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「池内先生と謎の少女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑦)  作者: サナダムシオ


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㉔ 来世の契り

 ただ現在の二人の間柄が、中学校の教師と生徒。

 しかも、歳の差が10年も離れているという状況に、すっかり尻込みしていたのだ。


「アタシが死んだのが、あっちで貴方が亡くなってから10年後だったの。だからこんな事に……貴方はすっかり大人で、一方の私は子ども。こんなんじゃあ、貴方に相手にして貰える訳も無い」

 田辺がそう言って肩を落とした。


「それで自暴自棄になって、そんな不良みたいなマネをしていたのね?」

 真田がそう言って納得した。


「一旦、物理的な肉体を失い、三次元の世界を卒業した貴方たちは、どちらも四次元の住人になったのに、未練が残るこの世界に、また戻って来た……そうなんでしょ?」


 真田が二人に尋ねる。

 最早、どちらも否定しなかった。


「池内先生」

「何だ、真田?」

「確か日本の法律では、女性は16歳になれば、結婚出来るはずですよね?」


「ああ、そうだとも。ただし、保護者の承諾が必要だ」

「では、そうなさったら如何ですか?」

「口で言うのは簡単だ。しかし、俺たちの立場は……」


「お黙りなさい!」

 ジャンヌ・ダルクが、珍しく大きな声を出して、ピシャリと言った。目の前の二人は、驚きの余り目を白黒させていた。


「この世に、愛より尊いモノが在りましょうか?愛は、全てに優先されるべきモノなのです!二人が時空を超えてまで愛し合っているのなら、何を躊躇う必要があるのですか!」


「お、おう」

 真田の豹変ぶりに、驚く池内。

 しかしコレは、心の何処で予期していた事態だった。


「何なら、このジャンヌ・ダルクが自ら、後見人として、田辺さんの自宅まで、ついて行って差し上げましょうか?」

「……えっ?今、何て?」


「ああ、申し遅れました。ジャンヌ・ダルク。ソレが私の本名です」

「なるほど。道理で……」

 池内の中で、これまでの全ての違和感が腑に落ち、疑問が氷解した。


「自分たちの事は、自分たちで決断し、解決するよ」

 最後に池内は、力強くそう言った。

「……そう。それは何よりね?」

 ジャンヌは満足そうにそう言って、田辺の方を見た。

 田辺も無言で頷いていた。


「最初に言ったように、コレは私の余計なお節介。最終判断は、当事者である、貴方たち自身のモノです。じゃあ、そろそろ私は自分の世界に戻らないと……あとは若いお二人で、好きになさってね」


 その言葉を最後に、ジャンヌは格技場から出て行った。

 あとに残された池内と田辺が、その後どうなったのかは……神のみぞ知るところなのである。

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