第26話 左利きのマジシャン
「おいおい鬼軍曹と博士が負けたよ」
「こうなると優勝誰だと思う?」
「精密マシーンじゃないか?」
「俺は地元だし東京代表だと思うよ」
「じゃあ俺は左利きのマジシャンにするよ」
「私はペンギン使い」
「ペンギン練習試合でボコられてたぞ」
「まじかよ」
「鬼軍曹破った埼玉代表に」
「埼玉2人残ってるなあ」
会場は優勝予想で盛り上がっている。
「次の注目は東京代表対ペンギンとマジシャン対鬼軍曹破った埼玉だな」
「どっち見る?」
「どうしよっか」
どうやら私の相手は左利きのマジシャンと呼ばれている人みたいだ。
マジシャン、技が多そうだな。
4回戦が始まる。
左利きのマジシャンは後藤さんと言う名前だ。
お互い礼をして、コイントス。
私が先攻になった。
まずは穴の手前、少しかかったところで止める。
さあどう出る。
後藤さんは私のビーンバッグの手前に投げたかと思うと、そのまま上を越えて穴に入れた。
ロールショットだ。
次は私はエアメールショットで穴に入れた。
後藤さんは今度はゲットアラウンドショットで穴に入れる。
次も私はエアメールショットで決めた。
後藤さんの3投目はカットショットだ。
やはり多彩な技の持ち主。
会場が盛り上がる。
4投目私は自分のビーンバッグに当てて押し込み、今投げたのも穴に入れた。
後藤さんの4投目はエアメールショットだった。
12-12でドロー。
次は穴を塞ぐことにした。
1投目で左側、2投目で右側にビーンバッグを置いて塞ごうとした。
すると後藤さんは、カットショットのようにビーンバッグを縦に持って投げる。
そのまま投げ、2つのビーンバッグの狭い間を通して穴に入れた。
「スプリットだ!」会場からどよめきが起こる。
スプリットは、穴を塞ぐ2つのビーンバッグの間に直接投げ込む技。
これも使えるとは。
私の3投目、穴の手前ギリギリに落とす。
これで完全に塞いだ。
後藤さんが一瞬考え込む。
そして投げたビーンバッグは、私の手前のビーンバッグの上に着地。
後藤さんと私のビーンバッグが一緒に落ちた。
「ロデオショット!」
会場がさらに盛り上がる。
ロデオは、ボード上にある別のバッグの真上に落として、そのバッグに“乗りながら”いっしょにホールに落とすショット。
この人は本物のマジシャンだ。
私はエアメールで穴の周りの2つも一緒に落とした。
後藤さんの4投目も確実に穴に入れ、またも12-12。
会場がどよめいていた。




