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観光②

 俺も、すぐに彩先生の後を追った。場所はパリ20区。行政機関が集まってある所だ。日本で言えば、霞ヶ関と同じようなところである。情報機関だ。当然、セキュリティは厳しい。一般の人が入れるところではない。しかし、俺と彩先生には、どんなセキュリティも無意味である。俺が本部の最上階の情報局に着いた時、すでに彩先生が制圧していた。DGSEの猛者たちが倒れている。猛烈に怒っているようだ。普段見せないオーラが出ている。

『おい、ちひろ、遅いぞ。』

『暴れていいんですか?』

『許可しますわ。でも、殺さないこと。いいわね。』

興奮して怒ってると思っていたが、いたって冷静であった。さすが、彩先生だ。

 奥の扉が開いた。扉の向こうに、拳銃を持った男が3人立っている。俺は彩先生を守るべく、すぐに分身仏を2体出し、銃弾が当たらないように守らせた。そして、俺はゆっくりと宙に浮き、男の方に近づいた。男らは、俺の動きを目で追っている。不思議そうな顔をして、俺を見ている。当然な反応である。小さな女児が宙を浮き、くるくる回っているのだ。俺はニコッと笑い、真ん中の男の前に降りた。次の瞬間、俺は男の手から拳銃を奪った。俺の速い動きに目が追いついて来なかったのだ。拳銃を奪った俺は、再び宙に浮き、そして、今度は猛スピードで旋回しながら、銃を撃ちまくった。奴らに当たらないように壁やら床やらを撃った。弾が無くなったので、口から炎を吹き出し、拳銃を燃やして捨てた。ああ、面白い。

 男たちが狼狽している。そして、拳銃を構え、俺に向かって撃ち始めた。俺は、わざと動きを遅くし、狙いやすくしてやった。奴らもプロである。見事、俺の身体に命中した。俺は床に落ちた。男たちは安堵の表情を見せた。男たちの次の目標は、彩先生だ。彩先生の元に近づいていく。倒れた俺の横を通り過ぎようとしたとき、俺は体を起こした。そして、久しぶりに、あの姿に変身した。魔神バブーだ。部屋の天井より、やや小さい身長になり、大声だ吠えた。

『バブバブビブベボー‼️』

辺り構わず、触れるものを破壊した。男たちは、再び俺に銃弾を当ててくる。そんなものは効かない。傷がついても、すぐに修復する。彩先生が、こっちを見て笑っている。やがて、弾は尽きた。男たちは逃げようとした。俺から逃げることは不可能だ。男3人を捕まえ、お手玉のごとく、投げて遊んだ。男らは、目を回して気絶した。

 俺は、再び雄叫びをした。

『バビブベボー‼️』

そして、もとの、ちひろの姿に戻った。俺の叫びを聞いて、ドヤドヤと別の集団が駆けつけて来た。

『あなた方に用はないの。長官を呼んで来なさい。』

彩先生が優しく言った。そして、続けた。

『早くしないと、大変なことが起きますよ。この子があなた方を全滅させちゃいますよ。』

彩先生が俺にウインクした。俺は、再び魔神バブーに変身し、暴れまくった。手のつけようがないように、大袈裟に暴れた。誰かが、電話をしている。しばらくすると、特殊部隊らしき集団が部屋に入ってきた。無駄なことを。

『おやめなさい。長官に「彩様」が来てると伝えなさい。それで、分かるはずだから。』

責任者と思われる男は、彩先生の忠告を無視した。

特殊部隊は、催眠弾と思われるショットガンを構えた。俺は、ショットガンに向かって行進した。銃弾は撃たれた。俺は、その弾を片手で受け取り、投げ返した。慌てる特殊部隊。俺の行進は止まらない。特殊部隊の隊員を投げ倒し、ドアを突き破り、廊下に出た。ひたすら暴れ、手に触れるものを全て破壊していく。彩先生の命令通り、人には危害は与えていない。廊下の向こうから、1人の男が走って来た。


『おい、皆、下がれ。私に任せなさい。』

『長官、危険です。お下がりください。』

『私の命令だ。すぐに部隊を撤退させなさい。あのお方には、勝てません。』

責任者と思われる男は、渋々、命令を受け入れた。特殊部隊は下がり、長官と呼ばれた男だけが、まえに出た。俺は、ちひろに戻り、宙を旋回している。

『やはり、彩様ですね。大変、ご無沙汰しております。しかし、何の騒ぎなのですか。』

『ダニエル君。私は、ただ貴方に会いに来ただけよ。説明をしてもらわないといけない事があってね。そしたら、この歓迎ぶり。許せないわ。私が誰なのか、ちゃんと説明してあげて。』

彩先生のことを知っているようだ。そして、彩先生の性格も理解しているようだ。顔面が蒼白になっている。

『大佐、お前も噂くらいは聞いたことあるだろう。宗彩聖。このお方が、その宗彩聖様だ。このお方を敵にするということが、どういうことか分かるか。全世界を敵にするということだ。』

『宗彩聖って、あれはただの伝説。作り話ではないのですか。確か、第二次世界大戦直後の頃の話です。どう見ても、その姉ちゃんが、その頃に生まれていたとは思えません。適当に語っているだけだ。騙されてはいけません。目を覚ましてください長官。』

バシッ!長官が平手打ちをした。

『長官、何をするんですか。』

『大佐。これは作り話ではない。そして、このお方は、紛れもなく宗彩聖様だ。私は、そのお方に指導を受け、今の地位に登りつめたのだ。大佐。このお方は、歳を取らないのだ。不思議だか、世界大戦のときと同じく美しいままだ。』

『そ、そんな馬鹿な。』

『普通に考えたら、あり得ない話しだが、このお方は特別なお方。我々の常識を超越しているのだ。大佐よ。私を信じておくれ。』

『分かりました。しかし、無理はしないで下さい。特に、その少女は危険ですから。』

大佐と呼ばれた男は、引き下がった。

『彩様、その女の子は?うちの大佐によると、危険な子だと、、、』

『ダニエル君。大佐の言ってることは本当よ。この子は危険極まりない子。ダニエル君、当然、ヒロのことは知ってますよね。』

『もちろん、存じ上げております。我々の世界で知らないものはいないです。情報によると病気で亡くなったと聞いております。』

『ヒロは亡くなりました。でも、その意志は受け継がれているの。この子は、ヒロの娘よ。そして、ヒロよりも遥かに凶暴。一人で一国を滅ぼすこともできるわ。暴れ出したら、誰も止められないの。私以外の誰にもね。なぜか、私にだけは懐いてるのよ。ダニエル、暗殺者ランキングは、ご存知?』

『はい、それも存じ上げております。ヒロ様がお亡くなりになり、既にランキング外になっております。』

『現在のランキング一位は、お分り?』

『確か、謎の魔人。魔人バブーだったと思います。我々もその存在を探ってますが、未だ謎のままです。』

『ならば良かったわ。貴方に情報をあげるわ。この子が魔人バブーよ。最強の暗殺者。まだ、3歳です。この子の機嫌をとっておいた方がいいわよ。仲間にしたら、これ以上心強い子はいないわ。逆に敵にしたら最後。勝てる可能性はゼロよ。ヒロの欠点は情に甘いところでした。でも、この子にそんなものはないですから。欠点がないのよ。』

俺は、長官の横に降り立った。そして、両手を上げて、抱っこしてのポーズをとった。長官は、顔を引きつりながら、俺を抱っこした。

『あら、ダニエル、気に入られたみたいね。良かったわあ。何か困った時は、心で呼んでみなさい。必ず、貴方を助けてくれるわよ。』

俺は、ニコニコして愛嬌を振る舞った。

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