四人寄れば軍師の知恵
夕食の冷やし中華を平らげた後、俺と小夜は紅茶を飲みながらのんびりとテレビを見ていた。
「平和だ⋯⋯」
テレビの画面には、海外の街並みが映し出されている。どうやら、旅行記の番組のようだ。街の中に張り巡らされた水路を使い、船で街を巡回している。
「そうだ小夜、明日の放課後って何か用事ある?」
「特には無いわ。どうかしたの?」
「先輩がさ、学校案内をするって言い出して。用事がなかったら付き合ってもらいたいんだけどいいかな?」
涼城先輩の言っていた事をそのまま伝える。小夜は小さく頷くと、快く了承してくれた。
「楽しみにしてるわ」
「ん、了解」
これで明日は大丈夫だろう。ガルとライヴには聞いてないが、もし何かあっても先輩がどうにかしてくれる。あの人は融通を効かせる天才なのだから。
「そういえば真、そろそろテス──」
「いけね、ゲームの約束してたんだ。ごめん小夜、また後で!」
「もう⋯⋯」
死の宣告の予兆を感じ取った俺は素早く自室へと退避し、机に座るとパソコンを起動させる。何も聞いてないぞ、俺は。
「て、あいつらもうインしてやがる」
時計を見ると、九時を回ったところだ。確かに少し遅くなってしまったかもしれない。通話アプリを立ち上げて、一時間程前に開始された通話に参加する。
「悪い、遅くなった」
「お、来たな。丁度良いタイミングだ」
「ほいほい、招待しますよっと。行った?」
「来た」
慣れた手つきでキーボードを打ち、いつもと同じようにチームに入る。いつもと違うのは、頼れる仲間が一人増えているところだ。
「よぉガル、調子はどうだ?」
「おせーんだよお前は! 俺の活躍を見逃しやがって」
「言うねぇー」
どうやらかなり楽しんでるらしく、通話越しでもガルの声が弾んでいるのがわかる。
ここは一つ、俺の活躍も見させてやろう。ベキベキと指を鳴らして、画面に向き直る。
「ガル、こいつマジやべーから」
「マジで?」
「マジマジ。こいつ戦略絡むゲームやらせると諸葛亮並に活躍するから」
「そんなに褒めんなよ。明日に響かない程度にサクッとやろうぜ」
「は! じゃあ早速、お手並み拝見と行くか」
「出過ぎるなよ、倉﨑」
「任せな桐山、こっちにゃ軍師がついてんだからよ」
さぁ、ゲームの始まりだ。いつになっても、この胸の高鳴りは心地が良い。
しかし俺達は重大な事を忘れていた。ゲームは大勢でやると楽しい。そして、楽しい時間は光のようにすぐに去っていってしまうという事を。
PUBG楽しい




