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「池内先生と謎の少女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑦)  作者: サナダムシオ


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⑰ 練習試合

「……なあ、ジャンヌ」 

「なあに?ケンジロー」

 二人は今、隣の学区の、南洋東中学校の体育館に居る。


 今日は、同じ地域の学校が集まって、練習試合をする事になっていた。その会場は持ち回りで、担当が決められており、今回は、ここ南洋東中になったと言う訳だ。


 床に正座して、防具を着けながら、尚も囁き声でコソコソ話をする二人。

「例の件、担任の池内には、相談しなくてもイイのかな?」


「ああ、彼なら大丈夫よ。多分、説明しなくても、本能で解っているから」

「それって、つまり……?」


「そうよ。彼も一応、四次元人。但し、無害な方のね」

「ふ〜ん……って、ええっ!?」

「しっ、声が大きいわよ」


「正しくは、四次元人の記憶を持ったまま、生まれ変わった三次元人なの。たまに、そう言うケースも在るのよ」


「へ、へえ〜」

 清水はもう、そう言うのが精一杯だった。

「それに……」

 彼女が尚も何か言いかけた時、試合の順番がやって来た。


「この話は、また後で。ちょっと行って来るわね?」

 彼女の試合は、本当に"ちょっと"で終了した。


 もちろん、相手を瞬殺するような勝利を納めたのだ。

 相手の女の子も、有段者だったろうに……気の毒な事だ。

 清水は同情した。彼女が大将だったから、女子の試合はそれで終了となった。


 次は、先鋒の清水から始まる男子の試合だ。

「ケンジロー、頑張ってね」

 ジャンヌはそう言うと、休憩がてら、風の良く通る出入口の前に移動した。

 するとそこで、さも応援に来た保護者のような顔をした、京子が待っていた。


「まったく、アナタって人は……少しは手を抜きなさいよ。相手は有段者とは言え、タダのニンゲンの中学生なのよ?」

「全力でお相手するのが、剣士としての礼儀と心得ていますので……」

「相変わらず、生真面目ねえ。まあ、いいわ。それで……誰か怪しいヤツは見つかった?」


「まだ何も……もう少しだけ、探ってみますね?」

「頼むわね。でも、あまり無理はしないで。辻本仁の例も有るから。剣道の有段者で正気を失った相手は、厄介よ?」

「……はい」


 ジャンヌはいつだって素直だ。だがその素直さが、危うさを感じさせる。

 京子はふと、そう思ったのだった。


 一方、清水は、些か苦戦していた。相手の南洋東の先鋒が、思いの外、技巧者なのだ。防具の大垂れに着けた名札には、"国木田"と書いてある。清水の記憶には無い名だ。1年生か?或いはジャンヌのような……。


 彼がそんな事を考えている間にも、相手は次々に、鋭い打突を入れて来る。


 ふと気がつくと、清水は何時の間にか、境界線ギリギリに追い詰められていた。不味いぞ。打突をやり過ごしても、こんな調子で、二度も場外に出されたら、一本にされてしまう……。



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