第3話 部員集め
さっそく掲示板に部員募集の張り紙を貼る。
まだ新学期が始まったばかりなので、ビラ配りをして部員を勧誘している部活が多い。
私も門のところでビラ配りを始めた。
なかなか受け取ってもらえない。
たまに受け取ってくれる人がいても、反応はこんな感じだった。
「コーンホール?とうもろこしの何か?」
「新設したばかりで、聞いたこともないスポーツって」
反応はかなり悪い。
心が挫けそうになる。
でも1人では部活は出来ない。
諦めるわけにはいかない。
提示版とビラ配りとは別に、個人交渉もしようと思った。
そして私には一人、当てがあった。
幼馴染の本庄理恵だ。
理恵のもとに早速行き、話をする。
「理恵、部活決まった?」
「まだだよ。いろいろあって悩んでるとこ」
どうやらまだ決まっていないらしい。
「理恵、お願い。私と一緒に部活をやってくれない?」
「なんの部活?」
「コーンホール」
「なにそれ?料理?」
私は理恵にコーンホールの説明をした。
そして体育館に行き、実際に見てもらった。
「ふ~ん。この布を穴に入れるだけなんだ」
「確かにそうなんだけど、例えば穴の手前に布を止めて相手を妨害したり、相手の布を弾いたりで戦略性もあるんだよ」
「てか遠いね。私じゃあんな遠いとこ届かないよ」
確かに8.23m(27フィート)は遠い。
私も最初は届かなかった。
「届かない場合は全身を使って投げるんだ。ちょっと見ていて」
私は1回投げてみてから、説明をした。
「ふうん。なんとなくはわかった。でもやっぱり……」
「お願い。ちょっとやってみて」
理恵は渋々といった感じで、ラインに立ってくれた。
そして投げたが届かない。
「もっと足のバネを使って」
そして8投目でようやく届き、12投目で穴に入った。
「これ思ったより大変だね。体力と集中力を使うよ」
「うん。体力はおいおいつけていかないとね。で、どう?」
「う~んどうしようかな」
「そこをお願い」
「まあ楓がそこまで言うならしょうがないか」
「やったあ」
まずは1人目の部員が入部してくれた。
それから放課後は2人で練習をした。
私は時々ビラ配りも続けた。
2人ではダメ。
もう少し入部して欲しい。
桶川さおりは掲示板を見ていた。
その後こっそりと体育館に行き、コーンホールをしている2人を見ている。
さおりは親から言われていた。
高校は運動部に入部しなさいと。
自分でもなにかをやってみたいとは思っていた。
でもガッツリ運動というのは私には向かない。
そこで自分と親との妥協点として、コーンホールが候補にあがったのだ。
見てると、布を投げるだけ。
厳しい筋トレも、走り込みも、体育会系特有のノリもなさそうだ。
とりあえず話だけでも聞いてみるか。
さおりは2人に近づき、見学したいと言った。
楓は喜んだ。
何もそんなに喜ばなくてもとさおりは思った。
説明を聞くと、思っていた通りの部活だ。
一応スポーツだし親への言い訳もできる。
「1回投げてみる?」楓が言った。
「じゃあ」と言いさおりが投げる。
やはり届かない。
さおりは10投目で届き、15投目でようやく入った。
「これって試合ではどのぐらいするんですか?」
「4回ずつ投げるんだ。穴に入れば3点。ボードに乗れば1点」
「はい」
「例えばA選手が11点。B選手が6点だとする。するとその差の5点がA選手の得点になる。これで21点先に取った方の勝ち。だいたい1試合20分かかるかどうか」
思ったより時間かかるなとさおりは思った。
でも20分なら他のスポーツより、はるかに短い。
「どうかな?」楓が聞く。
「前向きに考えてみます」
「やったあ」と私は喜んだ。
「いや入部すると言ってないから」と横から理恵がツッコむ。
それからさおりはちょくちょく顔を出すようになった。
他の運動部を見て自分には無理だと思ったからだ。
しばらくして「入部します」
こうしてコーンホール部は3人になった。




