⑯ お化け屋敷
さて、そんなこんなで、クラス発表の当日を迎えた。池内のクラス、3年B組のお化け屋敷は、出し物の題名からして、掴みはOKだった。
その上、女子は衣装と小道具作り、男子は当日のお化け役の練習を、手分けしてしっかり取り組み、本番当日まで、珍しくチームワークよく出来ていたのだ。
それはもちろん、偶然の生んだ適材適所だった。然しながらやはり、委員長である、清水と真田の采配のチカラが、各活動現場で、有効に働いていた事は、言うまでも無いのである。
スタートしたお化け屋敷は、ほぼ順調かつ盛況に開催されたが、途中で、とある噂が囁かれるようになった。曰く、時々ホンモノのお化けが現れる。曰く、ソレを退治する天使も見た……等々。
その時、お化け役をしていた高瀬の話によると、事実はこうである。彼はお化け役のキャプテンとして、男子たちを仕切っていた。
お化け役はA班とB班に別れ、15分担当で交代していた。ただ、暗闇では時間が読めないので、委員長の清水が、バックヤードから、交代の合図を出していたのだ。
ちょうど、A班の高瀬がB班の名塚たちと入れ替わる時、一人だけ、見知らぬ男子を見かけたらしい。ただ現場が暗く、後ろ姿だったため、高瀬も確かな自信が無く、ついスルーしたのだとか……。
その話を、休憩時間に真田にしたら、彼女は顔色を変えて、無言で、お化け屋敷の中へと、入って行ったらしい。
その後は、暗闇の一部が、仕掛けも無いのに、ピカッと光たり、突然ドン!という重低音が鳴り響いたりした。出口から現れた真田に、高瀬が何か異変が有ったのか尋ねたが、彼女は「別に……何も」と言うのみだったと言う。
B班の活動も終わったところで、高瀬と名塚が強力して、男子全員の人員点呼を行なったが、結局怪しいヤツは見かけないまま、片付け時間となったのだ。
だが、片付けながら、B班の男子たちが、こそこそ何か言っているのが聞こえて来たので、高瀬がソイツらを掴まえて、何が有ったのかを、問い正した。
ソイツらも、そこそこケンカ慣れしたヤンキーどもだったが、いくら高瀬が話せと言っても、ブルブル震えるばかりだったらしい。
とにかく「アレはホンモノだった……でも助けて貰った時に約束したから、何も言えない」の一点張りだったと言う。
実際のところ、暗闇に紛れて、良からぬ事をしようと企んでいた悪魔が居たのだ。しかし真田がソレを、秘密裏に処分していたのである。コレは後に、本人から聞いた話だから、間違い無いのだった。




