ヒロの謎①
テンプル騎士団が、守ろうとしていること。それは、キリストそのものだ。キリストはユダヤ人。そのユダヤの血が、俺を含め、俺の仲間に流れている。そう、日本人の俺たちに。俺に至っては、DNAが完璧に一致までしている。
前に、日ユ同祖論説が囁かれていることを話したが、現実味を帯びて来た。日本人の一部の祖先はユダヤ人である。ユダヤ人は、聖地エルサレムを追い出され、世界各地を彷徨っていた。現在のイスラエルが国家として認められるまで、2000年以上、国家を持つことが出来なかったのだ。その中の部族の一つが日本に渡ったというのが日ユ同祖論である。そして、その部族がユダヤの三種の神器を日本に持ち込み、隠したと言われている。その部族は、日本人として日本の建国に関わったのだ。それが秦氏と言われている。つまり、ユダヤの部族が三種の神器を持って、日本に入り、秦氏として日本人として居住するようになったのだ。そして、その秦氏が天皇家の祖先だと囁かれている。俺がダニエルに天皇のDNA鑑定をさせ、ユダヤと血縁があることを証明している。さらに、日本にやって来たユダヤ人の中に、キリストもいたのではとも言われている。キリストはゴルゴタの丘で磔りつけられ、命を奪われ、その3日後に復活したという、キリスト教の肝要なところが、間違いであるということになってしまう。それは、バチカンにとっても、テンプル騎士団にとっても、決して受け入れることの出来ないことである。そのことを証明されることを恐れ、テンプル騎士団が、ちひろの命を奪おうとしたわけだ。テンプル騎士団のその行為が、ここに述べている推測が正しいことを図らずとも、物語っている。
キリストは、ユダヤ系の白人というのが大方の見方であるが、それは違うのだ。アジア系の有色人種だと俺は考えている。理由は簡単だ。キリストと100%DNAが一致している俺の姿を見れば一目瞭然である。まさに、日本人である。日本にやって来たキリストが天照大御神になったという説を唱える人もいる。天照大御神を祀っているのは、伊勢神宮である。伊勢神宮といえば、皇室ゆかりの神社である。実際、管理しているのは皇室である。その伊勢神宮を建立したのが秦氏である。ユダヤ人の部族が秦氏となり、伊勢神宮を作り、その部族の神であったキリストが天照大御神として祀られ、秦氏が天皇の祖先になったと考えられなくもない。こじつけて考えていけば、ユダヤの建てたソロモン神殿とは、伊勢神宮のことかもしれない。実は、証拠もあるのだ。伊勢神宮の 内宮と外宮を結ぶ石灯篭に六芒星が刻まれていたのだ。六芒星とは、ダビデの星と呼ばれ、ユダヤの象徴である。イスラエルの国旗にも記されている。どんどん、こじつける。もしも、伊勢神宮がソロモン神殿なら、ユダヤの三種の神器が伊勢神宮に隠されていると考えるのが、自然な流れになる。
こんな話もある。京都府の天橋立の近くにある元伊勢籠神社。伊勢の名が付く通り、伊勢神宮と関係の深い神社である。その奥宮に『眞名井神社』という神社がある。ここの御朱印にも六芒星が描かれている。そして、『眞名井』。どこかで聞いている名前である。『眞名』とは、天から降ってきた食物という意味らしい。ユダヤの三種の神器のマナの金の壺の『マナ』と同義なのだ。マナの金の壺と関係しているのではと、誰でも気がつくはずである。ちなみに、日本には他にもマナの金の壺にまつわる不思議なことがいくつかある。例えば、大相撲の天皇賜杯。マナの金の壺と同じ形をしている。大阪にある仁徳天皇陵。前方後円墳で有名な世界最大の墓の一つと言われているが、これもまたマナの金の壺と同じ形をしているのだ。
青森にはキリストの墓もあったりする。全国各地に、このようにユダヤや、キリストと関係があるようなところが数多くある。
先ほど話した仁徳天皇陵。第二次世界大戦で日本が敗戦した後、連合国軍最高司令官総司令部、いわゆるGHQが仁徳天皇陵の調査を行い、多くの貴重な宝や資料を発掘し、米国に持ち帰ったと言われている。昭和天皇が戦争責任を免れたのは、その資料に理由があるとも言われている。皇室の祖先がユダヤと伺わせるものがあったというのだ。真偽は不明だが、なぜか説得力がある。
単なる偶然なのか。俺とキリストとの関係にも不思議なことがある。DNAが一致していることは、説明済みだが、まだある。キリスト生誕日は、12月25日であることは、誰でも知っている。クリスマスであるから当然だ。ところが、12月25日というのは、あり得ないのではと疑う説がある。キリストは、ベツレヘムの馬小屋で生まれた。真冬の馬小屋である。当時に暖房などない。生存する確率は極めて低い。そこで、もっと暖かな季節ではないかと思われているのだ。3世紀の神学者アレクサンドリアのクレメンスの説によると、5月20日と唱えている。5月20日、そう、その日は俺の誕生日である。365分の1の確率だから、偶然で済ますこともできるが、何だか運命を感じてしまう。
ユダヤの三種の神器の話をしてきたが、日本にも三種の神器がある。皇室で管理している3つの宝である。天照大御神から、初代の天皇である神武天皇に受け継がれたのである。約2600年前の話で、その頃の文献はない。古事記、日本書紀の中に書かれている。神話の世界である。天皇は神であると言われる根拠は、ここにあるのだ。天皇が継承される際、この三種の神器も継承される。それが125代現在の天皇に受け継がれているわけだ。天照大御神が祀られているのが伊勢神宮だ。伊勢神宮は、20年に一度、社殿を作り変え、ご神殿を移すことを行なっている。簡単に言うと、神様の引越しである。この儀式を式年遷宮という。天皇は、この式年遷宮に必ず出席をなさる。そして、その時に三種の神器を運び入れることになっている。八咫鏡、八尺瓊勾玉、草那芸之大刀、この3つが三種の神器である。鏡、勾玉、剣が一同に揃うのは、この時だけである。普段は、皇居に剣が、熱田神宮に勾玉が、そして伊勢神宮に鏡が保管されている。
この三種の神器、見てはいけないと言う決まりがある。だから、様々な資料に描かれているのは、想像なのである。天皇陛下さえ、見てはならいというのがしきたりである。だが、ただ一人、ルールを破り、見たものがいると伝わっている。それは、明治天皇だ。明治天皇は伊勢神宮の八咫鏡を見たらしい。その鏡には文字が書かれているのだという。しかも、その文字は古代ヘブライ語なのだ。これが意味することは何なのだ。伊勢神宮の八咫鏡は、式年遷宮の際、大きな箱に入れられ、旧神殿から新神殿に運ばれる。大勢の宮司が、神輿を担ぐが如く、大きな箱を運んでいくのだ。その箱を見ると、何かに似ていることが分かる。ユダヤの三種の神器の一つ、アークを入れた箱である。アークとは、モーゼが神と交わした十戒が刻まれた石版である。十戒は、神が人に示したルールのようなものだ。明治天皇が、見たのは八咫鏡である。その後、明治天皇は天皇が国民に宛てた文言を発布している。『教育勅語』である。天皇が国民に示したルールのようなものである。この時代、天皇は神であった。モーゼの十戒と、あまりにも似ている。これもまた、単なる偶然なのだろうか。
色々と語ったが、全てインターネットで調べたものを載せている。これらの真偽は、自ら確かめるつもりでいる。
今いる正倉院。ここにある宝物をゆっくりと見たいが、ミッシェルがいたということは、俺が探し求めているものは、ここにはないと思う。俺は、一旦、大宮に戻ることにした。
部屋に戻ると、すぐに彩先生に捕まった。
『こそこそと何処に行ってたの?しかも、ヒロの姿で。』
とりあえず、怒られないように、ちひろの姿に戻った。
『ちょっと奈良に行ってたの。』
そう言った瞬間、彩先生の顔色が変わったのが分かった。何かある。奈良というキーワードに何があるのか。
『それで、奈良で何か新たな発見があったのかしら。』
『正倉院に行ったんだけど、私が来ることを予想していたらしく、待ち伏せされたの。』
『待ち伏せ?誰が何のために。そもそも、ちひろのことを知っている人は多くないはずよ。』
『バチカンで、お会いした僧侶のミッシェルがいたの。そして、私に向かって拳銃を撃ったのよ。』
『バチカンの僧侶が、なぜ、あんたを狙うの。』
『あのおじいちゃんは、スパイ。バチカンに潜入してたの。』
『バチカンにスパイを送り込むって、いったい何処の組織?』
『テンプル騎士団よ。彩姉ちゃんなら知ってるわよね。』
『なるほどねぇ。テンプル騎士団が存続していたのね。その組織なら、ちひろを襲うのは理解できるわ。ちひろ、あなたは危険な箱を開けてしまったのかも。パンドラの箱を。』
『危険は慣れているから大丈夫よ。ミッシェルの記憶は操作して、私は撃たれて倒れたことにしたわ。ここまで、来られたら厄介でしょ。』
『その判断は正しいです。ところで、ちひろちゃん、随分と女の子らしい話し方が出来るようになったわね。』
『えっ!』
俺は顔が熱くなるのが分かった。
『誰も教えてないのに。どうやって習得したの?もともと女の子の素質があったのかな。そのまま成長したなら、美少女になるかもね。男の子にモテモテになるわよ。』
ゲッ!それは勘弁だ。俺は返事が出来なかった。そんな困っている俺の姿を見て、彩先生は、ご機嫌だった。




