第2話 孤独な始動
4月になり私は高校に入学した。
入学したのは埼玉県立新座西高校。
ここにした理由は……家から近い。
ただそれだけであった。
高校に入学したらやることがあった。
コーンホール部に入部する。
しかし部活紹介のチラシなどを見ても、コーンホール部はなかった。
職員室に行き、先生に聞く。
「この学校ってコーンホール部はないんですか?」
「コーンホール?とうもろこしの缶詰かなにかかい?」
「いえ。ビーンバッグと呼ばれるものを投げるスポーツなんですが」
「聞いたことがないスポーツだね。どのみち、うちの学校にはないよ」
ある程度覚悟はしていたので、驚きはしなかった。
まあ、そうだろうなと思った。
「では、新しく作ることは可能ですか?」
「う~ん。何人か集まればね。コーンホールねえ」と先生は言ってパソコンで調べだす。
私は先生がコーンホールについて検索しているのを見てみた。
紹介分は短く、動画は再生回数が低い。
「こういうスポーツがあるんだねえ。道具は何が必要なんだ?」
「ボードとビーンバッグですね」
「部活立ち上げるのはいいけど、それらは自分たちで用意してね」
「えっ部費とかで買えないんですか?」
「出来たばかりでなんの実績も無い部活に部費なんて出るわけがないよ」
「そうなんですか……」
そう言って私は職員室を後にした。
まずやるべきことが二つできた。
仲間集めと道具を手に入れることだ。
家に帰るとさっそく調べてみる。
ビーンバッグは思ったより安かった。
これなら私でも買える。
問題はボードだ。
長さ:48インチ(約122cm)
幅:24インチ(約61cm)
ホール(穴)のサイズが直径:6インチ(約15.2cm)
など決まっている。
困ったときは、誰かに頼ってみようと思った。
私はハンバーガー屋の高木さんに聞くことにした。
ハンバーガー屋に着くと、すぐ高木さんに声をかけた。
「宮原さんとこの楓ちゃんだよね。どうしたの?」
そこで、高校でコーンホール部に入ろうとしたら部活がなかったこと。
自分で作っていいと言われたこと。
ビーンバッグは自分で買えるが、ボードが手に入らないこと。
それらを話、どうしたらいいか聞いてみた。
「なるほどねえ。まずコーンホールはメジャーじゃないから」と高木さんが笑いながら言う。
「そうなんですね」
「でもアメリカでは結構有名なんだよ。各家庭で遊んだりしてるんだ」
「そうなんですか。アメリカでは身近な競技なんですね」
「それでボードだけど……う~ん」高木さんが考え始めた。
私は少し諦めかけていた。
「よし!楓ちゃんの高校入学祝いだ。うちのをあげよう」
「えっ?」
「ボードはいくつかあるんだよ。公式用のがいいんだろ?ただ……」
「ただ?」
「多少塗装が剥げててもいいかい?」
「構いませんが、いいんですか?」
「ああ。言ってみればコーンホールの布教活動だな」
そう言って外の物置から、ボードを持ってきてくれた。
「ほい」
ボードは確かに絵の部分が多少剥げていた。
しかしプレイに問題はないという。
私はとにかく嬉しかった。
これでコーンホールが出来るんだと。
高木さんにお礼を言い店を後にした。
そしてビーンバッグを購入。
ビーンバッグは8個セット。
これで道具は揃った。
次は部員集めだ。




