第17話 悪魔の左手
2回戦が始まろうとしている。
審判が所定の位置に立つ。
私の隣の選手を見る。
特に特徴がない感じだ。
コイントスで私が先攻になった。
試合開始の合図が鳴った。
まずはスライドショットで穴に入れた。
幸先がいい。
次は鹿島さんの番だ。
左手で投げられたビーンバッグは穴の手前半分ほどのところで止まった。
入らない。
私の2投目はエアメールショット。
決まった。
鹿島さんの2投目も穴の左側に半分かかっていたが、入らない。
本当に悪魔の左手と呼ばれる人物なのだろうか?
別人ではないのだろうか?
3投目もエアメールショットを狙う。
但し穴の下と左に鹿島さんのビーンバッグがあるので巻き込んで入れてしまわないように注意しなければ。
そんな思いが頭にあったのか3投目は穴の上に当たり、ボードの外へ出てしまう。
鹿島さんの3投目も穴に入らない。
但し穴の右半分ほどの所に止まっていた。
私は4投目に困っていた。
穴はほぼ鹿島さんのビーンバッグで塞がれている。
エアメールショットを狙うと巻き込んで入れてしまいそうだ。
私の4投目は、またも穴の上に当たり、外に弾き出された。
現在6-3。
このラウンドでは私がリードしている。
4投目で鹿島さんが入れれば6-6のドロー。
また穴に入らなければ6-4で私の勝ちになる。
しかしその時悪寒が走った。
まさか……
鹿島さんはエアメールショットを投げた。
そして周りの3つのビーンバッグを巻き込みながら。
4バーガー。
6-12で鹿島さんの勝利。
入らなかったんじゃない。
わざと入れなかったんだ。
これが悪魔の左手!
次は鹿島さんが先攻だ。
どう出る。
スライドショットで普通に入れてきた。
こちらもスライドショットで対抗。
鹿島さんは4投全て入れて、また4バーガー。
私にプレッシャーをかける。
入れてもドロー。
外せば負け。
このラウンドで勝ちはない。
そんな気持ちで投げたのが悪かった。
ビーンバッグはわずかに左に逸れる。
9-12でまたこのラウンドも落とした。
この繰り返しである。
気づいたら0-21で負けていた。
こんな大敗は初めてだった。
私の全国大会は終わった。




