第28話 意外な決着
淡々と時間が過ぎていく。
黒沢さんのエアメールショットと、私のスライドショットのぶつかり合いになっている。
12-12。
12-12。
12-12。
試合が動かない。
黒沢さんがビーンバッグを投げようとした。
その時会場から大歓声が起こった。
黒沢さんがびくりとして投げたビーンバッグはボードの外に落ちた。
歓声は隣のボードだ。
あの小野玲奈が、膝をついてうなだれている。
21-4。
大差で試合が終了していた。
いけない。
この試合に集中。
私はスライドショットを決め12-9でこのラウンドを取った。
急に大歓声が湧き起こったのは不運としかいいようがない。
でもこれも試合だ。
先攻が移ったのでやってみたいことがあった。
私は3投で穴を塞ぐ。
黒沢さんの3投目は穴がふさがった状態だ。
そうこれは左手の悪魔こと鹿島優さんの技だ。
かつて自分がエアメールショットを多用していた。
そしてこの技の前に敗れた。
黒沢さんは3投目を中々投げない。
投げないんじゃない。
投げられないんだ。
去年の私がそうだった。
だから気持ちはよくわかる。
結局3投目は私の手前のビーンバッグに当てた。
違う。
そうじゃないんだよ。
この技の攻略法は。
それに気づかれる前までが勝負。
4投目、私はエアメールショットで4つ全てを穴に入れた。
会場が大歓声。
12-10。
試合が動いた。
その後は一方的になった。
黒沢さんは攻略法を終盤まで見つけられなかった。
気づいたときにはもう大差がついていた。
21-6。
黒沢さんは肩を落として去っていった。
黒沢さんと話できなかったな……
決勝の相手はあの小野玲奈を21-4で破った相手。
大柄で長身でがっちりしている。
途中から私たちの試合を見ていたのだろう。
余裕の笑みを浮かべている。
この人と決勝戦だ。
最後の戦いが始まる。




