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彩色の魔女  作者: 唄海
2章 英国の闘い
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伽藍洞

暗い闇の中、ランプの明かりを頼りに階段を駆け下りる。


「小夜ー! どこだよー!」


叫び声にも似た呼び掛けの声をあげるも、聞こえて来るのは水の流れ落ちる音だけだ。


「えぇ……何が起きたし……」


俺は混乱したまま階段を降り続ける。

もしかしたら少し目を離した隙に行ってしまっただけかもしれない。


「おーい! 小夜ってばー!」


そんな感じで呼び掛けながら階段を走り続けると、遂に階段が終わってしまった。

だが、一向に小夜達は見えない。


「ったくどこいっちまったんだよホント。……ってかなんだここ?!」


階段を降りた先に広がっていた風景は、階段より神秘的な雰囲気の空間だった。


この空間はドーム状になっていて、直径は悠に百メートルは越している。

天井には七色に光るクリスタルのような鉱石が連なり、剣山の様になっている。

螺旋の中心を落ちてきた水流は水面へと引き込まれ、地底湖の一部となる。

円形の空間を分断するかのように足場が一直線に通い、双方の空洞へと降りてきた人々を誘導するかのように道が敷かれている。

地底湖の底にも鉱石があるのだろうか。水は複雑な光を放ちながら輝いていた。

しかし不思議な事に、この鉱石の光は眩しさよりも暖かさを感じさせる輝きだった。


「……すげぇな」


あまりの現実離れした光景に俺は思わず暫く立ち止まっていた。


「っは! こんな事してる場合じゃない、早く小夜達を見つけないと」


我に返り、再び小夜達を探す。

ふと、片方の空洞に人影が見えた。


「あ、ちょっと待って!」


俺は通路を駆け足で進む。

人影は空洞の奥へと消えてしまった。

だが、まだ追いつけるはずだ。

空洞へと足を踏み入れる。

だが──


「なんじゃこりゃあ!」


空洞の奥は長い廊下になっていて、脇にいくつもの扉がある。

しかも、奥は闇の向こうだ。

一体どれほど長いのだろうか。

その廊下の中で、一つだけ扉から光が漏れていた。

少し思案し、ノックして扉を開ける。

扉を開いた先にはコンクリートの壁で覆われた部屋があった。



「すいませーん……て誰もいねぇ」


部屋には誰もいない。

あったのはよくわからない工具が床に散乱してるだけだ。

その一つを拾い上げる。

何かの機械の部品だろうか。


「何だよこれ……魔法使いっぽくねぇ……」

「それはいいけど、とりあえず大人しくして」



突然中性的な声が部屋に響き、背中から何か硬いものを押し当てられる。


「ひっ!」

「動かないで。下手に動くと撃つよ」

「撃つってまさか……この背中のヤツは銃かよ」

「あぁ、死にたくなければ大人しくしてて。あと、その工具も置いて」

「あ、あぁ。わかった」


持っていた工具を床へ置く。

さてどうしよう。

とりあえず大人しく後ろのヤツの言う通りにしよう。


「手上げて」

「ん」

「魔法も使おうなんて考えないほうがいい。魔法より銃の方が早いから」

「わかってる……」


どれだけ警戒されてるんだ、俺。


「あなた、ここの人じゃないでしょ。誰?」

「……さっき来た人」

「そんな言い訳、信じる訳ないでしょ」

「本当なんだけどなぁ……」

「それで、何しにここに来たの?」

「小夜達に連れてこられたんだよ。なんでも、魔法について色々教えてくれるらしいからな」

「そう……小夜が」

「あぁ、だから別に怪しい奴じゃねぇ」

「…………」


後ろの人物は相当俺を警戒してるのだろう。

理由を話してもあまり納得してないようだ。


「てか、そう言うアンタは何者だよ」

「信用できない相手に名乗る理由はない」

「わかったわかった。俺から名乗るからそう警戒しないでくれ」


俺は自分の名前を後ろの人物に告げる。


「サナ……変な名前」

「ひでぇ言いようだなおい!」

「はぁ……いいわもう。こんな馬鹿な奴が本当に敵ならここも見つけられないだろうし」


理由はどうあれ、警戒を解いてくれた。

背中の圧迫感が消える。


「ふぅ、よかったよかった」

「もう用は無いから早く出ていけ」

「…………」


不満を口にしかけたが、また警戒されると面倒なので黙っておく事にした。


「へいへい、さいなら」


部屋を出るために振り返る。

最後にこの人物の顔は拝んでおこうと思う。

また後々顔を合わせるかもしれないだろうし。


「──て、あれ……いない! どこいきやがった?! まさか幽霊か?!」


驚く。

振り向くとそこには誰もいなかった。


「……やっぱ撃つわ」


──下から声が聞こえた。

目線を下げるとそこには───


「なんだこの穴……?」


───それが向けられた銃口だと、脳は数秒遅れて理解した。










風邪ひいてしまったでござる

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