㉕ エピローグ
そこから、駐車場の、黄色いビートルに辿り着く前に、一階の渡り廊下で、ジャンヌを待っていた人物に出会った。
それは清水健次郎だった。
「コレ……返しそびれていたよ」
彼はそう言いながら、黒い腕輪を差し出した。
「ああ、わざわざありがとう」
「もう……行ってしまうのかな?」
「うん、任務は完了したから。また別の悪魔を探して、次の目的地を目指すのよ」
「キミと一緒にやる剣道は、楽しかったよ。いつかまた……会えるかな?」
「私は……また会えるような気がしているわ」
「そりゃあ、期待できそうだな」
彼がそう言うと、二人で少しだけ笑った。
「じゃあ、お元気でね?ケンジロー」
「ああ、キミもね、ジャンヌ」
彼は手を振ると、予鈴が鳴る中校舎に戻って行った。
ジャンヌは回れ右をすると、再びクルマへと向かって歩いた。
「どう、二人に貴女の思いは届けられた?」
黄色いビートルに、ジャンヌ・ダルクが乗り込むと、運転席の村田京子が尋ねた。
「私のわがままを聞いて頂いて、ありがとうございました。余計なお節介だと解ってましたが、どうしても、あの二人を放っておけなくて……」
「ヤレヤレ……貴女はどこまでも真っ直ぐで、若いわねえ。でも、気持ちは解るわ。私は、そんな貴女が好きよ。でも結局のところ、最後の判断は、本人たち次第。それでイイじゃない。貴女は人生の先輩として、アドバイスをしたのよ」
「はい……そうですよね?」
ジャンヌ・ダルクは、車窓から、眼下に小さくなる、名護屋市港区の南洋学区を見つめながら、少しだけ泣いていた。
やがて彼女の乗ったクルマは、光学迷彩を透明モードにしたまま、懐かしい亜空間レストランを目指して、時空の彼方に去って行ったのである。
以上でこのエピソードは完結です。
次回作「さまよえるタイムトラベラー」も
可愛がって頂けたら幸いです(>ω<)




