第27話 精密マシーン
3ラウンド目に試合が動く。
私が1投外したからだ。
10-12になり2点リードされた。
先攻になった後藤さんはビーンバッグを穴の手前に落としブロックをする。
これを待っていた。
私は楓スペシャルで後藤さんのビーンバッグを大きく弾き、自分のを穴に入れた。
「なんだ今のは」
「埼玉すげーぞ」
観客が大歓声になる。
後藤さんも信じられないと言った顔をしている。
どうやらこの技を見たのは初めてのようだ。
このラウンドは12-10で私が2点取った。
先攻が変わって私は穴の手前にビーンバッグを置いた。
穴のすぐ近くではない。
やや離れたところだ。
後藤さんは私のビーンバッグを狙った。
つまり、私の楓スペシャルを再現しようとしたのだ。
しかし私のビーンバッグはあまり弾かれず、さらに後藤さんのも穴に入らず右に大きく逸れた。
「マジシャンのミスショットだ」
「おいおいマジシャンまじかよ」
私は少し左に逸れているビーンバッグをリバースカットショットで穴に寄せていく。
このラウンドも12-10となった。
試合は段々と差が開いていく。
後藤さんは、ミスショットで崩れた流れを立て直せなかったのだ。
試合は21-4と最初の拮抗状態と違い圧勝という形になった。
後藤さんがうなだれて足早に会場を後にする。
会場はずっとどよめいている。
次は準決勝。
黒沢さんという人と私が対戦。
もう1つが松山さんという人と小野玲奈である。
「マジシャンとペンギン使いが負けたか」
「波乱な大会だな」
「鬼軍曹とマジシャン破った埼玉強くないか」
「でも次の相手は精密マシーンだぜ」
「もう1つは東京対埼玉か」
「埼玉2人残りかよ」
どうやら黒沢さんは精密マシーンと呼ばれているらしい。
次も手ごわそうだ。
準決勝が始まった。
先攻は黒沢さんだ。
どんな戦い方なんだろう。
黒沢さんは4連続エアメールショットを決めた。
私とは違う。
それは同じ軌道、同じ角度、同じコースで、穴に当たらず、吸い込まれるように入っている。
この人はエアメールショット使いだ。




