⑪ ポータル
「私たちが、ここに来た理由は、時空パトロール中に、貴方たちが通う南洋中学校周辺で、怪しいポータルが、複数開けられた形跡を、発見したからなの」
「……ポータル?」
「別の時空どうしを継ぐ穴、まあ、時空のトンネルだと思って貰えば、ソレでいいわ」
「そこから四次元人たちが何名か、ウチの中学校に入り込んだ可能性が、有るんですね?」
「そう言う事。そして実際に今日、貴方の協力も有って、一人片付けたって訳」
「部室に勝手に入り込んだ、他校の生徒って、結構特殊なパターンですよね?」
「そう。多分一番見つけるのが、困難だったかも。だから感謝しているのよ、私たち」
「いや、僕は案内しただけで……実際にはジャンヌさんが、片付けたんですから」
「イイからイイから。これからも、よろしくね?」
「私からも、お願いします」
隣に居るジャンヌからも、そう言われて、ペコリと頭を下げられ、清水はいよいよ断れなくなった。
「今後も敵を探すとなると、矢張り怪しい動きの、先生や生徒、それに保護者や地域の住民を、探るんですか?」
彼は念のため、活動方針を尋ねる。
「そうね。一応、黒い腕輪型の、探知機も有るんだけど、余程近くに敵が居ないと、見つけられないのよ。だから最初は、しっかり目で見て、耳を澄まし、足で探すしか方法が無いわね。つまり、貴方のような協力者の存在は、とても助かるのよ」
「それじゃあ、僕のチカラの及ぶ限り、頑張りますね?」
「危ない目に遭いそうになったら、何時でも助けを呼んで。ほら、このリングを貸し出すわ」
京子はそう言うと、黒い腕輪を一つ、清水に渡した。アクセサリーの着用は、校則違反だが、学ランの袖に隠せば、多分、大丈夫だろう。
「ソレの使い方は簡単。ソレに向かって、話し掛けるだけでイイのよ」
「トランシーバーみたいなモノですね?……ありがとうございます」
「じゃあ、今日の打ち合わせは、ここまでね。明日から、どうぞよろしく!」
京子がそう言うと同時に、クルマは地上に降りて、停車した。
清水が、助手席を倒して車外に出ると、そこはもう自宅前だった。学校の西門から、田んぼの中の一軒家まで、まるでシームレスな移動ぶりだ。彼は京子の操縦の鮮やかさを、すっかり見せつけられた気分だった。
「住所録は予め、拝借しておいたのよ」
彼が疑問を口にする前に、京子が答えを言った。
こりゃあ、ますます敵わないな。清水は舌を巻いた。




