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「池内先生と謎の少女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑦)  作者: サナダムシオ


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⑱ 乱戦

 その時、突然、その"国木田"の様子がおかしくなった。

 何と、清水の首元に、鋭い"突き"を入れて来たのである。


 前述のように、当時の中学校のルールでは、"突き"は禁止されていた。

 だからこの段階で、国木田の反則負けとなる筈だったのである。


 更におかしいのは、既に清水は場外に出されているのに、国木田の攻撃が止まないのだ。


 次々に狂ったように竹刀を打ち込んでくる。清水はそれをしのぎながら、あっと言う間に体育館の外まで出されていた。


「ちょっ、待っ……て!?」

 思わず叫ぶ清水。

 国木田は漸く、竹刀を握る手を止めた。

 そして、こんな事を呟いたのだ。


「せっかく物理的なカラダを手に入れたのに、こんな竹竿で殴りあっても、つまらんなあ?……オマエも、そう思っているんじゃないか?"清水"」


「キ、キミは一体何を?」

「ああ、そうか?まだソイツのカラダを、完全に乗っ取り切れていないんだな?そうだ、このオレが手伝ってやろうか?」


 もうここは、体育館裏の、薄暗い木の茂みの中だった。

 他の誰かに見られる心配は無い。

 "清水"は、自分の正体を晒す事にした――――――。


 暫くして、顧問の池内と、南洋東中の先生方が、そこにやって来た。その後に、ジャンヌと京子の顔も見えた。


 清水は面を外して、芝生の上に座り込んでおり、国木田は、竹刀を持ったまま、うつ伏せに倒れていた。

「清水、大丈夫か?」

 池内が駆け寄り、清水を助け起こす。


「彼が……急に発作を起こしたようになって……済みません。細かい事は、僕にもよく分からないんです。ちょっとその辺で休ませて下さい」

 清水はそう言った。


 すぐ隣では、南洋東中の先生たちが、国木田を担架に乗せ、保健室に連れて行くところだった。彼は完全に気を失っているようだった。


(多分、次に目を覚ましたら、全部忘れているだろう)

 清水には、そういう確信があった。


「大丈夫なの?」

 彼が出入口横で座り込むと、直ぐにジャンヌがそばに来て囁いた。


「ああ、何とか。彼の中に、例の悪魔が、入っていたみたいだよ。何とかこちらからも、突きを入れて気を失わせたけど、黒いモヤモヤは、逃げてしまったかもしれないなあ」

 

 清水は彼女に、そんな答え方をした。

 その説明の、半分は本当で、半分はウソだった。

 果たしてジャンヌは、ソレをどう受け取ったのだろうか?


「ふ〜ん、そう……」と言ったきり、彼女は黙り込んでしまったのだった。

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