第8話 川口南高等学校
越生北高との試合後から明らかに変化があった。
理恵は以前よりも練習に打ち込むようになった。
越生北高との敗戦がよほど悔しかったのであろう。
私にも何度も試合を挑んでくる。
投げる正確さが上がったように感じる。
さおりさんは部活に来る頻度が少し減った。
辞めてしまうんじゃないかと心配している。
理恵が見兼ねて聞いてみたら、辞める気はないようだ。
そこはホッとしている。
姫星さんも練習に身が入っていないように見える。
たぶんこの前の試合で現実を見せられ、自分の実力では通用しないと思っているのだろう。
たしかに結果は良くなかったが、私は2人に続けて欲しいと思っている。
私が感じている楽しさを、みんなにも知ってほしい。
しかしそう考えるのは傲慢だろうか。
全部じゃなくていい。
何か1つでもコーンホールを楽しく思って欲しいと心から願う。
そんな折に、榊原先生がやって来た。
「川口南高校から試合の申し込みがありました」
理恵の顔つきが変わった。
「次は勝つ」と、小声ながら闘志を込めて言った。
理恵はやる気だ。
さおりさんと姫星さんは乗り気ではない。
「先生に先方に2人でもいいか聞いてみて下さい」とお願いをした。
川口南は別に構わないとの返事だった。
後日5人で川口南高校へ向かった。
会場に着くと越生北の本田部長の言葉が甦った。
体育館には10台のボードが並びそれぞれ選手が試合をしている。
部員は20人以上いるように見えた。
そして2階からコーチと思われる先生と、1人の生徒がメガホンで気になった選手にダメ出しをしている。
まるで人気スポーツの強豪校そのものだ。
しばらく見惚れていると、1人の生徒がやってきた。
「ようこそ、新座西高のみなさん。私は副部長の西野と申します」
「こちらこそお招きありがとうございます。部長の宮原です」
「今回は2人が試合とのことですが、2対2でよろしいですか?」
「はい構いません」
「では少しお待ちを」
西野さんは2階に上がり、コーチと生徒に話をしている。
2人が下りてきた。
「ウェルカム。新座西高のみなさん。私が部長の小野玲奈です。埼玉に新しくチームが誕生してベリーハッピー」
「はい……ありがとうございます」
西野さんがやってきて
「部長はアメリカ生まれで、本場で幼少の頃からコーンホールをしていました」
「イエス。ミーが全国優勝します」と宣言する
「ではさっそく試合の準備を」と西野さん
私と理恵が気合を入れる。
試合をした選手たちは試合を止め観戦にまわった。
「西野・滝口。2人が試合だ」小野さんが言う
西野さんと滝口さんは不敵な笑みを浮かべる。
小野さんは出ないのかと少し不満に思った。
でもここはまぎれもなく強豪校。
誰が相手だろうが負けられない。




