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王立巨人対策局特設第五部隊

通称G5


G5設立の翌日、トーマの妻は息を引き取った。


「やめろ!!トーマ!!」


「離せぇええええ!!」


叫ぶトーマ。

その手には剣。

局員達がトーマを抑える。


「あいつを、あいつをぶっ殺してやる!!!」


「離してやれ・・・」


男の声。


「エドガーさん・・・でも・・・」


「いいから離してやれ」


「で、でも・・・」


「いいから離せ!!」


局員たちは手を離す。



「ぶっ殺してやるよ」


巨人の前に立つ、トーマ。

その目には涙、その手には(つるぎ)


「はにゃ?」


不思議そうに赤ん坊はこちらを見ている。


「うぉおおおおおお!!!」


一心不乱に斬りかかる。


その時、トーマの脳裏にある光景が浮かんだ。


妻と行った、お花畑。

綺麗な花々が、風に乗って飛んでいた。


「ねぇトーマ・・・」


「なんだジャスミン・・・」


「私、子供が欲しいわ・・・」


「無邪気で可愛い、暴れん坊で、泣き虫の子が」


トーマの剣が一瞬止まる。


トーマの大声に赤ん坊が反応していた。


「ふぇ・・・」


「来るぞ!!!」


轟音にそなえる局員たち。


すると。


「えへへ・・・えへっえへっ」


巨人が笑う。


「なんだ!?」


トーマが剣の峰で

赤ん坊の足をくすぐっていた。


「えへっえへへへ・・・」


小人の国に、つかのまの平穏が訪れた。


「捕まえろ!!」


独房に入れられるトーマ。



トーマは独居房の中、鉄格子の間から

星空を眺める。


「なぁジャスミン・・・」


「俺は決めたよ・・・」


「俺は奴が大人になるのを、この目で見届ける」


虫の声がかすかに聞こえる。


「その時奴が、この国を滅ぼそうとしようものなら」


「俺が奴を殺してやる・・・」



王立巨人対策局特設第五部隊

通称G5


「頭が冷えたか、トーマ」


独房の前に現れた男。


「エドガー・・・」


十数年前、二人は同期だった。

エドガーは貧民の生まれで

トーマは一般家庭の生まれ。

身分の違いはあれどかつては同期。


独房の前に座り込むエドガー。


「なぁトーマ・・・」


「あの頃のおまえはどこにいったんだ・・・」


「なに・・・?」


「国のために命を惜しまず、自らの理想を語る。そん熱い志を持っていた青年のお前だよ」


「お前に言われたかねーよ、エドガー」


エドガーは下を向く。


「最初の任務を覚えているか、トーマ」


「・・・」


王立巨人対策局に入った二人が最初にやらされた任務は、後始末。王立巨人対策局のお偉い方が飲んだ場を片付ける後始末の仕事。食いかけの食べ物、飲みかけの飲み物、吐瀉物に、汚れた避妊具。


「忘れもしねぇさ、あれはクソだった・・・」


「あぁ、そうとも・・・この組織は腐ってる・・・俺はそう思っていた・・・」


エドガーは石を拾って、それを見つめる。


「王立巨人対策局、大層な名だが、蓋を開けてみりゃただの天下りのクソ組織。誰もまともに仕事していない、どころか、巨人が現れるなんてこれっぽっちも思っちゃいない・・・」


「エドガー・・・」


「知っているか、トーマ」


「なにを?」


エドガーは石を地面に叩きつける。


「局のお偉いさん方は、みな隣国へ亡命したそうだ」


「なんだって・・・?」


「残ったのは局長ただひとり・・・」


トーマは目を細める。


「まさか・・・」


「そうだ・・・巨人の育成を決めたのは、他でもない局長だ・・・」


上層部が全員他国に亡命。

小人の国は巨人という爆弾を抱えている。


「巨人が暴れに暴れ、この国が崩壊した後に、この国を乗っ取るつもりだ」


「乗っ取るったって」


「核で吹き飛ばす」


「なんだって!?そんなバカな・・・」


「そんなことしたら・・・」


「あぁ、小人の国は地獄と化すだろう」


エドガーは独房の錠を解く。


「だから、トーマ・・・お前の力が必要なんだ」


「おまえ・・・」


トーマは独房の外に出る。


「G5には、お前が必要なんだ」


こうしてトーマは

王立巨人対策局特設第五部隊

第一課 食糧配給課 課長の職務を

与えられたのであった






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