↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「池内先生と謎の少女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑦)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/24

③ 自己紹介

「では、改めて、朝のホームルームを始める前に、今日からこのクラスの仲間になる、転入生を紹介する。キミ、自己紹介できるかい?」


 池内は、後ろについて来た少女の方に振り返る。

 彼女はもう、チョークを握って、黒板に向かっていた。

 

 "真田ジャンヌ"

 それは、縦書きで堂々とした文字だった。

 先程は、応接室で、「ジャンヌ真田」と自己紹介したのに、板書ではちゃんと苗字を先に書いている。中々気が利いているではないか。


「皆様、ごきげんよう。私の名前は真田ジャンヌです。この度は父の仕事の都合で、フランスからやって来ました。日本語は話せますが、書くのは苦手です。どうぞ色々教えて下さいね?」


 彼女はよく通るソプラノの声で、立派な挨拶をした。

 クラスの三分の一を占める、所謂ヤンキー生徒たちが、彼女の雰囲気に呑まれるのが、見て取れた。


 何だろう?とても上品な挨拶なのに、隙が無く、妙な迫力が有る。まるで数々の修羅場をくぐって来た、戦士のような……?


 池内がそんな事を連想して、ぼんやりしていると、当のジャンヌから声を掛けられた。

「……先生、池内先生?」

「えっ、ああ、何だい?」


「私の席は……何処に座ればよろしいのでしょうか?」

「ああ、済まん。そうだな……真ん中の列の後ろ、清水の隣が空いているから、そこに座ってくれ」

「解りました」


 彼女はそう言うと、スタスタ歩いて行き、隣の清水に軽く会釈をして、席に着いた。清水はクラスの三分の一を占める、真面目な男子生徒の内の一人だ。1,2年生時に、クラスの委員長を務めた事も、何度かあった。多分、上手くヤルだろう。


「清水、休み時間になったら、真田さんに、校内の事を色々教えてやってくれ。頼むぞ?」

「解りました。先生」


 うん、いい返事だ。今年の委員長も、彼で決まりだな。

 池内はホッとした。

 ここで「何で女子にやらせないんですか?」などと言わないところが、彼のいいところだ。聞き分けがイイから、つい便利に使ってしまって済まない。彼は心の中で、清水に向かって手を合わせた。


 女子に、真田の案内をさせられないのには、訳が有った。

 それは、つい先日の、クラスのヤンキー女子、例の田辺との、ちょっとしたトラブルが主な原因だった。


 何と池内は、田辺に「付き合ってくれ」と言い寄られたのだ。


「ソレは犯罪になるから出来ない」

「犯罪になるような事をしなければ、イイじゃない?」

「いや先生と生徒でソレは無理。俺はクビになってしまう」

「クビになったら……もう会えないかもねえ」


 そういう言葉の遣り取りをしたきり、彼女は今でも、だんまりを通している。不気味だ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。