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俺の弱点②

 俺のIQはかなり高いらしい。しかし、苦手とするものがある。例えば語学。外国語を習得するのは苦手である。だが、それは以前の俺のこと。今では苦手とするものは、ぼぼ克服出来ている。それには秘密がある。

 分身仏である。今まで、敵の偵察や、味方の保護、あるいは大人数の敵との戦い、、、そんな時に分身仏を利用していた。しかし、他にも利用できることに気づいたのだ。きっかけは、レイちゃんだ。ある日、分身仏をレイちゃんの護衛に就かせていた。普通の子供ではない。天才レイちゃんである。普通の3歳児とは違うことに興味を持つこともある。その日は、百人一首に興味を持ったようで、分身仏3人を相手に百人一首で遊んだらしい。ちなみに、俺が護衛に就かせたのは、一人であるが、その一人が二人の分身仏を出したのだ。レイちゃんは記憶力が抜群である。見る見るうちに、和歌と作者を記憶していく。分身仏3人も負けじと、覚えていく。和歌を読み上げる為に、もう一人の分身仏が追加された。レイちゃん一人VS分身仏3人の対決が始まった。

 上の句を読む途中で、レイちゃんは、カードを取っていく。明らかに、レイちゃんの方が反応が速い。分身仏も負けじと反応し、カードを取る。ここに居る4人は、千手観音の術が使える。恐るべき手の動き。尋常ではない速さである。手の動きを見ることは不可能だ。結果は、50対50の引き分けであった。と言っても、1人対3人だから、どう見てもレイちゃんの勝ちである。さらに、分身仏は、ずる賢いことをしていた。3人がそれぞれ33枚づつ覚えていたのだ。レイちゃんが100首覚えたのに、その三分の一づつしか覚えていない。完全にレイちゃんの勝利である。

 レイちゃんとの百人一首を終えた4人の分身仏を戻したときだ。全く覚えていない百人一首の和歌が全て、俺の頭にインプットされたのだ。新たな技の発見の瞬間であった。俺はこの技を『スピードラーニング』と名付けた。記憶だけではない。あらゆることの習得に使える。つまり、分身仏に様々なことを学ばせるのだ。一人の分身仏に一つの学問や技術を学ばせるのだ。100人の分身仏なら、100個の技の習得。100万人の分身仏なら、100万個の技が習得できる。知識だけなら、生きるウキペディアになれる。

 イタリア語もこの方法で習得した。フランス語、ロシア語、ポルトガル語、、、世界中の言葉を身に付けることができた。わざわざ、バチカンまで出向き、ヘブライ語を翻訳してもらったが、今では、そのヘブライ語も話すことが出来る。

 もはや体力、知力において、俺の右に出るものはいない。後は、心の力をつけるのみだ。レイちゃんは、俺に弱点があると言っていた。レイちゃんが嘘を言うことはない。ならば、やはり俺の心の弱点を見抜いているということだろう。果たして、俺の弱点とは何なのだろうか。


『なるほどね。レイちゃんの観察力は、大したものだわ。』

彩は、感心していた。ちひろ、つまりヒロ君は無敵であることは間違いない。再生能力で、どんな怪我でも、病気でも、一瞬で治癒させることが出来る。どんな怪我も、、、。実はここに間違いがあったのだ。全ての怪我に対応できるわけではない。レイちゃんの学問に関する欲求は凄まじい。今、彼女の興味は医学にある。医学書を読みあさっている。ヒロ君の再生能力の謎を解き明かしたいらしい。

 レイちゃんの仮説だと、再生の指示を出しているのは、当然、脳であり、脳の指令で細胞が一気に分裂を始め、身体中の器官の再生が行われるのだという。だから、指令を出している脳そのものが損傷を負ったとき、指令が出せなくなり、再生も行われなくなる。ただ、過去の例だと、頭に銃弾を受けても、ヒロ君は問題なく再生できたそうだ。脳の一部の損傷なら、再生が可能だということだ。そこで、唯一、再生を起こさせない方法が思いつくというのだ。ここがレイちゃんの頭のいいところである。凡人なら、脳全体。脳細胞を全て抹殺しようと考えるであろう。しかし、レイちゃんが考えた方法は違う。まさに逆転の発想である。

 おそらく、ヒロ君自信も、そのことに気づいている。だから、ヒロ君は保険をかけている。分身仏である。分身仏が一体でも残っていれば、そこに脳細胞が残されている。その脳細胞で、再生の指令を出せる。

 したがった、次の3つの条件が揃えば、無敵なヒロ君を倒せるというのだ。

3つの条件とは

① 分身仏を出していないこと。

② 気絶させること。

③ 気絶している状態を続けさせること。

つまり、ヒロを抹殺なせることは不可能と考え、いわば植物人間状態、あるいは生ける屍にするということである。何とも酷いことだが、これが唯一の方法だということだ。しかし、簡単なことではない。特に②の条件が最も難しい。ヒロ君を気絶させることは、ほぼ不可能だ。そう、ほぼ不可能。しかし、「ほぼ」なのでる。ある方法を使えば、ゼロ%の可能性が数%になるというのだ。レイちゃんは、その方法も教えてくれた。

 レイちゃんが実際にヒロ君を抹殺するなど絶対にありえない。ただ、悪さをしたときのお仕置きなら、②を行えるというのだ。しかも、その方法は、いたって簡単である。私は、その方法を聞いて、なるほどねと思った。と同時に、この子は上に立つ人だと確信した。人々の上に立ち、指導する力を持っていると思った。救世主の母の資格をすでに身につけていると思った。ヒロ君の為にも、この会話の内容は漏らしてはいけない。ルシファの一味に知られてはいけないからだ。

 彩は心が落ち着かなかった。


 彩先生、お歳をとられたようだ。レイちゃんの非凡さに心を奪われた一瞬、己の心の防御か崩れた。分身仏は、その一瞬を見逃さなかった。彩先生の心を読み取れることができたのだ。分身仏の報告で、レイちゃんの気づいた俺の弱点を知ることができた。②の方法は分からないが、仮に①②③の条件が揃ったとしても、俺を倒すことは不可能だ。彩先生、レイちゃんが思っている以上に俺は進化をしている。俺は、ついこの前、それに気づいたのだ。確かめてはいない。だが、間違いなく進化しているはずだ。答えはいずれ分かる。ただ、これは彩先生、レイちゃんからの忠告だと思うことにしよう。対策もきちんと取ろうと思った。

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