして、不老不死になったのかしら。』
『それは分からないわ。試すことも出来ないしね。ちなみに、ヒロが言うには、欲望のある者が飲むと逆効果になるんだって。私が若さを保ちたいからと思って、聖杯を使おうと思ったら、やめた方がいいよって言われちゃったのよ。』
『なんだか、ヒロ君って凄い。』
『前に、トランプ教団のジョーカーは、ヒロの他に、もう一人いるって、ヒロが言っていたけど、もしかしたら、もう一人のジョーカーって、かすみさんのことかも。完全無欠なヒロの唯一の弱点。それは、かすみさん。かすみさんは、ヒロにとってのジョーカーだわ。』
2人の話は尽きなかった。




